神威大和VS日本芸能界の闇(10)
三木がステージで、自信喪失、立ち往生している、そのステージ裏では、秘書も東京の事務所から恐ろしい報告を受けていた。
報告をして来たのは、第二秘書。
「事務所に無通告で、麻薬捜査官が入りました」
「三木先生の机の引き出しから、現物と注射器が見つかってしまいました」
「マスコミも感づいているようで、すぐに全国に知れ渡ります」
「それから、国税も来まして帳簿から、裏帳簿、PC全て、生金庫と隠し金庫まで調べて」
「北陸の実家、愛人宅にも国税捜査が行ったようです」
第二秘書からの報告は続く。
「匿名の通報で、警視庁が来まして」
「三木先生のパワハラ、暴行について・・・これは診断書まで見せられて」
「複数のテレビ局関係者も証言しているとか、そんな情報も」
「若手女性歌手へのセクハラも、100件以上、それも日時も明確で」
「全て先生の予定帳と合致、テレビの歌謡番組、地方巡業と合致・・・先生のアリバイはありません」
「隠し撮りもされていたようで」
三木の秘書は、その身体をガクガクと震わせながら、第二秘書に確認。
「まさか、熱海については・・・バレていないだろうな」
「こっちはヤバい、マジで」
しかし、第二秘書の返事はない。
「おかしい」と思って、スマホを確認すると、信じられないけれど「圏外」となっている。
首を傾げる秘書の肩越しに、声がかかった。
「演歌歌手三木の秘書かな」
秘書が振り返ると、スーツ姿の男と警察官が一人。
スーツ姿の男が警察手帳を見せた。
「熱海警察署だ」
「演歌歌手三木と、その秘書に殺人及び死体遺棄の容疑がかかっている」
「それも、数十件、全て熱海の防犯カメラと聞き込み捜査で確認している」
「よって、二人とも、警察署まで同行を求める」
秘書は、そのまま床に崩れ落ちてしまった。




