VS京都焼却(5)
安倍晴明の懸念に対し、地蔵も厳しい顔。
「先般の国会図書館爆破をたくらんだ連中と異なるのは、首謀者を捕縛したところで、すぐに次が動き出す」
「相当、高度に組織化されている、ということなのです」
神威大和
「一つの作戦が失敗に終わっても、次々にテロをしかけてくる連中」
「京都という密集した場所、一つの強力な爆弾が爆発すれば、一気に火事は広がる」
「爆弾ではなくて、細菌兵器、化学兵器の場合でも同じようなこと」
「むしろ、京都から感染症が全国に広がる懸念も強くなる」
「火事の場合は、それほど他地区までは、拡大はしないけれど」
森田愛奈が震える声で質問。
「どうして、そこまでの酷いことを計画するのでしょうか」
「何を怨んで、そこまで」
「被害に遭う人に、何の恨みを?」
イエスも哀しい顔。
「自分たちだけが正義で、他者は正義ではないとの考え」
「正義でなければ、悪」
「悪は滅ぼしてかまわない、むしろ滅ぼすことが当然で正義との、浅はかな考えの持ち主」
安倍晴明がイエスの言葉を受けた。
「天皇を中心とする政治システムが京都には千年以上続きました」
「もちろん、形骸化していた、実質の権力に疑問を持つ人もおりますが」
「ただ、そのシステムは、壊れそうで壊れなかった」
「権力や富は、天皇家を中心とした一部の取り巻き連中に集中していた」
「将軍と称する武家の連中でさえ、天皇家を耐えさせることは困難だった」
「その過程の中で、不遇を被った人、無念に沈んだ人も数多」
「首謀者は、その子孫」
「そして、それにつながる縁者」
杉田玲奈が泣き出した。
「京都におばあちゃんが・・・」
聖母マリアが、心配そうな顔で、杉田玲奈の背中に手を添えている。




