4話:復讐劇-神河(かみかわ)の場合-
難易度☆☆☆☆
対象者:いじめの主犯格
復讐方法:完全なる報復(埋める程度)
今回のターゲットはこのレベル。
主犯格と言うのは勿論ながら、私は思い出すだけでも恐ろしいことをこの男・・神河と言う、名前に神を持っているが全く持って神では無く悪魔のような奴にされていた。
この男の特徴としては、身長がデカく、ごつい男だ。何せ、中学2年時における奴の身長は185cmとすごく高かった。また、足がとても速いうえに、力もかなりある。まさに最悪の条件である。
逃げるにも逃げれないし、捕まったら暴力。
私の右腕には、あいつのせいで消えない傷跡がある。
根性焼きとか言って、学校にあったはんだごてで焼かれたのだ。
全くもってひどい・・。
これで今のあいつときたら、とあるゲーム会社の社長をしているらしい。
年収5億程度だと、仲間内には話しているらしい。
腹立つ・・。
しかも・・いや、この話はあとでにしよう。
まあ、逆恨みではなくて私がこれから行うことは、10年前から決定していたことなので逆恨みではなく、決定していたことなのだから・・。
今回も前回同様に計画をきちんと考え、情報を集めるところから始めるとしよう・・。
と言うわけで(どういうわけだよ)、神河の行きつけの飲み屋に来た。高そうな外見だったのですごいとこなんだな・・と思っていた。驚きだったのが、今ここにいる店がゲイバーであったということである。
いつも指名を受けているという、花岡源重郎ここでの神河に呼ばれる際には花ちゃんという彼に話を聞くことができた。
個室に連れていかれた私・・。何されるんだろう・・と若干おびえていた。花ちゃんはいたって普通に
「俺ね、神河ちゃんしか興味ないから大丈夫。」
と悟ったように言いつつ、足とか触ってきた。前言撤回早くね?
「さて・・あなた神河ちゃんのなんなの?彼氏?お前なんかに、彼はやらねえぞ。」
と昼ドラばりに、ドロドロしてきた・・。いやいや、いらねーよあんな奴。トラウマだし・・。あいつの顔。
「そんなんじゃないですよ。私は、新聞記者の琴吹と言います。」
と、偽名を名乗り偽の名刺を渡した。
驚いつつ、普通に名刺を受取った。しかし、警戒したようで
「記者の方がいったい何の用なんだ?」
と言い返した。しかしながら、こちらには口を割らせる手段として手持ちには情報が存在している。
まあ、それを使ってもいいのだが・・それはあくまで最終手段としておきたいのでここでは、控えておこう・・。
こうなったら、いつも通り話術で攻めるとしよう。
「私は現在、神河さんの成功の秘訣はなんなのかと言うことで、取材をしようと思っているのですが・・そこで、あなたのおかげであると同業者の方から聞いたもので・・実際に神河さんの前に取材しようと思いまして・・」
ちょっと苦し紛れだったかな・・さすがにやばいだろう・・。
「ええええ!!!いやいや、そんなことないですよ・・。」
いや、意外に照れてるぞ・・。これならいけるかな・・。
「よろしいですか?取材させていただいて?」
「そんなことなら、いいですよ。」
やった・・。
「神河さんとの、馴れ初めというのはなんだったんですか?」
「ああ、それはね。あれは、今から2年前。ちょうど、神河ちゃんが会社を設立した時だったかな・・。そのころにお店に来るようになって今では・・」
と花ちゃんは頬を赤くしながら照れた。
いったい何したんだろう・・いや知りたくないけど・・。
続けて彼はこういった。
「でも今から考えると、あの頃ってちょうど有名な議員の方も来てた頃ね。なんでも神河ちゃんの友達だって・・たしか名前は・・海神だったかな・・。」
とこちらを向いた花ちゃんは私の顔を見てやや恐怖を覚えたようだった・・。うかつにも私の前では禁句にあたる名前を出してしまったための結果である。
海神・・。その名をここで、聞くとは思わなかった・・。
この物語の黒幕・・。私が神河の次に狙うターゲット・・。
おっといけない、いけない。この顔は出さないようにしていたのに。戻さなきゃ。
「あの・・大丈夫ですか?すごい怖い顔していましたけど・・。」
「ああ・・すみません。海神さんには少しばかりか取材の時に痛い目を見ましたのでそれを少し思い出してしまったものですから。あの時の悔しさが出てしまいました。申し訳ないです。」
「ならいいんですけど・・。話の続きをしてもいいですか?」
「はい。すみません。」
平常心・・平常心!っと。
「それで、その議員さんと仲良く来ていたのですが・・次第に議員さんの方は来なくなって・・。それで、神河ちゃんだけになってきたんだけど、そのうち仕事の話しとか愚痴をこぼすようになってますますかわいい・・」
コホンと咳払いした。いやいや、聞こえてますよ。かわいいって言ったんでしょ。どこが可愛いのやら。
「愚痴と言いますと・・例えば?」
「そうだな・・会社の事が多かったかな。あの時期は創設初期だったから大変だったんでしょ。」
「なるほど・・その愚痴をあなたに言ったからこそ、今の彼があるのかもしれませんね。」
「うわ。うれしいこと言ってくれるね。ありがとう。飲み物一本つけるね。」
と、店の奥の方に行き、数分後お酒を瓶ごと持ってきた。何やら珍しいお酒だなと思ったらドンペリ出てきた。うれしいけど、大丈夫か?こんなの出して・・。まあいっか。と飲みながら話を続けることにした。その後、対した関係性のない話を1時間ほどした後、
「それで、その後神河ちゃんは立派に社長になったんだよ。」
と言う風に花ちゃんの話は終った。
「なるほど・・貴重な話ありがとうございました。では、私はこの辺で・・」
と言って席を立とうとしたとき、やけに眠気が・・
まさか!
「さっきの酒に何か・・」
「ああ、強力な睡眠薬を・・。効き目が遅いから心配したけど良かった。神河ちゃんにさっき連絡とったら、そいつはおそらくあいつだから眠らせといてくれって言われちゃった。なんでも、天川って人から聞いたらしいんだけどね。しかも今回うまくいったら、正式に付き合ってくれるって言ったからね・・さあ、大人しく捕まってね・・陸守くん。」
私の本名を・・陸守・・それが私の名前・・。
意識が・・薄れる・・。
このままだと・・計画が・・。
私は、懐に仕込んでいたサバイバルナイフで自分の右腕にある傷を刺した。
ざっくりいった。血がとめどなく出てきたがおかげで痛みで目が覚めた。
「残念・・だったね・・。この程度で・・負けるわけにはいかないんだよ・・。」
気力で持ち直した私は逃げようとしたが、その行く手を花ちゃん否、敵になったのだから花岡と呼ぶべきか・・
花岡は立ちふさがった。
「あなたに逃げられると、神河ちゃんと正式に付き合えないじゃないの・・。大人しく捕まりやがれ!」
「その前に1ついいか・・。」
「・・・?」
「神河が不正の金でのし上がったという事実は本当か?・・。何やら裏で動く組織もあると聞くが・・。」
「いいわ。冥土のってわけではないけど、捕まるんだから話すわ。確かにその通り。神河ちゃんは裏で薬を売る仕事をしていてね・・私はそのお手伝いをしていた。そこから得た利益で、ゲームを子供たちに提供していたわけ・・。まあ、ちなみにボスは私なんだけどね。ここのバーもカモフラージュで本来は薬の売人しか知らない場所だから・・だからこそ新聞記者なんてこないいんだよ。」
「なるほど・・貴重な情報ありがとう・・。これで奴を完全につぶすことができる・・。」
「はあ?お前何言ってんだ?ここで捕まって、後で殺すお前にはもうチャンスなんかねーよ。」
「いいや・・私はあなたが彼を裏切るような情報を持っている・・。」
「やだな・・そんなのあるはずが・・」
「これを見ても、同じことが言えるかな?・・」
左腕が痛みながらも、私はある1枚の写真を出した。
これが先ほどから、出し惜しみしていた切り札・・。
「これは?」
「おやおや、彼氏の情報は知らなかったのかい?・・それは、神河と神河の奥さんと神河の2人の子供の写真だよ・・。」
花岡は驚きを隠せない様子だった。なぜなら、自身は騙されていたことを認めたくないという思いも強いが、しかし揺るぎない事実であることには変わりがなかったのだが・・
「それが真実なんだよ。あなたは騙されている・・目を覚ますんだ!」
私がそういうと、花岡は泣き崩れた。
まるでサイレンのような大きな声だったが、悲しみと怒りが伝わる・・そんな声だった。
そして、何かを決意したように花岡は
「・・分かった。ありがとう。あなたは命の恩人だわ・・。」
命の恩人とまで言われてしまった・・。まあ、よかった。
その後応急箱を持ってきて丁寧な手さばきで腕を治療してくれた。まあ、応急処置だけどね。その中でも花岡は絶え間なく
「神河・・よくも・・よくも・・騙したな・・。」
と言っていた。そういえば神河はいつくるのだろう・・。
「神河はいつ来ると?」と花岡に聞くと
「確か・・今は23時だから・・あと、10分かな。」
「・・。そうですか」
「あの男どうしてくれようかな・・男の純情を・・。汚しやがって・・。」
乙女の純情とはよく聞くが、男の純情とは・・まあ・・いっか。
「もし、花岡さん・・あなたがこの件を私に任せてくれえるなら・・私があなたの分まで復讐してやりますよ・・はなからそのつもりでしたので。」
「陸守さん・・あなたは、神河と何があったの・・。」
と聞かれたが、答える気は無い・・あれは語りたくない・・。
「昔ちょっとね・・まあ、とりあえず、どうしますか?」
「じゃあ、あんたに任せるわ・・。俺は今から、あいつとの関わりを捨てる。証拠も消しに入る。しかし、もし何かあればここに電話してくれ。」
と、ポッケからメモを出した。有難い限りだ。
「では、私はいったん帰って休むよ・・」
そういって私は、この店を後にした。見送りにわざわざ店の外に出てきてくれた。優しい人だな・・。そう思い、潜伏先のホテルへと帰って行った。
次の日の朝、何気なくテレビをつけるとそこに映っていたのはいたのは花岡の店と花岡の死を告げるものだった。
花岡は殺された・・
また、組織も検挙されていた。証拠もおそらく消されたであろう・・。
やられた・・
次に続きます。