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月は沈み続ける。
少年は当時、勝神と呼ばれていた。少年の立てた作戦は完璧で、非の打ち所が無かった。だから皆少年を信じた。神のように崇めたりした。しかし軍師の少年は狭い部屋に監禁されていて、一人を除き誰も見たことが無かった。誰が何のためかは皆わかっていた。権力者にはさからえなかった。
少年は、考えるのが好きだった。だから戦略を考えるのが上手かったし、人を騙すことも簡単だった。でも大人を怖がっていた。自分より強いものを酷く怖がった。軍師の少年を知る唯一の人物のことも酷く怖がった。
そんな自分に怯える少年をその人物は大好きだった。何時もやらしい目で見ていた。時に、手を出すこともあった。その度に涙を流す少年に人物は興奮するのだった。
「イタいッ! やっ…やめてェ!」
「お前は本当に可愛い奴だぁ…。軍師なんかやらないでずっと俺の側にいれば良いのに…」
「ヒッ!? お願…い…やだぁ」
少年は素晴らしい軍師であった。
名をナンナと言った。