とりあえず
状況は理解できたが、生活になれるのには時間がかかった。まず、家の中を確認すると地上1階・地下2階建てだと分かった。この地域は北に位置しており、冬は雪がしっかり降り積り吹雪くことがほとんど。外出することができず、家にこもりっきりになるそうだ。その為少しでも暖かく過ごすために、家を埋めるようになったそうだ。地下ならば1年を通して暮らしやすい。けれど、冬以外の季節は太陽の光を浴びたいということで、全てを地中に埋めず1階部分を地上に出し生活するそうなのだ。魔女の家も同じ構造なのだが、町にある他の家と違い1階の窓は大きく、家の付近の薬草は冬でも採取できるように気温が調整されている。なので、この家は冬でも1階が寒くない。もちろん冬に森の中に入れば、雪に覆われてしまう。薬の卸す期間は、雪解け~吹雪くまでと言うのがこの町の暗黙の了解。魔女は、冬の間も薬を作り続けることで安定供給に努めなくてはならないそうだ。薬の調合は1階と地下2階どちらでもおこなえるように部屋が作ってある。寝室・お風呂・トイレ・キッチンも1階と地下2階の両方にある。貯蔵庫と薬草保管庫は、地下1階にあり劣化防止・時間停止の魔法が部屋に施してある。お風呂・トイレ・キッチンの使い方は、今までと変わりない。オール電化の作りと同じだ。ただ、仕組みは分からないが不自由なく使えることに安心した。私がこの家に来たのが、秋の終わり。もうすぐ本格的な冬と言う季節なので、町には行かずワンシーズンを家の中で過ごすことに決めた。幸いにも、薬草も食料も保管庫に大量にあるので問題ない。・・人と会うのにもまだ抵抗がある。この世界の人間が自分を傷つけないのかわからない。それに、自分が他人にどう見えるのかもわからないのだ。ここで薬を作りながらしばらく生活を落ち着かせようと思う。