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二十四

「いいかげんにしてよ!」


 さゆみが大声で怒鳴る。大基は何を怒られているのか理解できず、きょとんとする。


「二言目には百合子さんが、百合子さんがって! そんなにあの女がお気に入りなら、彼女の部屋に住めばいいじゃない!」


 大基はフッと笑って、言う。


「なにを怒ってるんだよ。オレと百合子さんは、そんなんじゃ……」


「そんなんじゃないなら、なんだっていうのよ! はっきり言いなさいよ!」


 さゆみは大基の胸倉をつかまんばかりの勢いで叫ぶ。大基は途方にくれる。

 そんなん、でないことだけは、はっきり言えた。しかし、では何なのかと言われると正直、大基にもよくわからない。産まれて初めて経験する感情で、関係だった。

 とにかく大基は百合子にすべてをゆだねていた。それは間違いない。


「……さいってー」


 答えられない大基に、さゆみは冷たく言い放つと、部屋から飛び出して行った。

 遠ざかって行くハイヒールの足音を、バタン、と扉が遮る。


 大基はぼんやりと、閉まった扉を見つめていた。

 なぜか、トイレの前の廊下がギシっと大きな音を立てた。

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