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深海蒼子は幽体になっても問題ない!?  作者: トーヤ


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5/5

新しい自分?

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

何か、すごく深く眠っていたような、けどすごく浅い眠りだったような、とても長い夢を見ていたような、変な気持ちで目が覚めた。


ぼやーっとした視界が段々はっきりしてきて、見知らぬ天井であることに気がついた。


「えっ、どこ?」


私の声は、自分の声のはずなのに、油の切れたロボットみたいにギシギシの声だった。


今の…私の声?何?


ゆっくりと首を動かして周りを見てみると、ベッド横のパイプ椅子に座り、うつらうつらとまどろんでいる母親の姿があった。


「かーさん?」


さっきと同じギシギシの声で呼んでみた。

すると、どうだろう。

こんな事があっていいのだろうか…私にはわからなかった。


目を覚ました母親が私を見た途端、目にいっぱいの涙を浮かべた。


蒼子、蒼子、蒼子、蒼子…と何度も何度も私の名前を呼び続け、泣いている。


どうなっているんだう?

なぜ母親がこんなに泣いているんだろう?


私には全然わからなかった。


蒼子(そうこ)、喉、喉渇いてない?お水飲む?」


そう言われて、初めて喉が乾いていることに気がつき、頷いた。

水を注いだコップを手渡してもらい、口をつけた。


母親は嬉しそうに微笑んで、私が水を飲むのを眺めている。


これって、どういうこと?なんなの?


こんな母親は、昔の大好きだった母親のようだった。

まだ家族3人で仲良く暮らしていたあの頃の母親のようだった。


でも、突然なんで?


私にはやっぱりなんだかわからない。

水を飲み終わるのを待って、母親は、


「蒼子、先生呼んでくるから待っててね」


そう言い残して、部屋を出て行った。


先生って…?なんの?学校…じゃないよね…やっぱり…?


その疑問はすぐに解けた。

母親は、白衣に身を包んだ人たちを連れてきた。


なんだ…病院か…。

けど、なんで私病院なんかにいるんだろう?


私の表情を読んだのか、先生は、


「なんで病院にいるんだろうって思ってるでしょ?」


と、笑った。

私はただ頷いた。

だって、ホントにわからなかったから。


「君はね、20日以上前にバイクの事故に巻き込まれて、さっきまで意識不明だったんだよ」


あぁ…バイク…。


「けど、えっ?20日以上…?うそっ、えっ…あれ?」


私は何か忘れているようなそんな気になった。


ただ、それがなんなのかはわからなかった。

その日から、3日ほどして退院が許可された。

もちろん、脳波やCTに問題がないことも確かめられ、外傷も擦り傷、切り傷ばかりで骨折もなかったからだ。

ただ腰まであった栗毛色の長い髪が肩につかないくらい短くなっていた。

でも驚きはしなかった。なぜか知っていた気がしたから。


けど、なんで知ってる気がしたのかしら?


そう、私はこの時幽体だった時のことをすべて忘れていたのだった。



何日か家で休養した私は、事故から1ヶ月後ようやく学校へ登校した。


なんか変な気分…懐かしいと思うなんて…。


「蒼子さん、退院おめでと!良かったね。髪は短くなっちゃったけど…」


教室に入ってすぐにもらった、恭子(きょうこ)の言葉だった。


「うん」


突然で、それしか言えなかった私だけど、なぜか恭子に『ありがとう』を告げたい気分になった。


なんで、恭子にアリガトウなんて…?


理由は全くわからなかった。


そんなとき、教室の入口で佑太(ゆうた)の声がした。

その声になぜか反応してしまい、振り返った直後に目が合ってしまった。

それだけのことなのに、私は一気に血が沸騰したようになった。


そして、佑太と目が合っただけで、失くしていた記憶を、そう幽体の時の記憶を思い出した。

全部、何もかも…。


あの日、母親の泣きじゃくる姿を見た私は、病室に戻った後、ある人の見舞いを受けた。

それが佑太だった。

佑太は、私も見ていた花屋で買った花束を私の枕元に置いた。そして、


「早く意識取り戻して、学校に来いよ」


と、一言だけ呟いて、な、なんと私の本体にキスしていった。


そうだ、それで私驚いて、だけど嬉しくて、思わず本体に戻っちゃったんだ…。


すぐそこに、生きる力をくれた佑太が、いる。


少しは素直になってみようか…。


私は、佑太のところへ行き、


「お見舞い、ありがとう」


の一言と、すれ違いざまに小声で、『キス、嬉しかった』と告げた。

ちょっとだけ振り返ると、真っ赤になった佑太を見つけた。

それを見て、私は思わずクスクスと笑ってしまった。


きっと、これからは少しだけ素直になれる。

私は今、そんな気がしている。

最後までお付き合いありがとうございました。

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