神威大和VS聖職者の欺瞞(3)
神威大和は大聖堂内部の映像を、リモコンを操作して、一旦止めた。
「問題点が多々ある」
森田愛奈
「と、言いますと?」
根津二郎(鼠小僧次郎吉)は、ひとつ気がついたらしい。
「もしかして、奇跡を起こされる役者ですか?」
「といっても演技か」
神威大和は苦々しい顔。
再びリモコンを操作すると、大聖堂の中の会議室だろうか、モニターの画面が切り替わる。
司祭
「後始末も、いつもと同じように」
聖職者らしい男が数人、笑みを浮かべて、次々に不穏な言葉。
「謝礼と称して拷問室に」
「そこで鞭打ち、心を折る」
「いつまでも続く鞭打ちにより」
「聖なる信者を騙すような誘いを断ることができない、そんな醜い魂を地獄に送る」
「すでに100人は超えましたかな」
「後は、地下の焼却室に」
「骨などは原形もなく」
司祭は、そのつき出た腹を揺すり、笑う。
「虫けらが死んだところで、誰も困らない」
「全ては神の栄光のため」
「教会も栄え、私たちは誰も困る人はいない」
神威大和が一旦画面を止めると、森田愛奈の唇が、ワナワナと震える。
「自分たちで騙して演技をさせておいて」
「騙された方が悪い、そんな悪辣な理由で殺すとは・・・」
「そんな酷いことをしておきながら、信者の金を集め、私腹を肥やし、出世の資金に」
聖母マリアの頬に涙が流れている。
「あれは・・・いつのことだったか・・・」
その哀しい顔に、会議室にいる全員の注目が集まっている。




