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◆◇◆小休止◆◇◆

 その日、僕たちは1日中狩りや食料探しをした。

 ルルルは木に登る能力と素晴らしい反射神経を駆使して鳥を何羽も獲って来たし、アーリアは森の奥に入って行ってウサギとイタチを獲って来た。

 僕も弓を使って何羽かの鳥を獲り、その他には森でキノコや果物を採り芋も掘った。

 ライシャには狩りをする能力はないけれど、その代り餌の心配もいらなくて、僕たちが食料探しに出ている間、その辺りにあった草を根気よくムシャムシャと食べて過ごした。

 夕方に、食料探しに出ていた僕たちが帰って来て、それぞれの収穫を見て驚いて、お互いの健闘を褒め合った。

 意外にも大漁で、今日クローゼに差し出した2倍以上の収穫を得ることが出来、それを火の傍で干して保存食にして一部を夕食として仲良く食べた。

 肉類が食べられないライシャには、芋やゴボウなどの根菜類を少しだけやった。

 何故少しだけかと言うと、ライシャの胃袋は底なしだから、今日僕が収穫した農産物はペロリと平らげてしまう可能性すらある。

 その証拠に、この一帯にあった雑草はものの見事に彼によって喰い尽くされて、さっぱりしていた。

「いやぁ~沢山取ったけれど、これ持ち運べるの?」

 食事をしながら上機嫌のルルルが寝転んで、僕がツルを編んで作った籠に入れた農産物を見て言った。

 確かに、これは採り過ぎた。

 これだけあったら、明日からの旅は疲れてしまう。

「ああ、荷物なら任せてくれ。いくらでも俺が運んでやる」

 困っている僕に、ライシャが言った。

「有難う、でも大丈夫か?」

「荷物だけじゃなくて、なんならカイも一緒に乗っても構わないぜ」

 僕は優秀な狩人を二人と、優秀な運搬係を一人手に入れたのだ。

「ところでカイ、これからどこへ行くつもりなんだ」

 ライシャの言葉に、何故か楽しく食事をしていたはずの二人が押し黙る。

「麓に行こうと思っている」

「麓って、向こうの平野のことか?」

「知っているのか?」

「ああ、森の連中の殆どは知っているだろうよ」

 ライシャの言葉を聞いて僕は二人を見たが、二人はその途端僕に向けていた目を外した。

「麓に行って、何をするつもりだ?」

「僕と同じ、人間を探す」

「人間??」

「そう、人間。まさか僕がここに来た初めての人間ではないんだろ? 君たちが人間の言葉を知っているくらいだから。それに、このナイフも見つけた」

「なるほど……」

 まるで厄介なことを言う奴だとばかりに、ライシャはしかめ面をしたかと思うと、アーリアとルルルを見た。


 “やはり、なにかを隠している”


 しかし、それを無理に聞き出すわけにはいかないと思った。

 言いたくない事は誰にだってある。

 だけどアーリアもルルルも隠し事はしていても、その行きたくない麓にもチャンと着いて来てくれるし、一緒に戦ってもくれる。

 何があるのか分からないけれど、行ってみれば少しでも分かるはず。

 この異世界の秘密が。

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