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幸運の少年と破滅の少女①

「僕が話そう、僕と彼女の出会いを」

 彼・・・コウタと少女の出会い・・・?

そう、考える暇もないうちに、

「僕は幸運なんだ」

 と、コウタが語りだした。

「あれは、雨の降る日のことだったなぁ」

 そこでコウタは少女を指差し、

「破滅の少女と出会ったんだよ。それも終日を行っている途中にね。

僕は正義主義だから、慌てたよ。それで止めようとしたんだ」

「嘘つけ。お前は慌ててなんかいない。嬉々とした表所で止めに来たぞ」

 そこで少女が横槍を入れるが、気にした様子もなく、

「まぁ、細かいことは省いて、とにかくこの幸運のチカラで、なんとか止めたんだ」

「大事なところ省きすぎだろ」

 と、俺がつっこむも、これも気にした様子はなく、

「大丈夫だよぉ、これからわかるから。・・・どうやって止めたのか」

 そこで空気が一変した。まさにこれから終日が行われる寸前みたいな感じ・・・!

「おしゃべりはそこまででいいだろ? 幸運よ」

「まだしゃべり足りないよぉ。・・・あ、まさかぁ、また止められるんじゃないか、

と焦っているのぉ?」

「チッ・・・クズが・・・」

 もはや俺にはついていけない。ここで見守るしかないようだ。世界が終わるのか、

世界が救われるのか、を。

「ねぇ、さっさとやってみてよ、終日をさ。少しは成長したんだろうねぇ?」

「ほざけ」

 そこで少女は手のひらを空にかざす。

 すると、その手のひらに、どんどん黒い塊みたいなものが集まっていく。

まさに終日と呼ぶのにふさわしいだろう。

 それを見ても、コウタの顔には一切変化がない。

むしろ呆れているような・・・?

「はぁー・・・。がっかしだよ。まさか、その程度だなんて言わないよね?

もっと僕を楽しませてくれるよね?」

 本当に呆れていた。

 普通の人が見たら絶望するようなものを見ても。

 世界を終わらせたい、と思った俺でさえ、

頬を1滴の汗が流れているというのに。

「じゃぁ、終わらせようか、この世界を」

 少女が言う。

 すると、黒い塊は、一層大きくなり、より禍々しくなる。

「破滅をもたらせ、暗黒物質」

 と、言うのと同時に黒い塊が広がっていく。

 はたしてコウタはこんなものを本当に止められるのだろうか。

「さぁーって、僕の出番か」

 コウタはその塊の前に立ち、・・・立っているだけだ。

 何もしていない。ただ、つっ立っているだけ。

 どんどんコウタの方に塊が、ものすごい速度で伸びてくる。

もう、躱すのは無理だろう。

 ・・・なんだ、案外たいしたことないじゃないか。

 仕方ないから最後くらいは見といてやろう、と顔おあげたその時。

「・・・・・・・・・・・・え?」

 さっきまでものすごい速度で広がっていた黒い塊が何一つなくなっている。

「どういう・・・ことだ?」

 すると、コウタは、

「これが幸運だよ。全て僕の都合のいいようにいく。

例えば今だったら、僕は黒い塊に侵食されて、死にそうだった。

だから、偶然消え去った。結果的に僕は死なない。・・・あぁ、ラッキー、ラッキー」

「そんな都合のいいことがあるわけ・・・」

「あるんだよ、それが幸運なんだよ」

 ありえない。そんなこと。

 信じられるか。そんなこと。

 もう幸運はなんでもアリじゃないか。

 チートすぎる。

 これには少女も動揺が隠せていない様子だ。

 僕だって理解が追いついていない。

 コウタは、ハハハハハハハハァ! と、笑っている。

 コウタの笑い声だけが、この空間に広がっていた。 

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