神威大和VS聖職者の欺瞞(11)
ワンボックスカーが大聖堂に到着、一行が中に入って行くと聖職者や工事業者が話し合っている。
聖職者
「聖なるゴルゴダの砂だ」
「主イエスの尊い血がしみ込んでいる、ていねいに取り扱う必要がある」
工事業者
「金とダイヤの箱の中に、おさまっております」
「金とダイヤの箱は、宝石をちりばめた聖遺物台に置きました」
聖職者
「しっかりと囲いの鍵をしておけ」
「万が一、盗まれても困る」
「それと1メートル以内に近づけないような、セキュリティシステム」
工事業者
「かなり大きな警告音がなりますし、その瞬間、警備員が駆け付けます」
聖職者
「囲いの前の献金箱は?」
工事業者
「はい、あれにも万全のセキュリティシステムを」
「ご指定の通り、ラテン語のパスワードでなければ解錠不可能に」
「これが取扱説明書になります」
聖職者
「よくわかった」
「では、請求書通りに、振り込んでおく」
工事業者
「はい、よろしくお願いいたします」
と、その時、聖職者はニヤリと笑い、僧衣からリモコンを取り出し、何かのボタンを押す。
しかし、何の変化も起こらない。
そして聖職者は、首を傾げた。
「おかしい・・・ここで床板が開き、あの工事業者が地下拷問室に落とされるはずなのだが」
聖職者が何度もリモコンを操作しても、床板は開かず、何の変化もない。
神威大和は、その聖職者を冷ややかに見つめている。




