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TSSS 7章 (下)

面白くなってきました

「最近登校日数に偏りが出てるのは知ってるよな。本人は具合が悪いって言ってるんだが・・・まあ実際の理由はお前も気が付いてると思う。ちょっと見舞いってことで行ってやってくれ。場所は分かるな?」


天城(黒髪)が学校にめっきり来なくなってから1週間。もうすぐ体育祭というころだった。


北見先生が俺にそう言ったため、俺は例の廃ビルの前に来ていた。


1週間何をやっていたんだという叱責は甘んじて受けよう。俺も何度もここを訪ねようと思った。


ただ、事態の深刻さゆえに、どういう顔をして会って、何を言えばいいのか。分からずに、ずるずると日が経ってしまったのだ。


今日は一人で来ている。体育祭で代表に選ばれた天城(銀髪)は、いま学校でリレーの練習をしているところだろう。


俺一人で入れるのかと聞いたが、セキュリティは俺に限り解除してあると聞いた。


厳重なセキュリティを突破するのは泥棒にでもなったようで多少高揚感を覚えたが、今はそれどころではない。


ドアをノックし、俺だ。とだけ言って、ロックが解除される音を聞いてから、俺は鉄製のドアを開けた。



---



「調子はどうだ?天城」


どう声を掛けようか迷ったが、ひとまず具合が悪いという設定に合わせることにした。

まあ、精神的なものだろうが具合が悪いというのもあながち間違いではないだろう。


「うん・・・大丈夫。見舞いに来てくれたんだ・・・あっ」


俺を見て多少顔をほころばせた天城は立ち上がったものの、バランスを崩したのか前に倒れ込む。


「おっ、と…。大丈夫か?」


慌てて受け止めた天城の体はか細く、今にも折れてしまいそうで、そして、とても熱い。


額に手を当てると、火傷してしまいそうなほど熱くなっていた。


「な・・・お前これ、熱あるんじゃないか?」


「うん、そう・・・かも。今朝からなんか熱っぽくて・・・」


意識も朦朧としたような感じでそう口にする天城。ぐったりと俺の腕に体を預けている。


「と、とりあえず寝てろ。今、誰か呼んでくる・・・」


天城を抱えてベッドに戻して布団を掛け、そう口にして急ぎ足で部屋を出ようとした俺の手を、寝たままの天城が掴んだ。


「い、かない、で・・・。ここに、いて・・・」


縋るかのようにそう懇願する天城をおいて、この部屋を離れるなんて・・・俺には、できなかった。



---



「ええ、本当にすごい熱で・・・今は寝てます。今晩は一緒にいようと思います。あの、飯とか、風呂とかはどうしましょうか」


あれから小一時間ほど。寝付いた天城を置いて外に出ると、俺は北見先生に現状を報告した。


「あの部屋の奥に全部ある? わ、わかりました。だ、大丈夫っすよ・・・」


料理なんてできるのかと訝しむ先生をたしなめて、俺は電話を切る。


・・・しかし。


えっと。。。おかゆと雑炊ってどう違うんだろ・・・


天乃谷玲次15歳。家事、一切の素人です。

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