#1: 突然の死を告げる老人
僕の名前は『東雲 桐矢』普通の高校三年生。そして今僕の眼下に浮かぶのは雲。そこら一帯がすべて雲。そして申し訳なさそうに謝る老人。正直僕には到底理解出来なかった。
「すまんのう…」
ぺこぺこと僕に頭を下げて謝る。どういう事なのか聞いてみることにした。
「実はワシは神でのう…ワシがミスしてお主が急死を遂げる…いや、存在を抹消されるの方が近いかのう。お主はワシのミスによって存在を消されてこの世界…言うなれば『神界』に居るんじゃが…本当にすまん…」
「いや話が全く飲み込めません。貴方は神様で、僕は貴方に消されたんですか?」
「そうじゃ…本当にすまん…」
どうやら、僕は消えたらしい。でも何か胡散臭い気がするけど…雲の上にいるんだしまぁ信じるべきか。雷でも落とされたらたまったもんじゃないしね。
「…まぁ…仕方ないですね…過ぎた事を言われてもどうしようも無いですし…元の世界に戻してもらえます?」
「すまんがそれは出来ん…お主の存在は全て抹消し、綺麗さっぱり消えて無くなったのじゃが、それに後から新たにお主が入り込むと不自然な歴史が出来て干渉しようにも出来ないのじゃよ…」
なんですと…というか元々僕が居たんだからその歴史をまるっきし使えば良いんじゃなかなぁ…でも仕方ないか。
「…それじゃあ他の世界に行く事は?」
「それくらいなら出来るが…お詫びに、何かしらワシからの餞別をさせてくれまいかの?」
僕は少し悩んだ。別世界に行けるというのならアニメの世界的な所にも行けそうだし、色々と面白そうだからね。
「それじゃあ…剣と魔法の異世界に行きたいですね。それと赤ん坊から始めたいです。それで餞別に関しては神様への干渉を可能にして頂ければそれで大丈夫です。」
「そ…そうかの?お主はあまり欲がないのう…出来上がっとる子じゃ。それじゃあワシへの干渉は可能にしておこう。それとオマケとしてある程度の能力を授けよう。少し飛ばす先の事の話をしておこう。」
「今から飛ばす場所は剣と魔法の異世界、そこには魔物が沢山存在し、様々な人種が存在するのじゃ。人間をはじめ、『地精種』『森精種』『混魔族』『獣人族』…他にも何種類かおるのう…それと魔物と魔族の違いじゃが、魔物は基本的に知性は低く、会話が出来ないのう。そして魔族じゃが、基本的に会話は出来るし、完全な悪では無いが、力が強かったり、姿が恐ろしかったりと恐れられてる種族じゃ…」
「詳細は現地民にでも聞くと良い。他に質問は無いかのう?」
「神様はいったい?それと他の神様はいらっしゃるんですか?」
「ふむ…ワシは世界神。全てを統べる階級的に一番上の神じゃのう。それに加え、上級神の12神、他にも沢山おるのう。」
神様って沢山いるんだ…日本人にとっての神様といえば『伊邪那岐様』とか和の神達。でもそれより上の神様のようだ。どうやら凄い神様と知り合ってしまったようだった。
「それじゃ、準備はいいかの?」
「はい。」
そう言うと、眩い光が迸り、僕の周囲を包み込む。そのまま僕は意識を手放した。というか本当に神だったのね…