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深海蒼子は幽体になっても問題ない!?  作者: トーヤ


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1/5

こんなこともあるよね?

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

キィィィィィィィィィィッッッッ!!!!



不快な音と重なるように誰かの、たくさんの叫び声が上がった。


「あぶないっっっっ」


誰に向けられているか分からない言葉に振り向くと、バイクが曲がりきれずに横滑りにこっちへと向かって突っ込んで来るところだった。


う、うそでしょ~~~~~~~~っっ!?



そう気づいてから、避けなければ逃げなければと思うよりも先に身体全身に強い衝撃を受けた。


痛い…というよりは熱い、ような、指1本動かすことが出来ないくらい重たく感じている身体が、何よりも軽いモノのようにふわりと、浮いているような、自分が自分でないような、そんな感じだ…。


遠く消えかかる意識の中で、ざわめきとサイレンの音だけを鮮明に感じていた…。



目が覚めると、見覚えのない天井であることにまず気がついた。


ここはどこだろう?


ハッキリしない頭で記憶を手繰った。



確か…いつものように学校へ行って、退屈でつまらない授業聞いて、だからといって、家に帰りたくもなくて、街をふらふらと歩いていて…。


あっ…バイクが突っ込んで来たんだっけ?


じゃあここって病院よね、確かバイクがぶつかったってきたはずだから…。


あははは…じゃあずいぶん私って頑丈にできてるのね~。


痛いところってないもの。


私は自分の運の強さに笑いながら、起き上がった。

視界の端に何かが横切り、視線を向けるとベッドの脇にパイプ椅子に座っている母親の姿があった。


『ちょっと、水くれない?喉カラカラなのよ』


私は母親に声を掛けたが、母親の反応は何もない。


『ちょっとっ』


今度は少し叫んでみた。しかし結果は同じ。


まぁ~ったく、一応娘が心配で横に座ってるんじゃないの?


無事に目を覚まして、話し掛けてるっていうのに、なんでシカトなワケ?


私は仕方なく自分で枕元に置いてある、ピッチャーから水をコップに移すため、ピッチャーを掴んだ、つもりだった。


おかしなことに、信じられないことに手はピッチャーをするりと通り抜けた。


えっ?何?しんじらんない…。


私はゆっくりと手に視線を落とした。

手の向こうが透けて見えた…。


うそでしょ!?


私は何度も瞬きを繰り返し、手を裏にしたり表にしたり、握ったり開いたりした。


何度見ても手が透けていることに変わりはなかった…。


まさ、か…?


恐る恐る自分を見下ろしていくと、手だけでなく全身が透けていた…。


しかも横たわっているもう1人の自分がいた。


腕には点滴をし、口には酸素マスクが外れないようにテープで止めてあり、頭には包帯が巻かれ、いや、頭だけでなく手や足もグルグルにされていた。


客観的に見て、どうも重傷らしい…。


じゃあ、この私って…?


これがよくマンガなんかに出てくる幽体離脱ってやつ?まじ?


じゃあ私の命もあと少しってことか、こんなものか私の人生なんて…。


そんな風に思ってしまうほど私の生活はつまらないものだった。



学校では誰とも口を聞くわけでもないから、みんなからは敬遠されていた。

みんなが私のこと「とっつきにくい深海(ふかみ)蒼子(そうこ)さん」って呼んでるのも知っていた。


私はそれで構わなかった。


大人びた顔立ちにキツイ眼、

腰まである栗毛色の長い髪、

痩せ型の長身、

すべてを蔑むような唇の端を持ち上げ微笑する表情、

どれをとっても間違いなく誰も関わり合いになんかなりたくないだろう…。


当たり前だ、自分自身こんな自分が大嫌いなのだから…。


幼い頃はもっと1日が短くて楽しかった…。

両親もまだ仲がよくて…。


私の両親は今から3年ほど前に離婚している。

名字が変わることを面倒に思った私は、父親に引取られた事に書類上はなっている。


もちろん一緒になど暮らしてはいない。

1人暮しをしているのだ。


両親はどちらも教師で、職場結婚だと聞いたことがある。

どういう経緯で結婚したのかも離婚したのかも私は知らない、知りたくもない。


そのころから私の態度はあからさまに以前とは違うものになった。

他人に興味を持たない代わりに、誰も自分に興味を持ってもらいたくなかった。


誰かを信じても最後には裏切られるのがオチだから…。


もう誰も信じない…。


私は長いこと心に決めていた。

自分以外はだれもが敵と思っていたそんな時に、私は事故に巻き込まれた…。



私は自分が死にそうでも関係がなかった。

冷静に死を受け止めて、現実になっても良いとさえ思っていたから…。


幽体離脱ってことは、他の人にはみえないのかしら?

だったら本体の命がある限り遊べたりするんじゃない?


母親の前に立って、手をひらひらと振ってみた。

当然のように気づかない。


そのことを確認して、実の親が気づかないくらいなら、赤の他人なんて気づくはずがない。


あそびにいっちゃおう!


思った瞬間に病室を後にしていた。

空をぷかぷか浮かびながら、


空ってこんなに青かったんだぁ~。


とか、


陽射しってこんなに暖かかったんだぁ~。


とか、


空気って澄んでるんだね~。


なんて生きていれば当たり前に感じることを、初めて気づいた気がした。

そのくらい私はなんにも興味を持たずに生きてきていた。


『う~ん、なんか久しぶりにのんびり出来るような気がする。だぁ~れも私のこと見てないし、気づかない。こんな幸せなことって今までにあったかしら?こんな気分でいられるならずっとこのまま幽体のままでもいいかも!』


そんなことを1人ごちていた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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