VS京都焼却(1)
神威大和が「お地蔵さん」に声をかけた。
「いつも、ありがとうございます」
「お地蔵さん」は、若い顔で、少し笑う。
「いえいえ、お役に立ちたくて、それが私の本願」
聖母マリアも笑顔。
「どんな人も、手を差し伸べて、救われます」
「その、おやさしさが、人の気持ちを引きつけます」
イエスは、「お地蔵さん」の手を握る。
「このお方も至高の存在からの使者」
「お地蔵さん」は、変わらずニコニコしている。
神威大和が、話題を変えた。
「さっそく具体的な話になりますが」
「京の都が心配です」
地蔵の顔が引き締まった。
「それは私から説明します」
「どうやら京の街を完全に焼き尽くしたい、そんな思念を私も感じ取りました」
「火薬、爆弾の準備も進んでいます」
森田愛奈は、震えながら、地蔵に質問。
「お地蔵様・・・恐れ多いですが・・・その思念とか情報は、どこから?」
地蔵は即答。
「私は、石仏の形で、あちこちに立っています」
「そして、通り行く人の心の中、持って歩いている物を見ています」
「その中で、確実な話として、京の街焼却のたくらみが、進んでいるようです」
地蔵は、一呼吸置いた。
「もちろん、それを主導する人物も、我が目で見ています」
「哀しいかな・・・そして愚かな」
地蔵の柔和な顔が、厳しい顔に変わっている。




