#13: 鍛治屋と魔晶石
村の鍛冶屋に着いた。中からは鉄を打ち付ける音が響いてくる。そして煙突からは黒い煙がモクモクと出てきている。
中へ入ると、随分と油臭い所だった。工房の奥への扉が開き、ヒゲを生やして、背が低く、耳が長い人間らしき生物…正確には『地精種』が出てきた。
「おう小娘。何の用だ?」
「あ、実は作って欲しい物がありまして…設計図がここにあります。それと僕は男です。」
「はっはっは、そりゃ悪かったな。どれ、設計図とやらを…っんん!?何じゃこりゃ!?良く出来た設計図だが…これはお前さんが作ったのか?」
「はい、僕が一から考えて作った武器です。材料はありますよ。」
そう言って『アイテム収容カード』から魔鉱石の結晶を出す…が、魔鉱石の結晶は色がさっきまでは紫だったが、蒼に変化していた。
「小僧、そりゃまさか魔晶石じゃあねぇか!?俺も初めて見るが…間違いねぇ、それは『魔晶石』だ。俺のパッシブスキルの『鑑定』がそう答えてる。」
パッシブスキル?また新しい単語が…というか魔晶石って何だよ。
「あの…魔晶石って何でしょうか?」
「魔晶石は結晶化した魔鉱石が魔力の適応に成功して、高濃度の魔力を吸収した魔鉱石だ。それが、魔晶石になるんだ。因みに魔力の適応に失敗したらただの石に戻る。とてつもなく貴重な鉱石だ。そうだな…オリハルコンよりレアだな。」
オリハルコンってあの伝説の鉱石!?あれよりレアって何もんだよ魔晶石…そんなに適応しにくいのか…いや、仮に適応できても高濃度の魔力を吸収出来ないか。
「えっと…これを渡すので作ってくれますか?それと余った魔晶石はお譲りしますので。」
「!!良いのか!?それじゃあ任せとけ!だが、少なからず時間が掛かるし今回の設計図は複雑だ。多分3日くらい掛かるだろうな。」
3日か…まぁ大丈夫だろう。
「それじゃあ、材料を全て渡しておくので、完成したらベルクレーテ家に持って来て下さい。」
俺は魔晶石や魔石など諸々とカウンターに置いておく。
「おう、確かに。お?お前さんアルスとセレナの息子か。村の中でも話題になってるぞ。」
「え…話題にって…何故?」
「そりゃ何でも先天属性が無属性らしいからな、詳しくは俺も良く分からないな。あくまでも小耳に挟んだ程度だしな。」
「そうですか…では僕はこれで失礼します。まだ剣術の鍛錬も終わってませんし。」
「立派なこったな。頑張れよ!」
「はい、ありがとうございます。」
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PM:10:00
ベッドにドサッと飛び込む。今日は随分と濃い一日だった。新しい単語が二つ出てきたな…『魔道士学会』と『パッシブスキル』…二つ共明日詳しく聞いてみるかな。ふぁーぁ…眠い…明日はどんな一日になるんだろうな…
おやすみなさい。