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◆◇◆敵か味方か◆◇◆

 これで分かったことがある。

 以前から誰かに見張られているような気がしていたのは、おそらくホークさんが僕たちの事を監視していたに違いないということ。

 分かったことに対して、更に分からなくなったこともある。

 見張られていたのが僕たちなのか、僕なのか、アーリアなのか?

 何の目的で見張っていたのか?

 ホークさんには後ろ盾になる人物が居るのか居ないのか?

 居たとすれば、それは一体何者なのか?

 謎がひとつ解決した途端、解決したはずの謎が謎を呼ぶ。

 決して悪い人のようには思えないけれど、謎のある人物が傍で見張っている以上、油断は出来ない。

 ミカールの手下が僕たちを探していると言う話しは信ぴょう性があるけれど、それも100パーセント信用する訳にもいかない。

 そして彼……いや、ひょっとすると彼等の目的が“僕たち”ではなくて“僕”あるいは“アーリア”だったとした場合、切り離される心配もある。

 僕はその事を全てアーリアに話した。

 こういった場合、隠し事は無しにしてお互いの考えを話し合って理解し共有する必要がある。でないと僅かな事から誤解が生じてしまう。

 すると、アーリアから意外な話を聞かされた。

「昨夜ホークさんが来た時、私は感じたの。あの人は火を付けるなと言っていたけれど、本当は貴方を連れて行こうとしていたのではないかと。だから私は扉から半身だけ出していて、隠れた半分側に弓と矢を持っていたの。でも彼は、その事に気が付いた」

「何故、気が付いたと分かる?」

「眼よ」

「眼?」

「そう、猛禽類が獲物を見る時の強烈な眼」

「猛禽類! それじゃあホークさんは!」

「そう。ホークさんの正体は、あの高原でルルルを襲ってきたあの大鷲ではないかと思うの」

「その大鷲が何で僕たちに、今更親切な事をしてくれるんだ?」

「それは、分からない。でもホークさんは何かを隠している」

 確かに言われてみれば、あの日初めてホークさんに会う前、大きな鳥が空を飛んでいた。

 そしてこの周辺でも、大型の鳥が羽ばたく音を何度も耳にしたことがある。

 僕もアーリアも結構用心深いから、家に近付いてくる人の気配は、お喋りをしていても必ずどちらかが気が付くはずだ。

 今夜のことにしてもそう。

 木を集めて火打石を打っているのだから、火を燃やすことは誰にでも分かるはず。

 でも、たかが焚火だ。

 ここは周りを森に囲まれていて、周囲よりも少し小高い場所だから、麓の方からやって来るミカールの手下どもには焚火くらいでは見つかることはない。

 ただ、僕はもっともっと火を大きくするつもりでいたから、それだと麓からでも見えるかも知れない。いや、現実の僕は、見えるようにするつもりでいた。

 もしもホークさんが大鷲だったなら、空を滑空して家の屋根に乗れば、誰にも気付かれずに近づいて家の中で僕たちが話しをしている声も聞ける。

 だからホークさんは、僕を止めた。

 そもそもホークと言う名前自体、英語で鷲と言う事じゃないか。

 つまり彼は最初に会った時から、僕にヒントを出してくれていたことになる。

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