8話:空想劇-海神の正体-
海神一族の屋敷へ、そのまま降下していった。
風に流されることもなく、ピンポイントで屋上に着地できたことは幸運だったが、屋上に海神家の執事が待ち構えていたことは不運だったといえる。
「ようこそ!お待ちしておりました。旦那様が執務室にてお待ちしております。」どうぞっと、案内をされることに。
屋上から中へ入ると、いかにも高そうな壺や絵などが飾られており、ゲームの主人公感覚で言うなら壊してメダルとか重要アイテムが入っていないかやってみたいものだが、あいにく執事がいるから出来そうもなかった。
そのまま、執事について歩いていくといくつか執事の方に質問をされた。
具体的には”旦那様と私の過去”について聞いてきたのだ。
まあ、嘘もなく真実だけを語る。
何故私がこの執事に対して自身の過去について語らなければならないのか、また何故私はこうも嫌な過去を語っているのか・・正直不思議な感覚と言うものである。
そんなこんなで話しながら進んでいくこと20分(家の中広すぎだろ・・。)、ようやく執務室に到着した。
執事の方が、”それではわたしはこれで・・”と廊下の奥へと消えていった。
いよいよあの男と対面となるのかと思うと、心臓の鼓動がやけに早くなるような感覚に襲われめまいもした。
「ここで終わらせる・・。」
そう思い、言い聞かせ中へ入ると紅茶片手に海神が立っていた。
「ノックくらいしろよ。」
笑いながら、彼は紅茶のカップを地面にたたきつけたのであった。
「あーあ、このカップ100万くらいしたのにな・・まあいいや。」
そういいながら、割れたカップをその辺の小石を蹴飛ばすように蹴りはじに寄ったところで、執務室のいかにも皮の生地使ってそうな椅子にどかりと腰を下ろした。
「改めまして、ようこそ我が屋敷へ。歓迎はしないのによく来たね。全くいい迷惑なんだけど・・この後国会で国の予算とか話さなきゃいけないんだけど・・何の用?」
全くと言っていいほど勝手な奴だ。
自己中心的すぎるこの言い方・・ずいぶんご挨拶な奴だ・・。
「手短に済ませるというなら、まずお前には死んでもらうけど。その後、神河を探して連れ帰るさ。」といい、懐から拳銃を取り出した。
拳銃を見るや否や、いきなり海神は笑い始めた。
「そんな現代兵器で、倒せると思ってんの?超うける。」
と言われたので、試しに足を狙って撃ってみた。
すると、なんだこの状況は・・。
弾丸が空中で止まっている。
こんな超能力みたいな真似ができたやつではなかったはずなのに・・。
こんな能力いつ・・
「お前何者だ?何故こんな能力を・・いやお前・・誰だ?」
「俺は海神だよ。」
「いや・・違う・・。お前は・・お前は・・まさか!」
「いやだから海神だってば・・・なんてそろそろ言いか。久しぶりだね。この状態や姿で会うのは中学以来だね・・」
この威圧感はあの時のあれに間違いないだろう・・。
だが何故?あれは神河の中にいるのでは?
「お前は、あの時の邪神・・だろ?」
そういった瞬間に、海神の目が赤色に変わった。
「貴様はあの時の小僧ダロ?我は邪神。この世に再び生をなし復活を遂げた古の神だ。」
「何故だ?お前はあの時・・」
「はっはっはっは~。おぬしが混乱するのは無理もなかろうて・・。然らば、事の顛末と言うものをみせてやろうではナイか。」
そういうと奴の手元に光がかかったと思ったら、何か私の頭の中にビジョンが浮かんできた。これは・・