神威大和VS日本芸能界の闇(7)
演歌歌手三木は、支配人に先導され、エレベーターでそのまま最上階に。
そして楽屋にも入らず、そのままステージ裏に直行。
若い男性歌手がポップスを歌っている。
かなり声も出ているし、上手い。
三木は、それを聞いて、とても「浴衣姿で最後に一曲」なんて余裕はない。
支配人
「バンドは一線級のプロです」
「ギター、キーボード、ベース、ドラム、トランペット、サックス」
三木も、「うん、いい音を出している」と、納得
支配人
「演歌じゃなくても聴けるでしょう」
しかし三木は、首を横に振る。
「いや・・・どうにも軽いなあ、日本人の歌じゃない、毛唐のもの」
「男の歌じゃねえ、それとガキの歌」
若い男性歌手は一曲終わり、また違う曲。
その前奏部分で、三木の顔が変わった。
「おい!支配人!」
「俺の歌じゃねえか!」
「この世界の仁義を知らねえのか!」
しかし、支配人は、ニヤニヤしている。
「いや、親分が歌わせてみたいとね」
「彼がなかなか、いい声でね」
「低音は響くし、高音は伸びる」
「ビブラートで誤魔化さない、音程もピシャリ」
「何より、歌い方に嫌らしさがない」
「この歌い方のほうが、品がいい」
三木は、支配人の言葉を聞いて、言い返せないし、焦る。
「おい・・・マジかよ・・・全部当たっているし・・・やばいよ・・・」
かなり飲んだ酒の酔いも、すっかり抜けてしまった。




