表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/62

◆◇◆弓と矢と釣り針◆◇◆

 ナイフを手に入れたのは大きい。

 翌朝から僕は竹やぶに入って、竹を沢山切ってきた。

 一番に取り掛かったのは、籠の制作。

 兎に角、芋や果物を沢山取ったとしても、それを入れるものや運ぶものが無ければ旅は出来ない。

 どこにも食べ物があるとは限らない。

 籠は三つ作った。

 僕が背負う大きい籠とアーリアに背負ってもらう二つに振り分けた中くらいの物。

 それから弓を作った。

 小型で手軽な洋弓を作ろうと思ったけれど、その素材となるイチイやニレの木が無かったので、これも竹を使って和弓を作ることにした。

 まあ大きいのは難点だけど、和弓の方が軽くて命中率もいいから、こっちの方が好都合なのだが、作るのは一苦労。

 先ず太い竹を切って、それを細長く三本に分ける。

 更に芯に使う一本はもっと細くして二本に分けて、昨日見つけた良くしなる木と、硬い木も同じように細長く削った。

 外側に使う竹と内側に使う竹の節や皮などをそぎ落として、内側に使う竹を火で炙り、昨日のウサギの脂肪で作ったニカワを部材全部にまんべんなく塗って張り合わせ、周りをグルグルとツルでキツク巻く。

 その後は竹切れで作った“くさび”を巻き付けたツルに打ち込んで逆に曲げ返したときに和弓の形になるようにイメージしながら仕上げた。

 そう。和弓の威力と言うのは、その形と構造に秘密があるのだ。


「わぁ~なんか出来て来たね」

 いつの間にかルルルが覗き込んでいた。

「早く狩りに行こうよ!」と、おねだりされたが、弓は直ぐには使えない。

 その代り竹は使える。

 細長い竹の先に、ツルを縛って、その先に笹を巻く。

「今度は、何作っているの?」

「釣り竿」

「わお!」

 喜ぶルルルの上で、笹をヒラヒラさせると、ルルルの目が直ぐに真ん丸になりキラキラ光った。

 そしてジャンプして、笹を取ろうとするけれど、ジャンプするタイミングで僕が竿を上げるものだからナカナカ取れない。

 いつ飽きるのかなと思っていたけれど、いつまで経っても飽きない。


 “さすが、猫だ”


「カイ、そんなに遊んでいて大丈夫なのか?」

 あんまり僕たちが遊び過ぎていたので、アーリアが心配して言ってくれた。

「あっ、そう言えば遊んでいる場合じゃないんだ」

 僕はウサギの骨を削って作った針を、竿に結び付けたツルの先に結び、ミミズをその針に挿して泉に投げた。

 金属の針と違い、針先が魚の顎に刺さることはないだろうから、待つような釣り方では魚は掛からない。

 常に針を引くようにして、掛かったら即、引き上げる感じ。

 何度も失敗すると魚も学習してしまうので、慎重に取り掛かる。

 なんとかコツが掴めると、棒で突いていた時よりも釣果が出た。

 と、言う事で晩御飯は今日もお魚。

 ルルルは生、そして僕とアーリアは焼いた魚と、焼いた芋を食べた。

 余った魚は、開いて遠火に掛けて干物にした。

 そして、僕は夜通し細い竹を削って、矢を作っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ