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七色魔道士の異世界日常~Prism Wizard~  作者: 砂味のぱふぇの人
〜第一章: 幼少期〜
19/20

#19: エリクサー





家に帰って、セレナに全てを話した。

ちょっぴり怒られたが、褒められた。何にせよ無事だったから良いだと。今回取ってきた『金色(こんじき)の蜂蜜』はセレナに預ける事にした。因みに金色の蜂蜜は大量に入っている…それを一口でも食べれば魔力が上がるらしい…

戦闘学校行く時に少し持っていこう。


「あら~?リアン様、おかえりなさいませ~。」

「リリアさん、ただいまです。蜂蜜を大量に取ってきましたよ。ですが…巣ごと持ち帰ったのでどうすれば良いのかわかりません…」

「うーん…なら私が解体しておきますね~。私は風属性が先天属性なので~。それと蜂の子はどうしますか~?」


蜂の子は蛋白質豊富な食べ物だが…その姿からあまり食べたくないという人がしばしば…俺は食べ物は粗末にしない人だ。それに蜂の子は高級品なのだ。食べる人が少なければ市場に流すというのも良い…まぁ少しは食べる。


「食べる分だけ貰って、残りは市場辺りにでも流しましょう。」

「は~い♪では外に蜂の巣を置いてもらえますか~?」

俺とリリアさんは外へ出る。そして地面に清潔な布を敷き、その大きな蜂の巣を取り出す。


「わ~!大きいです~!これは20分くらい掛かりそうですね~…」

「え?そんな早く終わるんですか?」

「はい~♪私は一応風魔法超級の取得者ですから~♪」

風魔法超級…!?確か魔法のランクは…


『初級→中級→上級→超級→聖級→神級』という強さに分けられる。その中でも上位の超級を使えるとなると中々の実力者…

「あ、因みに私は風超級ですが、エヴァンは土超級、セレナ様に関しては火、水聖級です~♪ここのメイドはスキルだけじゃなく、実戦の強さも兼ねて選ばれたらしいです~。」

えええ…身近に強い人が沢山…エルザさんは剣士タイプか…確かにあの人強かったな…


「では、僕は失礼します。リリアさん、頑張ってください。」

「はい~♪終わったら蜂蜜を使ってスイーツをお持ちしますのでお待ち下さいね~♪」

「はい、楽しみにしてます!」

蜂蜜は砂糖よりは高級では無いがそれでも貴重な甘味で、栄養価が高い為とても重宝される。俺とて蜂蜜は好きだ。


ーーーー

ーーー

ーー



~セレナとアルスの部屋~


▲セレナ視点▲



…この金色の蜂蜜…預かったは良いけどどうしましょう…このまま勿体なくて使わないのが目に見えるわ…そうねぇ…少し食べてみるかしら?

ん?ドアがノックされたわね…誰かしら?

「お母様、リアンです。」

あら、リアン…何のようなのかしら?

「開いてるわ。」


「失礼します…」

リアンが部屋に入ってくる。

「えっと…金色の蜂蜜の件なのですが、少し私に頂けないでしょうか?」

「ええ、良いわよ。丁度どうするか考えてたのよ。それと…一体何に使うの?」

「実はポーションを自作してみたんです。」

「…それで?」

「そのポーションはおぞましいほど効果が強くて、それで更に効果を付与出来ないかと考えていて、最後に魔力増加の効果を付与したいのです。もしかしたらその薬で様々な命を救えるかも知れないので。」


…ッ!!この子…良い子だ…!!

我が息子ながら感激したわ。それにしても…この子には本当に驚かされるわ…単独でA下位の魔物を倒して、5歳なのに火魔法上級を扱えて、ましてや先天属性が無属性…本当に神の子ね。

「うん…良いわよ。それじゃあ…魔法で壺か瓶を作り出してくれるかしら?」

「はい、分かりました。」


リアンは頷くと(てのひら)に壺を作り出す。というか良いわねあの壺…茶色に深みがあるわ。今度何か作ってもらおうかしら?

そして、次に木を作り出す。そんな魔法あったかしら…?無属性…では無いわね。

その木を風魔法で切り裂いて壺の蓋にピッタリのサイズにする。あの子職人になるのかしら?


「出来ました。」

「ご苦労様、それじゃあ入れるわね…」

私はそーっと蜂蜜を入れる…とろーっと黄金色の蜂蜜が垂れていく…そして蜂蜜の甘い香りが鼻をくすぐる…あぁ…良いわねぇ…

壺にたっぷりと蜂蜜を入れて、さっきリアンが切った蓋をはめる。

「はい、完成よ。それと…さっきの木を作り出す魔法はいったい?」

「あ、僕が作った土魔法です。」

「作った…?私ですら5つしか作れていないのにその歳で作ったの…?」

「は、はい…そうですが?」

「…天才ね。流石私の子。」

「わぁっ!」

私はリアンに強く抱きつく。リアンは特に嫌がって居ないようだけど…

「良い?リアン、強大な力は時に敵を増やす事になるわ。あまり目立たせないようにね。それと、自分が強いからって威張って相手を見下さないように。」

「は…はい…お母…様…苦し…い…」

「あっ…ごめんなさい…」

「大丈…夫…です…ケホッ…」


あー…本当にごめんリアン。

「では…失礼します…ケホッケホッ…」


リアンが退室していく…少し寂しいわね。

…アルス…まだ帰って来ないのかしら…?



ーーーー

ーーー

ーー


▲リアン視点▲


さて…この蜂蜜をポーションに混ぜてみる。

何せ蜂蜜は凄いからね。狩りを生業としている人は回復薬と蜂蜜を混ぜるとグレートな回復薬が作れるからね。きっとその原理でこっちもグレートな物が出来るはず。


黄金色の蜜をとろーっと深紅のポーションに入れて瓶を軽く振って掻き混ぜる。そうすると何故か金色に光り出した。化学反応かな?

「サーチ」


《種類:回復薬》


名称:完全回復薬(エリクサー)


説明:体力、魔力を共に全回復させ、永続的に上昇させる。活力や精神的な面にも効果がある。



…伝説の秘薬作り出しちゃった…どうしよ…というかこれ絶対お高いよね…白金貨何枚だろ?

うーん…報告すべきか?…いや、やめておこう。これは秘密にしy---

「リアン、薬は完成し…え?」


oh…



ーーーー説

ーーー明

ーー中


「なるほど…要するに伝説の秘薬を作り出して逆に困ってるのね…確かに誰かに売ったりしたらそれはとんでもない事が起きそうね。」

「はい…しかし伝説の秘薬ならばどんな難病も治せる気がして…」

「…リアン、絶対に他の人に見せちゃだめよ。」

「…はい。」

「それじゃあ、私は失礼するわね。」

「はい。」

――セレナが退出していく。



このエリクサーは取り敢えず誰にも見せないように布でカバーを作って入れておく。因みにこの布カバーは俺が作りました。

取り敢えず…5本に分けて…と…


小さめの瓶にエリクサーを分ける。少し余ったな…瓶とか無いし…そもそもわざわざ容れるような量じゃない…うーん…

「あれ?リアン君…何やってるです?」

「あ、トーク。…よし。」

トークに臨床実験(プレゼント)しよう。

「トーク、口開けて?」

「はーい…あー…」

トークの口の中にエリクサーを垂らす…すると、トークは急に光出した。今日はよく光るな…まさか突然変異?


…光が収まると、そこに居たのはトークでは無かった…

否、トークの姿をしていなかったのだ。

「ん~…ん?リアン君?」

「あれ…?トーク?」

トークは人型…それも俺より小さい少女に変化していた。髪の毛は茶色に、そして肌色に変化して…って…服ううう!!!服着させなきゃぁ!!!

目を隠しつつ、俺はトークに俺の服を着せていく…因みにこの服はアルスがチョイスした綺麗な青のワンピースだ…男にワンピースを着せようとするなよあの父親は…まぁこうして着てもらったなら服も満足だろう。


「わぁ…これが服です?」

「うん、とっても似合ってるよ。」

「ありがと…です…」

うーん…どうしよう…何でエリクサー飲ませたら擬人化するんだろう?

「トーク、犬の姿に戻れるかい?」

「んー…」

トークはすっ と小さくなり、犬の姿へ戻る。

「戻れたです」

「それじゃあ…人型にはなれる?」

「うーん…」

そしてトークは大きくなり、また人型へ戻る。自由に変化できるんだ…便利だね。もしかして人型だと物を食べられるのかな?

「ねぇトーク、お腹空いてない?」

「…空いたです。」

そして会話を聞いていたかのようにドアが開く。


「リアン様、間食のスイーツが完成しました!って…あら?リアン様はまた女の子を連れ込んだんですか?」

「違いますよ…この子はトークです。」

「リリアさん、トークです。」

「わぁ~!可愛い!それじゃあ、皆さんも待っているので食べに行きましょう!」

「はーい!」

トークは元気の良い返事をする。というかトークは元気な女の子だったのね。声が中性的から少女に一気に変化したし…エリクサー怖い。





~リビング~


皆が座って待っている…そしてリリアさんがトークを連れてくると皆ビックリしていた。


「リリア、その子はいったい?もしかしてリアン様が連れ込んだ子ですか?」

「エルザさん、一切連れ込んでませんって…どうしてそんな噂が流れているんですか…この子はトークです。」

「そうですよ~?確かにトークちゃんです。」

「リアン君…また女の子が増えた…」

「リアン…この家の性別の比率が凄い事になってるわよ…」


確かにこの家はほとんどが女だ。男が『アルス、俺』だけ…っておかしいだろ。女には『セレナ、エルザ、リリア、エヴァン、シエル、トーク』6対2…女性は強しなのかな?


「えーっと…女性はセレナ様、エルザ、私、リリア、シエル様、トーク様。男性はアルス様。性別不明はリアン様ですね。」


「へ?」


「確かにリアン君は女の子っぽいですよね…」

「そうね…私も昔から女の子服を着せてたわ。」

「ええ、リアン様とても似合っていました。」

「うーん…確かにリアン様は中性的ですね~…というか女の子でもバレないですよ…?」

「満場一致でリアン様は女の子。」

「ちょ!?待って下さい!!まだトークが居ます!!トーク、僕は男だよね!?」

「うーん…本読んだり絵描いたり勉強してて…髪の毛が長くて…眼鏡をかけてて…くしゃみが凄く可愛くて…目が大きいから…女の子!」


「…もう良いです…」



リリアが調理場へ向かい、パンケーキを持ってこちらへやって来る。ほかほかと出てくる湯気からは甘い香りが漂ってきている。




「お待たせしました~♪今日はリアン様が取ってきてくださった蜂蜜を使った『ハニーパンケーキ』です~♪このパンケーキは生地にも蜂蜜をふんだんに使ってます~甘くて美味しいですよ~♪」

「わぁ…美味しそう…です」

「トークちゃんって人になれば食べ物食べれるのかな?」

「多分…大丈夫です。」

「それじゃあセレナ様、よろしくお願いします」

「ええ、食材に感謝を。」


セレナがそう言うと皆続けて言う…シエルとトークのパンケーキは一口サイズに切り分けてあり、俺達のはナイフとフォークで食べる。

まずはフォークを刺し、次にナイフで切る…ふわっとした生地にはナイフがすぐ通る…そして切るとふんわりと香る蜂蜜の甘い香り。

口に入れ、柔らかい生地を咀嚼すると甘い香りが口いっぱいに広がる…


「美味しい…です。」

「あら~?トークちゃんやっぱり食べれるんだね~♪ありがとう~。」

「トークちゃんは今日から『トーク・ベルクレーテ』ね。これから宜しくね。」

「はい!よろしくです!」


この家に新たな家族が迎えられた。


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