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14.5話 決別

中間話みたいな話

・・・




 ────────静かだ。


 まるで水の中に入ってるかのような耳に空気の触れない究極の静けさ。

 それが一体何を意味するのか、わからないワケでは無い。何せ俺はさっきまで……いや違うか、違ってはいないが違う。俺のもう一つの人格が紫さんを殺そうとしていたのを止めたばかりだ。


 今ここが何処か、わからない筈が無い。紫さんの展開した弾幕を全弾くらった直後だ、走馬灯と言いたいが、そうじゃない。


〔…………〕



 それは、"あいつ"が目の前に立っている事そのものが証明だ。



「俺は死んだのか? なぁお前……」


〔ソレはココに居ル時点で知ッテイル筈だ、オ前は間も無く死ヌ、その間ノ泡沫ト言ったトコロダ〕


「そうか、そいつは残念だ。でもお前、まだ何かしようとしてるよな? 俺にはわかる、お前はまだ懲りてない」


〔愚問ダ。お前ノ、イヤ、俺の肉体ガ死に掛ケテル今、強い人格ノ俺ガ表に出レバ、俺ハ即座に生キ返る〕


「俺が表に出たらどうなる?」


〔結末は俺の反対、死ダ〕


 目前の相手は俺自身。俺の意識が無い間、俺の代わりを張った人格。能力を所持するのも、あいつ。戦闘を取り仕切ったのも、あいつ。俺はただ傍観者だったか、目を背けたか、何も出来なかったか、ただそれだけ……


 強い人格、と言うのは、その通りだろう。異議は無い、意見に賛同する。


〔ソノ為ニハ、オ前は邪魔ダ。復活スル肉体には、モウ人格ヲ保持スるメモリは無イ、一つガ限界ダ〕


 だが、それが何だ?


「そうか。なら尚更、死なないワケには(・・・・・・・・)いかないな……!」


 俺はお前に従うつもりは無い。もうこれ以上お前の暴力で、誰かを苦しめる事はさせない……絶対に! お前を表に出して誰かが死ぬ事が有りでもすると思うと、それこそ憎くて仕方がない。


 だったら、俺は生きるより死を選ぶ。俺だけの犠牲でみんなが、名も知れない誰かが幸せに暮らせるなら、喜んでくたばってやる。


〔人格ノ消滅は存在ノ消滅、オ前ハ正真正銘忘却サレル〕


「存在ねぇ……悪いが、そう簡単に消えるつもりは、最初から無いもんでね。俺は忘れられて幻想郷に落ちて来た。それでも、俺は紫さんや、霊夢、魔理沙、幽々子さん、レミリアさん、咲夜さん、美鈴さん、パチュリーさん、フランドール、妖夢、早苗さん……他にも出会った人は居たかも知れない。それを思い出せないのは、その分はお前が持っているからだ」


〔不要ナ記憶だ、マルデ今ノお前ノ如ク。ナラバ忘レテヤル、一切一片残ラズ、跡形モ無ク、全テ忘却シテヤル! 忘レテ(殺シテ)忘レテ(殺シテ)忘レ尽クシテ(殺シ尽クシテ)、ナニモカモ消シテヤルッ! ダッテアイツ等ハ俺ヲ忘レヤガッタ! 俺ノ事ヲ跡形モ無ク忘レヤガッタンダ!!! ダッタラ俺モ忘レテヤル……全部忘レタ時コソ、俺ハ救ワレル、忘レル事コソ、俺ノ【希望(怨念)】ダァァァァ!!!〕


「お前が『忘却』、俺が『記憶』、紫さんはそう言っていた。お前が"忘れたい"と願う怨念(希望)で、俺が"忘れたくない"と誓う雑念(絶望)だと────だったら忘れさせてみろ、俺は記憶し続けてやる、いつまでも、どこへでも、幻想郷のみんなの記憶に刻み付けてやる! 『俺が居た』と言う確かな証を! 忘れる事がお前の希望なら、俺は絶望……憶えておけ、俺こそが俺自身、お前自身の絶望(雑念)! 今からお前を、【絶望】へと叩き落としてやる……!!!」








最終話へ続く……

 最終対決、それは自分自身との決別だった……


 それが、例え死の決定だとしても、少年は勝たねばならない。



 その肩には、幻想郷の運命が掛かっている!

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