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深海蒼子は幽体になっても問題ない!?  作者: トーヤ


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4/5

見ないことにしていたのは

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

ただいま~ってのも、おかしな話しだけど…。


私は自分の入院している病室に戻ろうと、扉前でちょうど母親が医者とが病室から出て来るところだった。


驚いたことに、母親は今にも倒れてしまいそうなほど憔悴していた。

2人のあとをつけて行くと、どうも医者の部屋らしいところに消えた。

もちろん覗き見は続けてる私だけど。


「先生、あの子は、蒼子(そうこ)は助かるのでしょうか?」


母親の必至な様子に、一瞬の沈黙が流れる。


「今はまだ何とも…ただお嬢さんが生きたい、そう思わないとこのまま意識不明ということも…」


医者の言葉に母親は急に泣き出した。

何度も私の名前を呼ぶ母親。

こんな母親を見たのは、初めてだった。


いや、前にも見たことがあ…る?

いつ?


私は記憶の引出しをひっくり返した。


あっ、そうか。あれは幼稚園に入ったばかりの頃…。


その日は確かスイミングスクールの日で、嬉しくて早く泳ぎたくて仲良しの女の子とプールサイドを走っていて、足を滑らせて、転んで頭を打ったんだ。


確か…3日間くらいの意識不明だった…。


気がついたときには、目の前に泣きじゃくる母親とホッとした顔の父親がいた。


あの時と同じ?


また母親は私のために泣いて、ずっとここにいたのだろうか?


医者は医者らしく、


「お母さんも1度家に戻って、ゆっくり休んだらどうですか?あなたの方がまいってしまいますよ。お嬢さんが入院してからずっとここにいるのですから…」


母親は激しく首を振り、


「いいえ、いいえ。あの子が苦しんでいるのに、寂しがっているのに、生きたいと思っていないのは、もしかしたら私のせいかもしれないのに、こんな時に自分の心配なんて…」


一層激しく泣き出す母親を見て、


この人がこんなこと思っていたなんて…。


だけど、次の瞬間聞こえるはずがないのに、私は叫んでいた。


『今更なに言ってんのよっ。誰のせいで私が寂しい思いしてると思ってるのよっ、誰のせいで人を信じる事が出来なくなったと思ってんのよっ。誰のせいで、誰のせいで…』


私は気づかずに泣いていた。


ホントは、誰かに愛されたかった、誰かを好きになりたかった。

だけど、どうすれば愛されるのか、好きになれるのか私にはわからなかった。


ホントは、素直になりたかった。自分に素直になりたかった。

ホントは、恭子(きょうこ)を鬱陶しく思いながらも私の世話をやいてくれるのが嬉しかった。


こんな私に話し掛けてくれるのはあの子だけだったから…。


ホントは、初めから佑太(ゆうた)が気になっていた。

笑顔が好きだった、だけど私はあの笑顔を曇らせることしか出来ないと思った。


だから気にしないフリをした。


ホントは、ホントは…。


私は今までに、いくつの嘘をついてきたのだろう。

いくつのホントを隠してきたのだろう。

他人にも、自分にも…。



フラフラと1人病室に戻ると、久しぶりに自分の姿を見た。

包帯はすでに取れていて、酸素マスクも外れていた。


ただ何年もかけて、伸ばした栗毛色の長い髪はすっかり短くなっていた。


顔に傷はなくて、綺麗なものだった。

本当にただ眠っているだけとしか思えない。

いつでもパチッと瞳を開きそうだった。


たぶん、幽体の私が生きたいと思えば、願えばきっと瞳は開くのだろう、と思う。


けど…。


今更私が目覚めたところで、誰が喜んでくれるんだろう?

ただのやっかいもののこの私を…。


私は、誰かを好きになりたい、素直になりたい、そう思えたのに、素直に生きたいとはどうしても思えなかった…。


コンコン。


病室のドアをノックする音が突然響いた。

私はビクッとして、ドアを振りかえった。


『驚かすなよ、かーさんだろ?』


って、かーさんがノックなんかするわけないじゃんっ。


1人ツッコミをしながら、


『あぁ、医者か看護婦か』


と勝手に納得した私だったが、静かに開いたドアから入ってきた人を見て、心底驚いた。


なんで~~~~!?!?!?

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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