森の中
目を覚ますとそこは森の中だった。
ぼーっとしてなかなか働かない頭を振りながら立ち上がる。
足元は雑草のような草や枯れ葉で覆い尽くされており服はそれほど汚れてはいない。
が、多少気になるため服をはたきながら周囲をもう一度見渡す。
周囲では昨今の日本では見られないような立派な木が生い茂っており、日の光すら遮断している。
(ここはいったいどこだ?いや、そもそも首を切られて死んだはず!)
頭が働きはじめその事実を思い出す。焦って首筋に触れてみるが切られた跡などは感じられない。また、服をはたくときには思い至らなかったが血で濡れているはずの服もきれいなものである。
(一定何が起こったんだ?最後の鷹の眼と人を殺しておいて動かなかった黒ローブが一番怪しいが――)
考えつつ持ち物を確認しているとポケットの中に紙切れを見つけた。
身に覚えのない紙を不審に思いつつも取り出すと文字が書いてあるのが分かった。
“こんにちは。夜鷹爪牙くん。お目覚めの気分はどうかな?
僕は神と呼ばれるものだ。君の現状を多少でもよくするためにこのメモを渡したんだ。
僕から教えられることは3つ。
1つ、まず君は間違いなく一度死んだこと。
2つ、ここは君たちのいうところの異世界であること。
3つめ、死んだ原因はこの世界にいる悪魔と呼ばれる存在のせいだ。
これ以上は僕のほうからは干渉できないから我慢しておくれ。
最後にこれを読み終わったらステータスと言ってみてくれ。
イメージ通りのことが起きるはずだ。
大変だと思うが頑張って生きてね
by神“
読み終えると紙は光となって消えてしまった。
(神様とか眉唾だと思ってたがこの分だと本物なのか?)
そんなことを考えながら消えていく紙を眺めていた。
(情報をまとめると、俺は一度死んでいて、ここは異世界で、俺は殺した悪魔がいると…。ほとんど何もわからないじゃないか…)
そう考えて途方に暮れていたが最後の一文を思い出し取り合えずステータスだけでも見てみることにする。
「ステータス」
瞬間頭の中にウィンドウが表れる。
名前:ソウガ ヨダカ
性別:男
年齢:20
属性:風
STR:10
DEF:5
AGI:15
INT:12
MIND:8
TEC:13
BP:5
Ability:部分硬化
鷹の眼
伸縮Lv1
Skill:集中Lv1
体術Lv1
頭に思い浮かぶのはびっくりしたが、落ち着いて内容を眺める。
いくつか気になる点はあるがおよそゲームのステータス画面と同じ仕組みになっているようだ。HPは表示されないのは現実だからだろう。いくらレベルが高くても頭がなくなれば即死なのは変わらないだろうからな。
(わからないのは属性とBP、後はAbilityとSkillの違いか…)
属性に関してはおおよその予想はつく。異世界ときて属性と来たら魔法の適性のことだろう。しかし、この世界に魔法があるのかといったことも分かっていないため断言はできない。
(属性は魔法の存在がわかるまで保留だな)
そう結論をだし残りについて考える。
(BPはバトルポイントの略か?ボーナスポイントのほうが近いかもしれないな。)
BPの欄をにらみ、使用できないかと考えた。
BPを割り振りますか? Yes / No
再び現れたウィンドウにより予想がある程度当たっていたことがわかる。
(問題は何にふるものかってことだよな。可能性としてはステータスかスキルかだと思うが)
確認の意味も込めてYesを押すとステータスの右に上下の矢印が現れる。スキルの欄には表れていないことから、BPで上昇させることができるのはステータスのみのようである。
いざという時のためにBPは取っておくことにしてウィンドウをステータスの画面に戻す。
(後はAbilityとSkillについてか。う~ん、何とか効果がわからないものか)
そう思いながら部分硬化を見ていると効果の説明が現れる。
部分硬化:身体の一部を硬化可能。強度は鋼レベルまで硬化可能
(一応説明はでてきてありがたいが、情報が少なすぎないか?)
身体の一部というのがどこまでに含まれるのか書いていない。後で確かめる必要がありそうだ。だが、その前にほかのAbilityを見てみることにする。
伸縮Lv1:骨格に影響を与えない範囲で身体の伸縮が可能。伸縮速度、距離はLv依存。
鷹の眼:視野拡張、視覚強化
(相変わらず説明は短いな…。全部まとめれば方針は立ちそうだが試してみないとできるかわから―――)
ガサガサッ!!
背後の草木をかぎ分けナニカが現れる。現れたのは緑色の肌を持つ小柄な醜い人のような姿をしたゴブリンとでも呼ばれるようば魔物であった――
読んでいただきありがとうございます!
ここをこうした方がいい等意見がありましたらよろしくお願いいたします。