二つ
「ナンナ? あぁ勝神のことか。さあね、最近じゃ何の話も聞かないよ。それよりソル、あんた綺麗な石を持ってるね。それについての話なら聞いたことがあるよ。」
ソルはがっかりした。石のことなんかどうでもいい、今はナンナのことで頭がいっぱいなのにこの情報屋といったら、こちらの話より自分の話の方が俺のためになると思っているらしい。本当に自分勝手なやつしか居ない。だが、一応教えてくれたといえば知らない、と言う情報を教えてくれたので話を最後まで聞いてやろうと思った。
「あんたはどんな力を持っている? あぁ、言わなくて良いよほんの演出だからさ。ジェノサイドの時元帥で今でも現役のあいつの力は、人の力を石にして奪う事ができるらしい。そうしてできた石は透明ですごく綺麗らしい。」
凄い情報だと思った。この石がそんな恐ろしい物だとは思わなかった。力にはその人ならではの強力さがあるため、人の力を奪う力で無い限り自分の体にその強力さを合わせることはできない。たまたまソルはそういった類の力を持ち合わせて居ないが、そう言う奴らがこれを奪ったら、間違いなく大変なことになるだろう。石にしなくてはならないほど強力な力なのだろうから。ちょっと待て、そんなものが何故今俺の手に握られているんだ? 一人につき一力、十人十色、同じ力など存在しないと言われているのに。元帥の持つ石を何故父が?
「あんた今何故これがここに?って思っただろう? お前が生まれていたかどうかは分からないが、少し前に元帥が綺麗な石と称して抽選を行ったんだよ。もしかしたらお前の親はそれに当たることができたのかもしれないな。」
それが本当だとすると、そんな事何故したんだろうか。ただの気まぐれなのだろうか、それとも何か目的を持ってそれをやったのだろうか。だとしたら何の目的でやったのだろうか。色々考えるがわからない。と言うか、そもそも俺の目的は石ではない。ナンナだ。こんなの時間の無駄だ。
さっさと次の情報を探そう、そう思い外に出るとすでに視界は黒く所々にある蝋燭が優しく道をテラスだけだった。どの店ももう閉店しているようで、宿を見つけるのは不可能そうだった。いかがわしいところ以外は。ソルは大きくため息をついた。野宿なんかしたくない、でも宿はソレしかない。では止まるしかない。でもそこで買ったそれはどうする、事情を話しナンナについて聞きナニもせずに寝るか? それでは何かもったいない気がする。いや、しかし…。