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第七話 はじめての 後編

次に俺達が訪れた場所。

そこはゲームセンター。

しかし、今そこの扉の前で立ちすくんでいる。

何でかっていうと、まぁつまりミキが入りたがらないってワケ。


「私こういう所苦手で・・・」

苦手というか、来た事が無いだけなのに、どうやらパチンコ屋の雰囲気と同じと思っているらしい。


「楽しいから、ほら行くぞ。」

強く手をつないで、一緒に中に入る。

入った瞬間、店内の爆音が響く。ミキは片手で耳を塞いで、もう片方の手で俺の袖をぐいぐいと引っ張って引き返そうとしやがる。

せっかく入ったのに負けてたまるか。

しかし、ミキは本気だった。何ていうか、その闘志に負け、ゆっくりと引き下がる。

そしてまた扉の前。


「なぁ〜UFOキャッチャーやりたいんだろ?」

必死の説得。


「でも、変な人いたし・・・」

あの金髪の従業員の事か?ホントミキってどんな環境で育ったんだよ・・・。

あーだこーだ言ってる間に時間だけが過ぎていく――


そんな中、扉の前で立ち往生している二人に、


「ねぇ、そこ通りたいんですけど。」

どっかで聞いた事のある声が・・・。

「あっ! サヤカ!」

振り向くと確かにボーイッシュな私服姿のサヤカがいた。


「え!? ミキ・・・!? なにしてんの!?」

目を大に開き、驚いているサヤカ。


「何でこの男と一緒にいるの?」

この男・・・である俺を指差して言った。


「あの・・・俺の名前、リョウっていうんですけど。」

「ちょっと黙ってて。」


パッと手を出し静止された。


ミキは今日の事を赤裸々に語り始めた。

変な物を見るような目でサヤカが俺をジロジロ見る。


「ふぅ〜ん、二人でねぇ。ミキを誘う程、リョウって男友達がいないんだぁ〜。」

なんか勘違いしてないか?


「それよりその子誰だよ。」

サヤカの後ろでじっとしている背の低い女の子を指差す。

「あ〜エリの事? エリ、呼んでるよ!」

サヤカがそう言うと、エリという女の子が前に出る。


「あの・・・はじめましてでございます。ワタクシ、エリと申します。」

彼女はミキよりも礼儀正しく、お辞儀する。


「あ・・・あぁどうも。というかミキ知ってるの?」


「うん・・同じクラスだよ。」

ふ〜ん。


「あの・・・リョウ君と、ミキちゃんはお付き合いをしてるんですか?」

ゆったりテンポでエリは聞く。


「あーいやいや〜、全然違うから!」


「ミキがこんな男と付き合うわけないでしょ。」

とはっきりとサヤカに言われた。

サヤカに言われたくはないぞ。


「まぁ、いいわ。 リョウ君がおごってくれるらしいから。」

またわけわからんことを。


「え・・・よろしいんですか。」

いや、よろしくないからエリ。


「じゃ、いこっか。」

そう言って三人は仲良くゲーセンに入っていった。

ミキは・・・三人だったら安心なのか?

じゃ俺とだったら・・・?



俺達はUFOキャッチャーの前で止まった。


「さぁリョウ君にとってもらおうか?」


「あーじゃまかせとけよ!」

超強気でそう言った。


「私、あれが欲しいな・・・。」

ミキは可愛いぬいぐるみを指差して言った。


「じゃあ、アタシはアレね。」

今度はサヤカがでかいヒーローのぬいぐるみを指差す。


「あの・・・ワタクシはあちらの品が。」

エリは向こうのカービイか。


「リョウ君なら一度に三個くらい余裕に取れちゃうよね。」

満面の笑みでサヤカはそう言うが・・・。


「あ・・・あぁ任せとかぁ」


「あ・・噛んだ。」

焦りすぎて噛んでしまった俺を三人が笑う。


まぁここはミキにカッコイイ所を見せるチャンスではないか。

よし、100円・・・と。あれ?200円か・・・クソ・・・もう100円。

俺はスタートの音が鳴ったクレーンを見る。ボタンは二つあるが・・・。

えっとどれがどれなんだ・・・?


「もう・・・まずこの赤いのを押すの!」


「あ・・・あぁ。」

ボタンを押す。するとクレーンが前に移動した。

そしてそのまま向こうのガラスにドンッとぶつかる。


「あ〜! 何やってんのよ!」


「え・・・あ・・・次のボタン」

クレーンは右に移動するが、ぬいぐるみを通り越してまたガラスにドンッとぶつかった。


「だー!かー!らー! ボタンを押し続けたらダメたの!」

サヤカはカンカンに怒っている。


「もう・・・下手くそ!」


・・・。



「サ、サヤカもちょっと言い過ぎ・・。 リョウ君、はじめてなんでしょ?」


「あ・・あぁ! そうなんだよ! 初心者だぞサヤカ!」

それを見たサヤカは呆れながら言った。


「はぁ〜。 じゃあ私がやるわ。」


「え? サヤカできんの?」


「当然でしょ?」

そう言ってクレーンを巧みに操る。ミキの欲しがっているクマのぬいぐるみを取って、そのクマのぬいぐるみに引きずられ、エリの欲しがっているカービイも一緒に出口に落ちた。


「サヤカすご〜い!」


「ありがとうございますサヤカちゃん。」


「どうもどうも。」

フフンと偉ぶってそう言う。


「じゃ今度は私の分ね。」


「あ・・・あの。」


「ん? 何?」


「俺のも取ってくれ!」

「え〜〜。 もうお金ないなぁ〜。」


「は・・・はい! 200円!」


「しかたないわね〜。」

そう言ってサヤカは自分の欲しがっていたヒーローのぬいぐるみをクレーンで引き上げながら、汚いタコのぬいぐるみを引きずって一緒に落とした。


「はい、タコよ。」


「あ・・ありがとう。」

こんなの欲しくねー。

感想募集しています!第八話の更新は少し遅くなるかもしれません。というのももうネタがねーのです!

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