神威大和VS聖職者の欺瞞(13)
イエスの厳しい追及は続く。
「最後の審判者がお前の前に立った時、胸を張って立っていられるか?」
「お前の今までの人生で、何一つ罪がありません、と言い切れるか?」
聖職者の顔は、ますます青くなる。
今までは自分が高い説教台の上から、多くの信者に語っていた言葉、しかし心理的に圧倒されたこの状態では、何も答えられない。
イエスの目も言葉も厳しい。
「他人から、神のためと、嘘を言って金をむしり取り」
「その金で私腹を肥やし、自らの地位だけを高めようとする」
「あくまでも私欲のため、誰の役に立つのか」
「少なくともイエスは、多くの人を癒した」
「お前は、痛み苦しむ人を癒したのか?」
そしてイエスの目が、強く光った。
「おぞましい行いがあるのではないか?」
「善意の人を癒すどころか、傷つけ、命までではないか?」
「そのどこに神の正義があるのか?」
イエスと聖職者の様子を黙って見ていた、神威大和が口を開いた。
「そこの聖職者」
「今、警察が大聖堂の地下に入った」
「夥しいほどの、白骨死体がある」
「その理由を聞きに来るだろう」
「おそらく警察の行方不明者情報とも一致するはず」
聖職者は、既に立っていられず、座り込んでしまった。
ワナワナと震え続け、警察が入って来ても、何の答えも出来ない。
そして、力なく連行されて行った。
聖母マリアは、その聖職者の様子を見て、厳しく哀しい顔。
「こんなことの繰り返しで、約二千年も」
「それでも、今回はここで止まったけれど、世界各地には・・・まだまだ」
「聖遺物など・・・何の意味があるのか・・・愚かな」
イエスも厳しい顔。
「世界中の聖遺物とやらは、壊すべきだ」
「ガラクタに過ぎない、人は神の口から出る一つ一つの言葉で生きるのだから」
神威大和は、杉田玲奈を手招きしている。




