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8人の魔女  作者: 雪椿
2/14

少し前の話

 私は特別美人というわけではなかったが、誰もが羨むような幸せを手に入れた。・・・はずだった。

私が結婚したのは、26歳だった。結婚相手はイケメンの社長さま。自宅は高層マンションの最上階ワンフロア。専業主婦として家庭に入り、旦那様を支えていく。そんな生活だった。今まで経験したことがないくらいの贅沢な暮らしだ。結婚して3年。子供はいないが旦那様は優しく幸せだった。けれど、そんな時旦那様の愛人が発覚。しかも妊娠中だそうだ。私に子供ができなかったため、秘書の女性と関係を持ち妊娠させたそうだ。旦那様にその事を問いただすと、認めなかった。そして、その秘書が自分のストーカーであり、私に危害を加える可能性があるとのことで、私の1人での外出は禁止された。携帯のGPSによって常に居場所を把握され、買い物もネットショッピングですますように言われた。最初のうちは、反発していたが「君に何かあったらどうするんだ!」と怒られ、鎖で繋がれた。抵抗すればするほど、軟禁状態がひどくなっていったので、私も諦めてしまった。そんな生活が2年続いた。旦那様以外に会う人はなく、話す人もいない。窓ははめごろしになっており、そこから見える景色は空のみ。たまに旦那様の休日に合わせて、外に連れて行ってくれるが、終始不機嫌そうで私が店員さんと話すのは禁じられている。そんな外出が楽しいはずがなく、外に出たいと思うことはなくなってきた。

 そんな日々の中で、無言電話はずっと続いていた。おそらく犯人は愛人。子供の出産後は子供の声をひたすら聞かせられた。愛人に精神的に追い詰められていった。ここ1ヶ月は、私に消えてほしいと直接抗議の声を伝えるようになってきた。旦那様と子供のやり取りもわざわざ録音して私に聞かせてきていた。


 私の居場所がない。生きている意味も、価値もない。そんな風に感じてきてしまった。夜も眠れず、食欲もなく。旦那様の前では化粧を落とすこともできない。顔色が幽鬼のようなのだ。私の変化には、旦那様は気付いていない。寝室は別だし、食事は旦那様の前では、無理やり食べるようにしている。服も長袖を着ているから、肉が落ちたのを見られずにすんでいる。

 でも、1人でいると思ってしまう。そこまで頑張らなくてはいけないのかと。もういいのではないのかと。


 ・・・・疲れた。

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