13:相談事について
いやー、今日もいい天気だ。空はどこまでも鮮やかな青を映し出している。わずかに流れる雲は空と共演し穏やかに景色を作り出す立役者だ。
こんな日は室内ではなく外で直に陽射しを浴びたら気持ちいいんだろうな。
うん。なんとも優しい自然情景だ。風情があるなぁー・・・・・・。
なぜ俺がこうやって学校という現実社会から目を逸らしているかというと理由は二つある。
一つはテストがうまくいかなかったからだ。今日は月曜日。先週中間テストがあって今日から続々と返却されているが、あまり結果が芳しくない。
いや、あんまり勉強してなかった俺が悪いんだけど、結果見る限りもうちょい気をつければ点数上がりそうだったからな。凡ミスみたいなのが結構多い。
これは、まぁいい。いや、全然良くないけど。これは百俺が悪いし、向き合うしかないし、後悔ばっかしてたってしょうがないし。
終わったこと考えすぎても、変わらないからな。過去は次に活かせばいい。だから、まだ許容できる。
しかしもう一つ。こっちの方が問題だ。テストも終わってすぐ。文化祭までほぼほぼ一ヶ月。少しずつ準備してきたものを、これから本腰入れて準備を始める。
だから、これからどうしていくのか話をしているのはわかる。
だがなぜそれが俺の席の近くで、いかにも俺も入ってますよみたいな雰囲気と配置なんだ?
ま、まぁ、これは副委員長である林橋の席が近くにあるからまだわかる。
一番の問題はクラスが違うのにここに陽波が加わってる⁉︎
この話あなたが入ったってしょうがないでしょ!自分のクラスのことしなよ!
今は放課後で文化祭の準備の参加は自由だけどさ、自分のクラスじゃなくて他のクラスにいるのはどうかと思うよ?なんでうちの話し合いに参加してんだよ。
他の人達は買い出しか、委員長の二藤と話し合いしてる。・・・・・・なぜそっちに参加せずここで話し合ってる?俺以外の計五人、男子三人、女子二人よー。
「で、どう思う?」
え、なに?急に話しかけてこないで、陽波さん。
えーっとなんだっけ?接客をする人は何か違う特別な服を着るべきかだっけ?それこそ二藤と話し合えよ。ここでするなよ。
「予算と準備に必要な時間次第じゃないか?」
正直作ったりするのは無理だろうから、それらしいのが売ってたりするかっていうのもあるけど。どちらにせよ予算の問題はかかってくるからな。
「そうだな。なんだったら部分的に何かつけるみたいなのでもいいんじゃないか?」
うちのコンセプト、和風だったよな?和を感じる一部分ってなんだ?大体の和っぽい衣装ってどっか一部分だけになると違和感すごそうだけど。
あー、帰りてぇ。帰っちゃ駄目かな?今から帰るにしても経過した時間があまりにも微妙なんだよな。そんなに経ってないし、全然かといえばそうでもないし。
それに帰るとしたら、おそらく夢花を置いてけぼりにする、もしくは大衆に見られる中で迎えにいくことになる。
・・・・・・なんか迎えにいくのは俺だけの問題になる気がするな。置いてけぼりにするのは後々変なことになりそうだし。
昼休みああ言っちゃったからなぁー。ちょっと後悔。
◆
昼休み。
いつも通り夢花と二人で昼食を食べていた。
「そういえば夢花、今日も一緒に帰るのか?」
「もちろん」
夢花は堂々と答える。
ははは、そっかー。そう答えるような気がしてたよ。
「どうかしたの?」
夢花は少し怪訝そうな顔で顔をのぞいてくる。
「いや、今日から放課後、文化祭の準備があるだろ?参加するのかなって思ってさ」
「それは・・・・・・」
夢花は少し考えているような表情になる。
自分がどうするか答えればいいだけなのに、なんか考えるようなことあるか?
「拓斗はどうするの?」
やっぱり俺に聞いてくるか。まぁ、聞きにきますよね。夢花がどうするか言ってくれたら俺が合わせのに。
「まぁ、初日だから参加してもいいかなって思ってたけど、何か問題でもあるのか?」
夢花ははっきりと首を横に振る。
「ううん。なら、私も参加する。いつまでいるつもり?」
「そうだな。まぁ、四時半ぐらいまでかな」
おおよそ一時間ぐらい残る計算だ。初日だからそんなにやることもないだろ。いや、話し合いは長引いたりするのか?まぁ、途中で抜ければいいか。
「わかった。それぐらいで待ってる」
夢花は優しく笑いながら返事をする。
すんなり決まったな。夢花も参加することになったけどさっきの様子だとほんとにそれでいいのか?
「どうかした?」
あれ、ちょっと察せられた?意外と鋭いな。
「いや、ほんとに参加して大丈夫なのかなって思って」
「うん。拓斗といる時間は変わらないし」
俺といる時間基準なんだな。他の人との交流も増やした方がいいと思うけど、本人がそういうなら何も言えないな。
「それに・・・・・・その日は私にとって大切な日だから」
「・・・・・・?そっか」
大切な日?一体なんだ?先のことだから何かやること、予定があるのか。
ネタバラシ・・・・・・だったりしてな。今までのは嘘でしたって。
だったら夢花は名演だ。・・・・・・そうなったらちょっとショックだな。そうなっても友達では居続けたいな。
あー、何考えてんだろ。そうなったらその俺との関係全部が嘘だったってことだろ。居続けられるわけがない。
俺の考えすぎか。夢花の今までを見てたら到底嘘だとは思えない。・・・・・・でもそうならないように祈るよ。
◆
で、いつまでやってんだこの会話。かれこれ十五分ぐらいやってるぞ。この話別に俺いらないだろうからもう帰ってもいい?
衣装なんかより先に考えるべきことがあるだろ。メニューとかさ。で、それは、あっちで話してる。そっちに混ざれ。そして陽波さんはさっさと戻れ。何してんのあの人みたいな話になるぞ。
「どうかしたの?さっきからよそばっかり向いて」
陽波さんがこっちの顔色を窺ってくる。
「いや、別に」
理由なんて聞かれてもな、暇だから意外にないし。というかあんたたちせいで移動しづらくなってるんだけどな。
・・・・・・そろそろ恥を忍んで行くか?
「そうだぞ。ちゃんと話は聞いてるのか?」
林橋が口を出してくる。
そもそも君が陽波さんを連れてきたんだろ。そんでここで話をしてるせいでこうなったんだろ。
二藤が先生に確認してくるとかで教室出て、君もついていって、自席で待機してたらなぜか先に帰ってきて、ここで話し始めたんだろ。もしかしたら話終わらなくて陽波さん帰りづらくて困ってるかもしれないぞ。
・・・・・・言っても無駄だろうな。
「聞いてるよ」
「そうか。ならいいんだ」
いいのかよ。こっちに対しては無関心か。お前ずっと陽波さんばっか見て他は見てないもんな。他の人達も。
「それで、結局どうするんだ?」
「・・・・・・そうだな。これは一旦保留だな。あとで二藤話してみる」
ようやく終わったか。よかったよかった。最後聞いとかないとまだ続きそうな感じしたけどそんなわけないよな。
「陽波さんも話聞いてくれてありがとう」
「ううん。全然大丈夫」
林橋の感謝に陽波さんは素直に答える。そのあとすぐに教室を出ていった。
まぁ、あのまま残り続けるのは理由もないだろうし、無理だろうな。やっと終わったか。
実に長く感じた。いや、本当に。
「・・・・・・どうかした?」
「え⁉︎いや、なんでも・・・・・・」
隣の席の小山さんは話しかけると肩を大きく動かした。
体調悪そうに突っ伏してたから何かあったのかと思ったけど、おせっかいだったか?
「その・・・・・・たくさんの、人が、ま、周りにたくさん居て、ちょっと、はい」
まぁ、キラキラした人があんなに居たらちょっと疲れたりもするよな。
林橋は俺の前の席、つまり小山さんの斜め前となる。すぐ近くにいて端っこだからちょっと居心地も悪かったんだろう。
俺もちょっと疲れた気がする。早く時間にならないかなぁ。




