第一話 ぷろろーぐ
季節は春。
青空高校へと続く並木通りの木々や花々達は、鮮やかに彩っている。
晴天に恵まれた入学式は、まるで新入生達を祝福しているみたいだ。
期待と不安の入学式も終わり、新入生は明日からの新しい生活にワクワクしているだろう。
それは、並木通りを歩いている一年生の未来に期待をよせるその顔が実際に物語っている。
そして多くの者は、それを健全な高校生だというだろう。
大人でもなく、子供でもなく、そんな不安定な時期だからこそ、大人や子供では分かち合えない何かがあったりする。
そんな新入生の中でも、極少数といってもよいのではないだろうか。
どんよりと暗黒のため息を吐く少年がそこにいた。
「はぁ〜。ついてないなぁ〜。」
彼の名前はリョウ。
彼が落ち込んでいる理由は非常に単純明快。
青空高校の10クラスある中でも、唯一の男子オンリークラスになってしまった。
ただそれだけだ。
しかし、それはリョウにとってこれから一年間を女子と完全別離で過ごす人生最大のショックだったりする。
リョウは今までの15年間、女の子とキスをした事もなければ、デートすらした事がない。
ただ、何度か女の子に恋をした事がある。
そうするとリョウの胸は一気に沸騰し、一回か二回会話をしただけの相手に、いきなり告白をする。
そして見事フラレルというオチだ。
ただしフラレルと少し落ち込むが、すぐに元に戻る。
過去は振り返らないタイプ・・・ではなく、
心からその子を本気で好きになったわけではないのだろう。
「でも、決まった事は仕方ないよな。」
リョウはそう言うと、いつもの元気な顔に戻り、勢いよく走っていった。