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神威大和VS聖職者の欺瞞(4)

「中世のガリアの司祭が・・・酷い病気になって」

「当時は・・・瀉血治療が最善とする、そんな迷信の治療ばかり」

聖母マリアの苦しそうな表情を見て、神威大和が続けた。


「また、魔女狩りのすさまじい時期」

「とにかく、相手が憎い、そんな程度の理由で教会や異端審問官に密告」

「何の裁判もなく、そのまま磔刑、火あぶり」

「実は、その目的は、魔女とされた人物、女ばかりではない、男もあったけれど」

「財産の没収、しかも教会や異端審問所に没収される以上に、刑を執行する輩たちの懐に入っていた事例がほとんど」

「閉鎖社会の、人間同士の共喰いでしかない」


会議室全員が深刻な顔になる中、神威大和は続けた。

「マリア様が言いたいのは、そんな状況の中で、とあるガリアの有力な司祭が病気になった」

「しかし、当時の教会のしきたりでは、瀉血治療が正義」

「悪い血を抜けば、後は主なる神が癒す」

「それで死んだところで、それは神の配慮」

「この酷い治療を教会のしきたりとしたのも、病人の財産の没収というメリットがあったためだ」

「ただ、その有力な司祭は、何としても死にたくなかった」

「それで、街はずれの屋敷に一人住む女性、薬草の扱いに長けた女性に薬を依頼し、薬効により回復」


神威大和の顔が厳しくなった。

「ところが、その司祭は完全治癒後に、自分が治癒するのは魔女の行為でしかない」

「そんな魔女を生かしておくのは、神の意思に反する」

「その論理により、魔女を火あぶり、魔女の財産を没収した」


根津二郎の顔が朱に染まった。

「それこそ外道の極み」

「しかし、その外道が、人に知られず綿々と続いて、あの大聖堂にも」


森田愛奈も怒り顔。

「絶対に阻止しましょう、そんな悪党が大司祭とか、枢機卿になって偉い顔をするのは見たくない、人の命もかかっています」


神威大和が根津二郎に目配せすると、そのまま会議室を飛び出して行く。

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