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序章

(一)

真暗闇の洞窟の中、

そこに一つの蛹が眠っている。

蛹は声を上げるコトもなく身体を揺らすコトもなく、ただじっと夢を眺めながら過ごしている。

夢は素敵な色彩を放ち、穏やかで優しく温かな世界。 蛹はいつまでもこのままでいたいと思ったが、命を有したモノは必ず成長していかなければならないコトを知っている。

やがて、静かなる小さな時の滴は湖という器に満ち、蛹の背に一筋の亀裂を誕生させた。

亀裂はぐんぐんと伸び、そして緩やかに拡がり大きな裂け目となり、命はその裂け目より手を伸ばし新世界へと抜け出そうともがいた。

裂け目はヌルヌルとした体液で溢れ、命は身体を滑らすようにして時間をかけ、ようやく新世界へと抜け出した。

まだ何も知らない命の肌は透き通るほど白い。

命は暗闇の断崖を何も考えるコトなく、ただひたすらよじ登る。

突然、上空から「東の果てを見なさい。」と声が聞こえ命は上空を見上げてみると、真暗闇だと思っていた洞窟にポッカリと白く巨大な円が浮いている。

命は何も疑うコトなく声の言うまま東の方角を見ていると、やがて暗闇の中に一筋の光が現れ、そしてみるみるウチに膨張し光の塊と形を変え、この星を光で照らし覆い尽くした。

命の身体はいつしか褐色に染まり、命はその時、生まれて初めて大きく産声を上げた。


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