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3話 “心を殺した少年”

心殺(こころごろし)


それは優翔の力…


“忘れられた者”の力…


それは……



哀しき傷を負った力…



・・・






俺は目の前の敵を倒す…


「覚悟しろ…」


俺は声を低くしてそう言い、また無意識的に何かを唱えた。


「忘力[忘却傷心撃]…」


先ず狙うは…



白黒の少女から…






~霊夢 視点~






あの人…さっきとは別人みたいに強い…


何であんな力が…


そんな事を考えていたら魔理沙の目の前に優翔さんが…


「…なっ⁉いつの間に⁉」


「魔理沙!!!」


「先ずはお前からだ…」


優翔さんはそう言うと、魔理沙に殴りかかった。


ドガッ!


「ああっ…!!」


魔理沙は腹に一撃もらった。


あまりの痛さに悶絶してる。


だけど、優翔さんはそんな暇を与えずに…



高速で殴りかかった。



ズガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!



拳が速過ぎて見えない…


それより…優翔さんの表情…



何も無い…



表情の欠片も無い…


ただの無表情…


「あっ!がッ!!…うぁ…ッ!!!」


…こんな事を考えている場合じゃ無かった!


早く魔理沙を助けなきゃ!


「霊符[夢想封印]!」


私は自分の周りに七色の光の球を数個展開。


優翔さんに向けて光の球を飛ばそうとした。


と、その時…


キッ


優翔さんが光の無い眼でこちらを見て来た。


見られた瞬間、思わず飛ばすのをやめた。


あまりにも感情の無い眼…


すると優翔さんは殴っていた魔理沙をこちらに向かって蹴飛ばした。


「なっ⁉」


私は驚いたけど、魔理沙を受け止める体制に変えた。


「あぁ…がぁ…」


私は魔理沙を受け止めた。


魔理沙は口から血を出していた。


あれだけの攻撃をくらえば当たり前。


と、突然優翔さんは両手を突き出し、エネルギーを溜め始めた。


これは…もしかして…



マスタースパーク⁉



「何故、マスタースパークがラーニングされた⁉」


「マスタースパーク?違う…これは…」

「俺の心の痛みだ…」


優翔さんがそう言うと、両手に溜めたエネルギーをこちらに向けて放った。


極大レーザー

やっぱり魔理沙のマスタースパーク?


考えている間に極太レーザーがどんどん近づいて来る。


今はとにかく避けなきゃ…


私は極太レーザーを横に飛んで避けた。


「忘却傷心撃…俺の心の痛み…」


心の痛み… だとしたら、凄まじい痛みね…


あんなのくらったら、身体がどうなるか…


「…いてて…たく、手加減を知らねぇのか…あいつ…くっ…」


「魔理沙、大丈夫⁉」


「何とかな…うぅ!!…あの時の攻撃で…肋骨が何本か、折れちまった…」


「そんな…!!」


「霊夢、魔理沙は任せて… 私も一緒に戦うわ。」


紫はそう言い、魔理沙を抱えて地面に降り、魔理沙を降ろした後、再び上がって来た。


「紫、どうするの?」


「霊夢、あなたは優翔の力を封じ込める為に力を溜めて。」

「私は何とか優翔の動きを止める。」


「わかった!」






~紫 視点~






霊夢は地面に降りて力を溜め始めた。


…何とか抑えるしか、方法は無い。


「幻巣[飛光虫ネスト]!」


私は優翔に向かって光弾を数発撃ち出した。


「そんな光弾で、俺を攻撃するつもりか?紫…」


無表情で言われると妙な威圧を感じるわね…


優翔は文字通り光弾を左右に動いて避けた。


「心殺[殺戮血祭]…」


優翔がそう言った瞬間、私の目の前に居た⁉


いつの間に…⁉


私は咄嗟にスペルカードを取り出し、唱える。


「境符[四重結界]!」


手を前に突き出し、結界を何重も重ねて放った。


だけど…


バリィーーーン!!!


………え……?


そんな……


思わず驚愕…


私が放った四重結界が…


かなり丈夫な筈、ちょっとやそっとじゃ破れない結界が…


破られた…


「死ぬ覚悟をしておけ…」


優翔はそう言うと、私の腹部に蹴りを繰り出した。


ズゴォッ!!!


「おぉぉ……ッ……」


背中を突き抜ける痛みで悶絶。


足が腹から離れた直後、痛過ぎて思わず押さえる。


顔を上げたら、膝が目の前に…


ベギャッ!!!


顔に膝の一撃が直撃。


その勢いで顔を後ろに反らした。


だけど、後ちょっと位置がズレていたら…

鼻が潰れていたかもしれない…


でもやっぱり顔から直に受けたから、鼻血は免れなかったわね…


現に今鼻から赤色の液体が流れ出ていれのがわかる。


「まだ終ってない…」


優翔は静かにそう言ったかと思うと、私の顔を鷲掴みし、地面に向けて突っ込んだ。


スガーーーン!!!


後頭部から衝撃が来る。


優翔は私を持ち上げ、手を離した。


すると…


ドゴォォッ!!!


優翔は拳を私の腹に思いっ切り繰り出した。


あまりの痛さに声が出ない…


殴られた勢いで後ろの木にぶつかった。


「ああああ!!!」


ようやく声が出た。だけどそれも痛みに対する声。


目を開けると、優翔が全速力でこちらに向かって走っている。


止めなきゃ…


私は指で空間を裂き、スキマを展開。


スキマを動かして優翔を閉じ込める。


でも…それは甘かった…


「その能力…‘‘忘れろ,,」


彼がそう言った瞬間…


私の能力が頭から消えた。


それと同時に目の前に展開したスキマも消え、見えたのは…


優翔…


「血祭りはこれからだ…」


優翔は無表情でそう言い…


ズガァァァッ!!!


私の腹に拳を叩き込んだ。


優翔は間髪入れず、高速で拳を…


何度も何度も何度も何度も…


何度も殴る…


耐え切れずに私は吐血をした。


殴っているうちに私の背中にある木が折れた。


けど、それでも優翔は攻撃をやめず、続けて私に飛び回し蹴りを地面に目掛けて繰り出した。


ドゴォォォッ!!!


背中に強い衝撃が走り、そのまま地面にぶつかり、地面を抉りながら霊夢の横を通り過ぎた。


「紫!!!」


「うっ…ボハァ…ッ!!!」


ここまで傷を負ったのは初めて…


こんなに血を吐く程の痛み…今までにあったかしら…?


……いけない…目が霞んできた…


あれは…優翔かしら…?


霞んでほとんど見えない…


でも、近づいて来るのはわかる…


止めなきゃ…


フラフラと、ヨロヨロと私は立ち上がり、優翔に向かって走る。


「邪魔だ…」


彼は腕を振り、裏拳を私にぶつけた。


ドガァッ!!!


「…ッ!!!」


裏拳をくらい、私は真横に吹っ飛んだ。






~霊夢 視点~






紫…!!!


まだなの⁉


何で…こんな時に限って…


早く…早く…!!!


「後はお前だけだ…」


「くっ…」


一体…どうしたら…


「まだ…諦めないわ…」


ゆ、紫⁉


紫の瞼は腫れ上がり、頬も紫に腫れ、最早ズタボロ…


なのに…


何で…⁉


「まだ…諦めない…」


紫はヨロヨロとした動きで優翔さんに近づいてしがみついた。


「紫…」


「何故お前はそこまでボロボロになっても俺に挑む…」


「あなたを……」

「止める為よ…」


「そうか…なら…」


そう言うと、優翔さんは片手で紫の首を掴み、持ち上げた。


「お前を殺すだけだ…」


優翔さんは紫の首に力を入れた。


「うぅぅぅ…ぐぅぅ……」


紫は既に虫の息…このままじゃ…


と、その時…


「恋符[マスタースパーク]!」


突如優翔さんに向かって極太レーザーが放たれた。


こ…これは…


魔理沙…!!!


「ふん…」


優翔さんは紫を前に突き飛ばし、飛んで避けた。


「ゲホッ!ゲホッ!…」


「大丈夫か…?」


「ま…魔理沙…?」


魔理沙はフラフラの状態でミニ八卦炉を構えていた。


そしてまた力無く倒れてしまった。


魔理沙…!!


後…もうちょっと…!


ズギャァァァーーーン!!


きた!!!


「夢境[二重大結界]!!!」


私は溜めた全ての力を解放し、二重大結界で優翔さんを囲む。


これで…あの力を…


ところが…


「結界か…‘‘心殺,,を封じ込めようとしたわけか…」

「悪いな…これは単に心を殺しているだけだ…」


心を…殺している…?


感情を押し殺しているだけのような状態…


バリィーーーン!!!


優翔さんは結界を殴る…


するとヒビが入り、二重大結界が割られてしまった…


もう…打つ手が無い…


私は諦め、膝をついて地面を眺めていた…


すると近づいてくる影…


これは…優翔さん…?


私は顔を上げた。


そこには眼に光の無い、無表情で無感情の優翔さんが立っていた。


「お前らは今…絶望している…」

「俺は絶望が嫌いだ…」


そう言うと、優翔さんは眼を閉じて、再び開けた。


すると、眼に光が現れ、表情が戻って来た。


「俺は…絶望する顔を見るのが嫌なんだ…」


「優翔さん…」


優翔さんは魔理沙に近づき、魔理沙をおぶった。


「いててて…ちゃんと丁重に頼むぜ…」


「ゴメン…」


そして、優翔さんは魔理沙をおぶった後、紫に近づいて、紫を抱えた。


「…こんな美人をボロボロにするなんて…覚悟しておきなさい…」


紫は微笑みながらそう言う。


「ゴメンなさい…」


紫に謝った後、魔理沙や紫を抱えた状態で、今度は私に近づいて来た。


「ゴメン…俺もさ…いきなりだったから驚いて…つい…」


「私達も悪かったわ…でも…ここまでする必要は無いんじゃなくって?」


「ゴメンなさい…」


「霊夢、こう言っているんだからさ…許してやれないか?」


私は少し戸惑った…


だけど、その戸惑いは無くなり…


「わかった…許してあげる。」


私は彼を許した。


この時の私は、笑顔だった。


「ありがとう。」


優翔さんも微笑んだ。


その笑顔は、何故か、輝いていた。






その後、人里に行ってみたら、住人の記憶が元に戻っていた。


とりあえずは、解決ね…








続く…

無事終わった謎の"忘却異変"…


この異変の犯人は未だ定かでは無い…



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