4話 紅い館へ赴く時…
突然紫から勧められた仕事…
それは運送屋…
その運送屋の仕事で向かった館で彼は…
・・・
昨日の事から1日…
俺は今家で飯を食っている。
俺も一応、それなりに料理の腕を持ち合わせてある。
まあ、親から包丁の使い方から全て教わったからな…
・・・
くっ……
また思い出しちまった…
うんざりだ…こんな記憶もういやだ…!!!
早く捨て去りたい…
俺が頭を抱えていると…
「優翔、ちょっといいかしら?」
突如そう言いながら現れた紫さん…
一体何の用だろう…
「別にいいですよ。それより、どうしたんですか?」
「あなた…」
「仕事してみない?」
紫さんは唐突にそんな事を言い出した。
「えっ?仕事?」
「えぇ、仕事。運送屋よ。」
「運送屋って言われても…どう言う仕事なのかさっぱりなんですが…」
「簡単よ、指定された住所に荷物を運ぶだけ。」
「聞くだけなら簡単ですよ…」
「それに、俺はまだ幻想郷の事全く知らないんですよ?」
「大丈夫よ、私が建物の特徴を教えるからあまり困らない筈よ。」
「だからと言って、その行き途中で道に迷ったらどうするんですか?」
「それも大丈夫。だってあなたは空を飛べるじゃない。」
「俺が何時空を飛んだんですか…」
「あら、もう忘れたの?あなたは昨日、私達に対してしっかり空中で戦ったじゃない。」
紫さんは茶部台に肘を付いて手を顔に当てる体制になってそう言った。
「あぁ…あの時…」
「でもあの時は突然の事だったから…」
「突然と言ってもあなたは飛んだじゃない。」
「確かにそうですが…」
「とりあえず、やってみる事ね。」
そう言うと紫さんは一枚の紙とよくわからない包みを俺に渡した。
「何ですか?これ…」
「紙を開いてみなさい。」
言われた通りに折り込まれた紙を開いた。
すると紙には何処かの住所が書かれていた。
「その建物の特徴は、塗装が紅い事ね。」
「紅い?」
「えぇ、とにかく紅いからわかりやすい筈よ。」
紫さんはそう言うと、空間を裂いて姿を消した。
紅いと言われても…
俺はゆっくり立ち上がり、服を着替えた。
着替える服は此処に来る前の洋服。
水色と白の長袖服にカジュアルな長ズボン。
この服がやっぱり一番いい。
俺は紙に書かれた住所と聞いた特徴を頼りに行く事にした。
だけど、どうやって空を飛ぶんだ?
俺は探るように飛ぶ体制を執った。
「こうかな?……それ!」
俺は思いっ切りジャンプをした。
ところが…
ドカシャッ!!
「いったぁ!!!」
俺は背中から地面に落ちた。
「いつつ…何がダメなんだ?」
俺は起き上がって方法を考えてみた。
「そう言えば、ある映画ではイメージがどうとか…」
「やってみるか…」
俺は眼を閉じて宙に身体が浮かぶイメージを浮かべた。
するとフワリとした感覚を身に感じた。
俺はゆっくり眼を開けた。
俺は驚いた…
「何だ…こりゃ…」
何故なら俺の足が地に着いてない…
それに体が軽く感じるし、空がどんどん近くなる。
これが…
空を飛ぶと言う事か…
俺は少しの間、空中に浮かんでいる状態に浸っていた。
だけど俺は首を振って我に返った。
「行かなきゃな…」
俺は包みの荷物を持って飛び立った。
「前に進むには……前へ!」
俺は意識を前に向ける。
すると俺はスピードを上げる事に成功した。
「旋回は、体の傾きかな…」
俺は体の傾きを変える事で進行方向を変えたり横移動に使える事を知った。
よし、飛び方は覚えた。
後はどう細かく動かせるかだな…
それより今は、荷物を運ばないと…
俺は住所自体知らないので建物の特徴を探す事にした。
しかし……
紅い建物?
そんな建物あるんなら見てみたいよ全く…
そんな事を思っていたら…
「?何だありゃ…」
かなり大きい怪しげな紅い建物を見つけた。
これはわかりやすい…
俺は紅い建物の前へ降りた。
「ここが…紅い建物…」
俺は不安になりながらも荷物を抱えて紅い建物に近づいた。
すると突然…
ブオッ
俺の目の前に腕が現れた。
瞬間に現れた腕に驚き、俺は止まった。
俺は腕を目で辿った。
するとその腕を振った人が赤髪の女性だと言うのがわかった。
女性は俺に対し聞いて来た…
「あなたは何者ですか…?」
静かに聞かれるとヤケに恐く感じる…
とりあえず俺は落ち着いて応答した。
「荷物を届けに来ました…鳴神 優翔です…」
すると女性は腕を下ろして荷物を視認した。
「あぁ、本当だ。確かにここ宛ですね。」
その時俺が聞いたのは明るく優しい声だった。
さっきとはまるで別人だ…
「先ほどはすいません。私、ここで門番をさせてもらっている…」
「紅 美鈴と申します。」
女性はそう言うと、サッとキレイにお辞儀をした。
俺も思わずお辞儀を返した。
「ささ、どうぞ。」
美鈴さんはそう言いながら鉄門を開けた。
これで入れる。
俺は鉄門を過ぎ、紅い建物の真ん前まで来た。
近くで見るとかなりデカいな…
一体どんな人が住んで居るんだろう…
そう思いながら俺は少し大きな玄関扉を開けた。
ゴーン…
響き渡るような音が扉からし、俺はそのまま建物の中に入った。
まず出た言葉…
「すっ…げぇ…」
ただそれだけ…
巨大なシャンデリアにデカい階段。
西洋の文化が思いっ切り出ている洋館だ。
こんな館誰が造ったんだよ…
おっと…今は仕事中だった…
「すいませ~ん!お届け物で~す!」
洋館中に俺の声が響き渡る。
だが応答が無い…
もう一度…
「すいませ~ん!誰か~!」
……これも返答無しか…
と思ったら…
「何か用ですか?」
「うぅわあぁ!!!」
突然横からメイド服の女性が現れ、俺に声をかけた。
突然現れるからめちゃくちゃ驚いたじゃないか…
「何かご用がお有りで?」
「…あの…お届け物です…」
俺はゆっくりと包みを女性に渡した。
女性は包みを受け取ると、包みを調べ始めた。
別に怪しい物が入っているわけじゃないだろ…
あったら大変だが…
すると女性は今度は俺を見始めた。
そんなに見ても何も無いよ…
女性は調べ終わったのか、ふぅ と息を吐き…
「なるほど、わかりました。お勤めご苦労様です。」
「あっ、いえいえ…」
ご苦労様 か…
何か嬉しいな…
「宜しかったら、お茶でもどうですか?」
「えっ?お茶…ですか?」
「はい。ちょうど、お嬢様もティータイムですので…」
えっ?お嬢様?
そんなお偉い人とティータイム?
「いいんですか?僕なんかが…」
つい一人称が僕になってしまった…
「えぇ、大丈夫です。」
「何故ならお嬢様はあなたが来るのを既に知っているからです。」
「えっ……?」
今何か恐ろしい事を聞いた気がする…
俺が来るのを知っていた…?
どう言う事だ…?
「冗談です。お嬢様は人とお話をするのが好きなんですよ。」
何だ、そう言う事か…
今一瞬マジかと思っちゃったよ…
「こちらです。」
女性は俺を案内し始めた。
が、女性はふと何かを思い出したかのように俺の方を向く。
「ご紹介が遅れました。私は…」
「十六夜 咲夜と申します。以後、お見知りおきを…」
女性は綺麗にお辞儀をした。
俺も釣られてお辞儀をした。
十六夜 咲夜 か…
名前がカッコ良過ぎて忘れられないな…
それで…今は案内されて居るわけだが…
広いにも程があるだろ…
ここまで広くてよく迷わないな…
呆れ返る程の広さに驚いて居ると…
「着きました。」
どうやら到着したようだ。
咲夜さんはドアをノックした。
「どうぞ。」
ドアの奥から声が聞こえた。
「失礼します。」
咲夜さんはドアを開けた。
その時に見たお嬢様の姿に俺は驚いた…
「こ…子供…?」
そう、お嬢様は子供だった。
幼い子供…だが、その幼い姿からは考えられない程のカリスマがある…
恐るべし…お嬢様…
「あのっ!な…『鳴神 優翔ね、知っているわ』えっ…?」
俺はまた驚いた…
このお嬢様…俺の名前を知っている…
何で知っているんだ…?
「私はレミリア、レミリア・スカーレット」
「あの…何で俺の名前を…」
「あら、咲夜から聞いてないの?」
「まさか…」
「すみません、あれは本当です。」
「マジかよ…」
俺はまたまた驚いた…
どうやらお嬢様はただ者じゃ無いらしい…
「私は吸血鬼、レミリア・スカーレット…」
「待って居たわ…優翔…」
待てよ…
待っていたってどう言う事だよ…
「あなたはここ昨日の忘却異変の犯人だそうじゃない。」
「幻想郷に異変を起こしたその力…見せて貰おうかしら…」
お嬢様は口元を緩ませ、ニヤリとし、眼光を鋭くして俺を睨む。
何だよ…またかよ…
「さあ…」
「行くわよ…」
続く
またもや闘いの“運命”に誘われた優翔…
果たして彼は…
再び"あの力"出すのだろうか…