#11: 地下倉庫探索
俺達は地下倉庫へ向かっている…だが、中々辿り着かない…アルス曰く、結構遠いらしい。
その空気はじめじめとしていて、地下牢獄や洞窟などを思わせるような雰囲気となっている。セレナは顔を顰めている。だが、俺だって男の子。こういう物に憧れてしまう。ロマンなのだ。
「さ、着いたぞ。」
「ここが…ですか?」
「何か洞窟から遺跡くらいの変化ね。」
到着した場の周囲はじめじめから乾きが一切無い砂岩のような建築物に変化していた。
「えっと…この扉を…あけ…てっ!!」
アルスが力を込めて横に引くが、扉はビクともしない。しかし、セレナが前に押すとすぐに開いた。
「あ」
アルスから間抜けな声が漏れた。これは恥ずかしい間違えをした。
「あなたってドジよね。」
セレナにクスりと笑われて少しショックのアルスだった。
中へ入ると、説明のしようがないくらい色々あった。魔物の剥製や魔石、鉱石に魔法具、それに一切腐らないという食べ物もある。正直品揃えにビックリしている。
「凄いです…」
「だろ?」
「あなたって結構収集癖が激しかったのね…」
「そいつぁ心外だ。使えそうな物を集めてったらこうなっただけだ。」
「それを収集癖というのでは…」
「ま、まぁともかく。魔道士のお二人さんは使えるような物を選定してくれ。中には用途不明な物もあるから使い方も見つけてくれたら助かる。」
無属性魔法の出番だろうか?物の名称と用途が解る魔法『サーチ』を使えば色々と解るだろう。
「それじゃあ僕は右側を」
「私は左を探すわ」
「俺は奥の中央部だな」
「それじゃあベルクレーテ家総出、アイテム探し隊の捜索開始だ!」
「おー!」
「お…おー?」
正直俺はテンションについていけてない。だがセレナはバリバリついていけてる。ちょっと謎。
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▲桐矢視点▲
この倉庫を一言で言おう。『謎』だ。
サーチで見た限り、使えない物もしばしばある。何よりも何で木が丸ごと置いてあるのかがわからない。サーチで見たけど『木』って出たよ?どうやって持ってきたんだろう…お?
なんだこれ…カードキーみたいな感じだけど…
《種類:魔道具》
名称:アイテム収容カード
用途:魔力を込めて物を沢山仕舞える空間を作り出して収容できる。最大容量は持ち主の魔力によって決まる。重さはカードの重さである。中は時間が止まっているため、食材などは鮮度が落ちない。魔力を込めた主によってアイテムの内容は異なる。その為、盗難の可能性は低い。だが希少な魔法具である。他にも『アイテムストレージ』という魔法具がある。その中のアイテム内容とカードのアイテム内容は繋がっている。
うぇ!?凄い便利じゃねぇか!というか何でこんなもんをここに放置してるのかが謎だ。
他にも色々と探してみよう。
▲セレナ視点▲
色々あるわね…えっと、これが男の浪漫ってヤツなのかしら?あら、結構な大きさの魔石…風属性ね。これは持ち帰りましょう。他には…あら?何かしらこの箱…
「きゃあっ!?」
ビックリした…まさかのびっくり箱?いや、違うわね…中に魔石が沢山入ってるわ。各属性全て入ってるわ…アルスったらこの中身に気づかなかったのかしら?
他にも用途不明な物はリアンの無属性魔法で見てもらいましょうか。あら、何かしらこの水?良くわからないからリアンに任せましょう。
というか良くもまぁここまで集められるものね…ちょっぴり惚れ直しちゃいそうね。
他にも…何この眼鏡?黄色い縁で少しお洒落ね…掛けてみましょう。
…あら…魔力の流れが見えるわ。この水から魔力が溢れてるわ。他にも魔石とかからも出てるわね…これは使えそうかしら。
▲アルス視点▲
うーむ…?用途不明の物が多いが、こちらには素材とかが色々とあるのか?うおっ、これは…魔鉱石が結晶化して大きくなってる…そういえばここら辺魔素が充満してるな…ここで爆発魔法使えば確実に連鎖して死ぬな。
ん?何だこの腕輪…?だが今は填めるのはやめておこう。急に針が飛び出て腕がぽろっとかは御免だ。他には…剣の整備用のオイルに、ポイズントードのガマ油…これ使えるのか?妙に毒々しいし…ん?ブレスレット?それに鏡?
何だこれ…女性用のアクセサリー類多過ぎないか?ここには素材とアクセサリーが沢山あるのか…お?これは短剣か…?魔鉱石の結晶を斬ってみるか?
アルスが魔鉱石に短剣を振りかざすと、いとも簡単に斬れた…いや、裂けた。
は?魔鉱石が紙のように裂けるって何もんだこの刃物…確かリアンが魔法具作成に使うって言ってたし持ってくか。お、これ専用の鞘があるな。後は…迷宮の主の剛腕牛人の革か…これはかなり頑丈かつしなやかだし使えそうだな。これも持ってっとくか。
さて、もう少し探すかな。