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退屈なお茶会

予定していた時期を超えてコロナ禍で忙しくしておりましたが、連載再開です。

 私はバラ園の隅に用意された席で、うちのネグレクト親父と生え際が後退したおっさんの退屈な話し合いに耳を傾けていた。何が退屈って中身が無い。話し合いというより愚痴だ。私はシスターじゃあるまいし人の愚痴を聞く趣味はない。

 しかしこれはどうしたことだろうか、わざわざ城まで私を連れ出しておいて話を振るでも意見を聞くでもなく隣に座らせているだけとは。

「ジュリア嬢、何かいい考えはないかな?」

 そんなことを思っていると唐突におっさんが私の方を向いて話しかけてくる。はて?あぁ、ジュリアって私の名前か。全然実感が沸かない。というか今初めて分かった事実だ。どいつもこいつもお嬢様とか呼びかけて来るだけで名前使わないし。貴族名鑑で見た時も姉妹の名前が結構あってどれが自分の名前か分からなかったものな。

「まずは目的をはっきりさせて手段を列挙すると良いでしょう。完膚なきまでに勝ちたいのか、ある程度で妥協して良いのか。妥協するなら妥協するラインをどこに設定するのか。そして完膚なきまでに勝ちたいのなら経済戦で潰すのか、政治力を使って潰すのか、軍事力を使って潰すのか。妥協するならその妥協ラインを相手にも呑ませるためにどの様な手段を採るのか。そういった、まずは共有すべき情報が共有されないまま話し合いが行われている様に感じました」

 おっさんが目をぱちぱちと瞬かせている。クソ親父も驚いた様子だ。こいつら本当に大人か?いい大人が大真面目に話し合いをしていた様子があれだったとか言ってくれるなよ?

「ハハハ、ジュリア嬢には退屈だったようだね。丁度そこにバラ園がある。ゆっくり見て来るといい」

 おっさんが半分棒読みのように言う。なぁるほど。幼女には退屈であろう話し合いを聞かせて私を一人バラ園に誘導するのが既定路線だったわけだ。待っているのはやっぱり王子かな?用意された運命の出会いと言う奴だ。さて、ここで大人二人相手にゴネるよりも王子をケチョンケチョンにする方が目論見を潰すにはいいかなぁ。

「退屈なのはその通りだったので御暇させて頂きますわ」

 毒を吐いて散々練習させられたカーテシーで一礼。優雅に歩き去る。唖然とした二人。いいざまである。ジャアノ


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