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須佐妖戦帖 第2章「志能備の須佐」  作者: 蚰蜒(ゲジゲジ)
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其の5 兵を集めよ!

更に安土城の上空を更に一羽の八咫烏やたがらすが、舞い降りた。

バサバサバサッ。

「うわあああああああーーーー」

皆、逃げ惑った。

大きい。先程とは比べようも無い。現代で云えば、ジェット機の大きさである。

グワアアアアアアーーーー!!

今度は背から男が降りて来た。

「信長!兵を整えたら大戦おおいくさの用意をしろ!大津瀬田の唐橋付近で決戦だ!善いか?!」

「貴様、誰に物云うか!」

「日が決まったら書状を・・・・」と、手に鳩ぐらいの八咫烏を出した。

「此の鴉に渡せ。こいつは其れまでお前の傍に居る。呼べば直ぐ現れる」

小八咫烏は何処かに飛び去った。

素志て彼等は大八咫烏に股がり飛び去った。

「此の信長を虚仮こけにしよった。うぐうう・・・」


安土城の修復が始まった。信長は家老達を集めていた。織田五大将である。

筆頭家老・柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益、明智光秀、羽柴秀吉。

「皆の者、やられた・・・」

「殿、須佐一族、こいつは可成りの忍びですな。我ら、総力を持って立ち向かわねば」柴田勝家が述べた。

「一益、奴らが何者か?彼等に説明してやれ」

「はい、勝家殿、先日お話したこと、当たっておりました」

「なんと!」

一益は彼等が何者であるか、説明した。

皆、驚嘆した。

現人あらひとの忍び?聖徳太子の忍び?」

「先日、彼等は八咫烏を伴い、何も無い空から矢と槍、手裏剣を投下させたと申すではないか」

「太陽の中にいる三本足の赤鴉あかからすとも謂われる」

「天照大神・・・太陽の神・・・」

「八咫烏には、こういう口碑(こうひ〜言伝え)もある。神武天皇を道案内をしたのは、土地の豪族・武角身命たけつのみのみこと。全身真黒い衣をまとい、高木から髙木へ飛び移って天皇すめらみことをご先導した。其の姿が大鴉の様だったので、天皇は「八咫烏」の称号を与えた・・・」

「全身真黒・・・・高木から髙木へ・・・忍びのようだ」信長が云った。

「殿!聖徳太子以前から、彼等は存在していたのかもしれませんぞ!皇紀より古いかもしれない」

「歴史など、どうでもよいわ!奴ら、幾人を殺した?!居城まで襲ったぞ!許せん!」


饗談えんだんの生き残りはどうしました?何故?全滅したのか?何か情報は?」そう、聞いたのは丹羽長秀だ。

「彼は全て話して死んだ。云うに、山間を小さな古い鳥居で囲んでいたこと。其の鳥居を超えると空気が一変したこと。村が視得ると、其処は可成り小さかったと。村人は子供を入れても数百人程。饗談は夜半、裏山から三方に分かれて襲撃を考えた。火矢で村を火攻め・・・慌てふためく処を全饗談で斬り殺しに行くと云う計画・・・だが・・・」と、一益が述べた。

「だが?」

「身を隠しているにも関わらず、音も無しに後に忍び寄り、既に刀を抜いていたと。仲間は一刀両断にされ、跡形も無く成った・・・」

「跡形も無く?!」

「多分、三人程だったろうと云う。三人づつで三方百人の山に忍ぶ饗談を皆殺しにしたのだ。村にも近づけなかったと」

「なんと・・・・」

「自分の処には手裏剣が嵐の如く上から飛んで来たと」

「上から?」

「彼は逃げた。今、思えば生かされたのだろうと云う。此の事を伝えよ・・・と」

「どういう絡繰からくりか?」


「殿!彼等は人間ではありませんぞ!」と云ったのは明智光秀だ。

「殿が!殿が僧侶や寺を滅するから、天が使者を送ったのですぞ!」

「明智!殿に対して無礼だぞ!」柴田が制した。「明智殿!」秀吉は帯刀を掴んだ。

「まあ、まて。明智、構わぬ。述べて視よ」信長はそう云った。

「あれは妖気です。あまの技です。天の力を持っている。我らが勝てる相手では無いでしょう」

「明智!臆するか!」秀吉が怒りで立ち上がった。

「猿!落ち着け!明智、わしもそう思う」と信長は意外にも認めた。

「殿?!」皆が魂消た。

「天が使わしたなんぞは信じぬ。だが、儂が此の眼で視たもの、饗談の話、唯事では無いな。皆の者、こやつ等は今までの武将どもとは違うぞ。闘い方が我らとは違う。火力だけでも敵わない。敵の力を素直に認めようぞ。一益、どうじゃ?」

「は!殿には天の才と運が御座います。素志て此の家臣団。我らも天下の強者ですぞ。作戦を立てましょう。奴らの裏をかきましょう。さすれば勝つ見込みはありますぞ」

「そうだ、頭を使え。敵を侮るな!我らは幾度の戦さを勝ち得た武将ぞ!柴田!お前が大将ぞ!一益、須佐の詳細を柴田に教えろ!他は補佐しろ!春までに戦の準備を整えろ!万の兵を集めろ!織田の総力を掛ける!」

「御意!」


「・・・・」明智光秀は一つの確執を持つようになった。

一益は光秀の表情を見据えていた。


閣議が終わると廊下で一益は光秀に声をかけた。

「光秀」

「一益殿・・・」

「お主の云いたいこと、儂には解る」

「一益殿は甲賀衆から参戦を断られたそうですね」

「うむ。須佐と闘うのは、禁忌きんきだと云われた。和睦を考えた方が善いともな」

「わたしは視てたんです。城に行く途中でした。何も無い空から矢と大きな手裏剣が落ちて来た。素志て惨劇を視ているしかなかった。其の最中、空を視ると大鴉が舞っていた。見定めるように・・・わたしは木々に隠れたんです。震えていました。此れは現実か?とね」

「お前程の武将が震えたか・・・」

「勝てますか?」

「解らぬ・・・」

「織田は壊滅しますか?」

「其れを云うな!我らは何だ?」

「織田信長様の家臣です」

「殿がやれ!と云ったらやるのが家臣だ」

「狂ってる。叡山を焼き払った残虐者ですぞ」

「叡山の僧たちは武装して独立国の如く強がり、宮廷さえ手を焼いていた。退治は世の定めだ」

「天の力を持った連中に勝てますか?くうや地をも動かすやもしれない。其れに立ち向かいますか?」

「光秀、此処だけの話だったことにしよう。以後、其れを云うな。首をねられるぞ。お前も協力しろ。お前の智や能力が必要だ」


数万の兵を動かすには平野と見晴らしの善い丘が必要だ。狭くては動きが取れなくなる。本陣を見晴らしの良い場所に置いて旗と法螺貝で隊に指図をする。山間が傍にあるのも善い。兵を隠せる。複雑な戦が可能になる。瀬田の唐橋の西側山間の平野が選ばれた。大砲、銃隊、弓隊、馬回り等等。家臣達は幾度も作戦を考えた。天気が快晴であれば善いが。

大津の平野に細工を幾つか施す予定だ。「土木人夫を集めろ」冬の作業になる。雪の季節が終わってから始める予定だ。

しかし、其の場所を指示したのは須佐一派だ。

「舐めてやがる・・・」


此の間、羽柴秀吉が淡路島平定などを行っている。

年明けて、天正10年(1582年)正月、近隣の大名などが年始の挨拶に来る。伊勢神宮の修築に3千貫を寄進などもしている。うわべは天皇に気を遣っている。


正月集会は都合が善かった。

「須佐の兵は幾人ほどか?」大名たちは聞いた。

「数百人と思われるが、不明だ。最近、仰張のさばり出した若い忍びの武装集団だ。今、一気にカタを付けないと更に力を付けて来る。我らの兵力であれば二度と立ち上がれなく出来る」

「数百人?忍び?甲賀衆はどうした?信長殿の忍衆は?そんな者達に万の兵が必要なのか?」

「部落を襲った饗談は全滅した・・・此の安土城をも襲った」

「饗談が?信長殿の居城をも?数百人で?」

「数人だ」

「ま、まさか?!」

「侮るな。何処で手に入れたか?南蛮渡来の新式武器を多数持っている。火力、殺傷力、此れまでに無い凄まじさよ。火縄銃など、おもちゃだ」

此の言葉が衝撃を与えた。南蛮渡来の新式武器の数々・・・。織田側は其れだけ説明した。


三月、織田信忠、信濃高遠たかとお城を落とす。信長出陣。

武田勝頼、山中の民家に身を潜めるが、滝川一益に見つかり民家を包囲され切腹。他、一門も切腹若しくは討ち死。

信長、滝川一益に、上野國と信濃二郡を下賜。


信長は信濃から戻ると小鴉を呼び、書状を託した。決戦は四月八日、時は明六つ半(午前七時)!。兵は五万である。

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