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初対面の美少女が告白してきた  作者: 粗茶の品
21/26

21:その偶然について


「いらっしゃいませー!」


 入り口の方に立っているクラスメイトが大きな声で出迎えをする。

 昼時はやっぱり客が多かったまま引き継いで対応が大変だったけどだいぶ人が減ってきた。

 ほんとにさっきは人が多くて大変だったー。学生が自分達であれこれ考えてやってるから穴もあったりしてぐだったところもあるし。

 今は空いてる席がだいぶ見えるようになってきたし、お客様と多少会話する人が出てくるぐらいには余裕ができた。

 三人で接客を担当し、四人が調理する側で仕事をしているが手が空いた方がもう片方に協力するような形で運営している。

 


「すみませーん」


「はい、ただいま」


 声が聞こえたところへとすぐに向かう。

 お客様を待たせるのは店の沽券に関わるからな。文化祭でやってる模擬店だから沽券とかあるのかはよくわからないけど。


「これで、お願いします」


「かしこまりました」


 お客様が指差したものを記憶する。会計の時に使う紙に記録してお客様に渡すと移動し、調理をしている場所まで移動する。

 かしこまりましたで今日通してるけど、ちょっと硬すぎるか?文化祭だしもう少し柔らかい方がいいかな?もう遅いけど。

 さっきの人が頼んだのは飲み物だったから自分で入れていくか。

 ここまで入って席まで座って頼むのが飲み物だけはなんか味気なく感じるのは俺がそういうタイプなんだからなんだろうな。

 もちろん仕方ないところもある。

 なんてったってメニューがない。食べ物、飲み物それぞれ二種類ずつだ。

 予算がなかったからな。いや、内装に結構かけて計四種類出せてるから多い方か。平均がわからないから断言はできないけど。

 コップに飲み物を入れ終わると頼まれたお客様のところに戻る。


「どうぞ」


「ありがとう」


 飲み物を受け取るとお客様はすぐに飲み始めた。

 時間ができたな。何しようか。

 教室・・・・・・店内には食べ終わったもしくは飲み終わった人が休憩場所として使ってたりもしている。


「いらっしゃいませ!」


 また同じ人の声が聞こえてくる。ゆっくりと振り向いてどんな人が入ってきたのか確認する。

 う、やっぱり来るよな。目、逸らしてもいいかな。なんなら気づかない方が助かる。あ、目が合った。


「拓斗、来たわよ」


 お客様はこっちに近づいて話しかけてくる。

 母さん、父さん。やっぱり来ちゃったか。そりゃ昨日いつ担当なのかわざわざ聞いてきたもんね。その理由はやっぱりずらすためじゃないよね。

 知ってたよ、うん。でも、さっきまで来てなかったから実はもう来てたのかななんて思ってたりもした。

 他の人も知り合いとかいっぱい来てるっぽいし、変なことじゃないしいいんだけどさ。やっぱりなんか気恥ずかしいんだよな。


「こちらにどうぞ」


「あら、他人行儀ね」


「今は店員なので」


「うふふ、そうね」


 母さんと父さんは少しにやけながら席に着く。

 楽しそうでなによりか。ちなみに何頼むつもりなんだろ。母さんこういうのめちゃくちゃ楽しむタイプだからもう色々食べてそうだけど。


「ご注文は?」


「うーん、そうね」


「おすすめはあるかい?」


 いや、父さんおすすめって言われてもここ四種類しかないよ。食べたいか、飲みたいか。どっち食べたいか、どっち飲みたいかで決まるよ。

 どれ対してもうちだけのこだわりみたいなのないし、ぶっちゃけ食べたことないからわかんないよ。父さん達の嗜好から察して選べってこと?

 まぁ、揶揄いたいだけでなんでもいいんだろうな。父さん達は。


「あら、拓斗くん?」


「はい?」


 名前を呼ばれて反射的に振り返る。そこには三人組が立っていた。

 夢花が来るのはちょっと予想してたけど、その親御さんまで来るのはちょっと考えてなかったな。


「あらあら、夢花ちゃんも来たのね。こちらの方は親御さん?」


「そうですー。そっちは拓斗くんのお母さんですか?」


「はいー。いつもうちの子がお世話になってるみたいで」


「いえいえ、こちらこそ」


 母さんと夢花のお母さんは会話をして盛り上がっている。父さん達は何故か無言で頷き合っていた。

 ママ友ってこうやってできるのかな。父さん達ももう何故かわかり合った雰囲気出してるし。仲良くなるの早。


「拓斗くんのお父さん、よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 いや握手してるけど何よろしくしたの?ちなみにあなた達の子供置いてけぼりですからね。仲がいいのは結構だけど。


「拓斗、迷惑だった?」


「いや、そんなことないし、今はそんなの気にする必要ないよ」


 模擬店だとしても一応店なんだから初めてで追い返すなんてそうそうしないさ。二回目来ることもないだろうけど。

 まぁ、今もめちゃくちゃ周りの目引いてるから、店が注目集まるという点ではむしろありがたい、俺個人としては周りの視線がちょっと痛い。


「それで、ご注文は決まりましたか?」


「あ、ごめんごめん。えーっとこれで」


「俺も一緒で」


「かしこまりました」


 紙に一筆書いてからものを取りに行く。

 ていうかなんでさっきの人も母さんも商品名言わずに指さすんだ?大した違いはないから問題ないけど。

 ていうかまたこの飲み物か。人気だな、これ。サイダーね。うちのコンセプト和風だったよね?

 和風。・・・・・・ラムネって考えてもちょっと怪しい気がするけど、実際どうなんだろ。もうよくわかんなくなってきた。

 さっと入れて両手に持ち、元場所へと戻る。五人は椅子が四つのテーブルを囲んでまだ話している。

 何があったか知らないけど、父さんが立ってる。自らどいて譲ったんだろうな。


「はい、ご注文の品です」


「ありがと。あら、もう行くの?」


「一応仕事中だからね」


 五人がいる席を離れて一応厨房の方へ行ってみる。

 人も減ってきて注文も少なくなったから余裕がありそうだな。この様子だとちょっと視線が痛すぎて離れたけど意味ほとんどなかったな。

 やることないっぽいし、戻るか。


「いやー、大変そうだね」


 厨房から出てくると女性の声が聞こえた。

 なんかこの声聞いたことあるな。知ってる人のような気がする。

 声のする方を確認するとそこには見知った顔があった。

 やっぱり占葉か。なんでこんなに知り合いばっかり来るんだ?今、知り合い以外でお客様あんまりいないよ。


「やっぱりって思ったでしょ。酷いじゃないか、少年」


 この人また人の心読んでくる。

 ていうか厨房に入った時気づかなかったってことはまだ入ったばっかりってことだよな。


「それにしても少年随分かしこまって接客してそうだね。心の中では客のことお客様なんて呼んでるのかい?律儀だねー」


 なんでこの人はここまで心の中がわかる⁉︎もうちょっと怖いんだけど。一体どこまで把握できるんだ?


「私は怖くないよ。それより、あっち」


 占葉が顔で指し示す方を向いてみる。視線の先では父さんと母さん、そして夢花の両親がヒソヒソと話している仕草をしていた。

 内容は聞こえないけど、有る事無い事言われてそうだな、これ。なんでこうなった?


「浮気かー、とか言われてるんじゃない?大丈夫なの?ねぇ?あ、私もサイダーで」


 一体誰のせいなんでしょう。理由はわかるけどわからないってことにしとくかな、うん。

 また、サイダーね。もうすぐ売り切れそうだけど、そうなったらどうなるんだったっけな。


「それにしても、今日が頑張りどころだね。頑張りたまえ。私は君の味方だから、応援してるよ。直接は関われないけど。とりあえず、休んだ方がいいんじゃないかな?」


 何を言ってるんだ?味方敵って一体なんの話?会うたびに一度はわからないことを言うな。

 とりあえずは今目の前の仕事を頑張ろう。

 紙に注文を書いて書いてまた厨房の方へ向かう。



 次の担当の人に受け継いで教室を出る。

 はー、終わった。俺の役目は終わりか。

 母さん達は五人揃って十分ぐらいすると教室を出ていったが、あの人達出会ったばっかりなのにずっと話してたな。

 さて、どうしよう。夢花はこれから自分のクラスの仕事があるから今からは一人か。

 正直やることないな。夢花と大体回っちゃったからもう行く場所があんまりないんだよな。どうしよう。

 ・・・・・・ちょっと疲れたし、いつもの場所で少し休むか。あそこなら人も少なそうだし。

 今日の夢花との集合場所だったところ、いつもの昼食を食べているところに向かうため足を前へと進める。

 やはりやっているものがないのか、あの場所に近づくに連れて人が次第に少なくなっていく。


「・・・・・・」


 あれ?いま話し声が聞こえたような。もうちょっと先の方からだな。

 歩くたびに声が次第に大きくなる。いつもの階段の手前の曲がり角に着くとはっきりと聞こえるようになった。どうやらこの先にいるらしい。


「ほんとにやるんですか?」


「やるに決まってるだろ」


「ええ、やるわよ」


 この声は中取と小山さん、それと陽波さんか。・・・・・・あれ、何故かこの三人の組み合わせに既視感が。


 ビシッ!


 なんでだ?すごい気持ちがモヤモヤする。なんだか悪い予感がする。


 ビシッ‼︎


 頭が痛い!今までの比じゃない。

 駄目だ、声を出したら。バレたらやばい気がする。ろくなことにならないそんな気がする。


「清原拓斗、目にもの見せてあげるわ」


 バキッ‼︎


 陽波の声を聞くと何かが割れるような音が確実に聞こえた。

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