神威大和VS日本芸能界の闇(6)
「護送車」は、いつもディナーショーをやる熱海の超豪華温泉ホテルに到着した。
演歌歌手三木とマネージャーが車を降りると、運転手。
「お帰りも、この車になります」
秘書は、また首を傾げるけれど、三木はご機嫌。
「ああ!ありがとう!」
「また、美味しいお酒と食い物を、ついでに女が欲しいなあ」
護送車の運転手
「はい、ステージの後は、お疲れと思います」
「クスリもしっかりと準備しておきます」
と、三木をますます喜ばせる。
超豪華温泉ホテルから、馴染みの支配人が出て来た。
「三木先生、親分がお待ちかねです」
「お急ぎを」
三木は、満面の笑み。
「ああ、うれしいねえ!」
「思いっきり歌わせてもらうよ、最後に一曲ね」
しかし、馴染みの支配人は首を横に振る。
「え?三木先生、親分の御意向で、一曲ではありません」
「何曲か、リクエストもあるようです」
途端に三木の表情が曇った。
「それは、聞いていないなあ」
そして秘書を見る。
「おい!知っているのか?」
秘書の答えは、あいまい。
「いえ、聞いたのは、口パク無し、地声でとか」
「リクエストとか、何曲かとも聞いていません」
三木は、嫌そうな顔。
「マイク無しで・・・・何曲も?」
「その上、リクエスト?」
三木の嫌そうな顔を見て、支配人は含み笑い。
「親分の御意向に逆らうとでも?」
「もう、このホテルからは出られませんよ」
「組の者が、しっかりと囲んでいます」
その支配人の言葉に、三木は、蒼白となってしまった。




