神威大和VS聖職者の欺瞞(1)
森田愛奈は目を凝らして大聖堂を見る。
「すごい装飾が・・・聖職者が数人お祈りを・・・少し離れたところに聖母マリア像」
杉田玲奈も聖母マリア像を見る。
「目の周りの色が変わっている」
「頬にかけて、一筋・・・」
根津二郎(鼠小僧次郎吉)も分析。
「伴天連さんが運んで来たのかな、はるばると」
「それにしても、何か妙な・・・血の匂い」
相談室の扉が開き、聖母マリアも入って来た。
そして神威大和に声をかける。
「次郎吉さんの言う通り」
「何か酷いことがあります」
「くだらないこと、それでいて酷いこと」
神威大和は、深く頷いた。
「聖遺物とされているらしい」
「何をもって聖とするのか、それは、今は言わない」
「しかし、その聖遺物とやらのために」
「人が理由のない、筋を外した迫害に遭うとは、いかにも問題がある」
「美しい真理から離れ、汚らしいゴミを尊ぶようなもの」
根津二郎は、神威大和の気持ちを理解した。
「お寺さんには、仏舎利とか、そんなものもありますね」
「実際は、誰の骨かわからんが」
「神社にも神剣とか神鏡があったな」
神威大和は根津二郎を見て、笑う。
「何度か寺宝や神宝を?」
「それも偽物を盗んで、好事家に高値で売ったとか?」
根津二郎(鼠小僧次郎吉)は、図星のようで、肩をすくめている。




