表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初対面の美少女が告白してきた  作者: 粗茶の品
11/26

11.幸せについて


 週が明けて二日目。

 俺はなぜか恒例になった夢花との下校をしている。

 クラスは週が明けてから明確にグループ分けが施されているように感じた。たぶん、日曜の親睦会の影響だ。もちろん、それに参加していない俺は依然としてぼっちだ。

 いや、ぼっちっていうのは性格じゃないな。中取もたまに教室に会いにくるし、何より夢花という存在がいる。

 朝は一緒に登校。昼はいつもの場所で一緒に食事。で、放課後は今みたいに一緒に帰るのが慣習化されつつある。

 最近は、聞き飽きたのか、興味がある相手全員に答えたのか、夢花との関係を聞かれることもほとんどなくなったな。

 まぁ、それは俺も聞きたいことでもあるんだけど。

 ・・・・・・今、いっそのこと聞いてみようかな。

 いや、なんかむすっとされそうだし、はっきりとは言ってくれなそうだからやめとくか。


「ねぇ、今日ってお・・・・・・」


 信号を待っているとつぶやくように夢花は口を開いた。

 なぜ『お』から先を言わない?そこから先が肝心そうなのに。

 今日は比較的口数が少ないと思っていたら、何か言いたいことか聞きたいことがあったからなのか。

 こうやって話を切り出す時は大体突拍子もないこと言い出すけど、今回も例に漏れないのか。むしろ逆に楽しみだ。ちょっと程度は考えて欲しいけど。


「今日って何か特別なことがあったりする?」


 目の前を車が通り過ぎると同時に夢花は言葉を紡ぎ直す。

 いや「お」から始めないんかい。

 その言い方、何か多少の確信を持って聞いてるように聞こえるんだけど。だって、普通そんなこと聞かなくない?


「なんでそんなこと聞くの?」


「・・・・・・なんとなくそう思ったから」


 なんとなくでわかるのかすごいな。

 そういえば最近、やけに思考を読んでくる人に会ったけど、実は夢花もその類なのか?

 特別なことねぇ。ない訳じゃないよ、もちろん。でもそれは、到底夢花が知ってるはずのないことだし。そんな態度に出てたのか?そんなことないと思うけど。

 実は夢花って結構鋭かったりする?

 他になんかあったかなぁ。

 ・・・・・・駄目だ。何も思いつかない。


「いや、特に何もないと思うけど」


「ほ、ほんとに?何かない?」


 なんでそこまで気になるんだ?俺って実はそんなに態度に出すわかりやすいやつだった?自分じゃ気づかないもんだなぁ。


「そうだなぁ。ない訳じゃないけど。別に夢花さんには関係ないよ」


「うん、うん。なになに?」


 なんでそんなちょっと嬉しそうなの?ほんとに関係ないよ?


「今日母さんの誕生日なんだよ」


「うんうん」


 ね、関係なかったでしょ。なのに、なんでそんなちょっとテンション高めなの?


「私もぜひ祝わせて欲しい」


「いやでも、そんな」


「ぜひ!」


 ぐいっと前に詰めてくる。その後すぐに信号が青になる。一瞬だけでも紛らわすために信号が変わったことを伝え、横断歩道を渡る。

 さて、どうしたものか。突然祝わせて欲しいと言われてもな。


「それで、ぜひ私も!」


 やっぱりまだ聞いてくるよね。ここで引く訳ないだろうけどさ。


「祝うって言ったって、具体的に何するの?」


「家に行っちゃ駄目?」


「え?」


 駄目・・・・・・って言う訳じゃないけど。唐突に言われるとびっくりするな。

 こっちも家に行ったから断りずらいしな。


「それはいいけど、家に来て何するの?」


「プレゼント買ってくるよ」


「さすがにそこまでは」


「あとで家に行く」


「え、ちょっと」


 プレゼントっていきなり渡されたら母さんも困るだろう。・・・・・・いや、母さんならめちゃくちゃ喜びそうだな。

 それにこっちの返事無視して行く気満々だな。これ以上言っても聞かなそうだな。

 ・・・・・・仕方ないな。



「たくとー。お客さんよ」


 部屋のドアを叩いて母さんが連絡してくる。

 誰かは聞かなくてもたぶん予想は当たってる。むしろ高校に入って俺の家に来そうなのって一人ぐらいだからな。


「早くしてあげなさい。待たせたら嫌われちゃうかもよ」


 母さんの声は少し弾んでいるように聞こえる。

 今ので確定したよ。母さんは色恋沙汰好きだからなー。まぁ、今回はそういうのとは違うと思うけど。


「はいはい今行くよ」


 来ないとは思ってなかったけど、やっぱり来たな。来ると思ってたけど。

夢花は一回別れてプレゼント買いに行ったらしい。今来たということはプレゼントを買い終わったってことだ。

 あれも持って行くか。夢花の目的があれである以上は合わせた方がいいだろうし。

 ドアを開けて部屋を出る。母さんがいないからもう下に降りたのだろう。

 リビングから話し声が聞こえる。

 やっぱり家に上げてたか。母さんが外で待たせてるとも思ってなかったけど。


「拓斗遅いわよ」


 リビングに入ると母さんは夢花とソファに座っている。


「待たせてごめん」


「全然構わない」


 夢花は間髪入れずに答えてくる。

 母さんの前でも態度は変わらないか。自分の親とは違うとしても、知ってる人の親となったら多少は緊張すると思うけど。


「あ、お義母さんこれを」


 夢花は足元に置いていた袋を母さんに渡す。

 いや、ちょっと待て。なんか今おかあさんの言い方に違和感を感じたぞ。気のせいだよな。

 母さんは驚いた様子で袋を受け取る。


「これは?」


「今日が誕生日だと聞いたので、プレゼントです」


「まぁ!なんていい子なの!」


 母さんは凄い勢いで夢花に抱きついた。

 なんか引っかかる部分もあるけど喜んでるみたいでよかったよ。


「母さん、俺からもこれ」


 母さんはこっちに向きかえると俺が差し出した袋を受け取った。母さんはこれ以上ないくらい満面の笑顔を浮かべている。


「ほんとは父さんと一緒に渡そうと思ってたんだけどな。でも、ちょうどいいし」


「もう、この子ったら」


「ちょっと」


 恥ずかしいから抱きついてくるのはやめてくれよ。

 肩を持って引き剥がすと母さんは不服そうな顔をした。


「夢花ちゃん」


「はい?」


 いつの間にか名前知ってるし。インターホン押した時にでも言ったのか?


「拓斗のことだから色々大変してるでしょ?」


「そんなことは」


 いや、失礼だな。俺なんか迷惑かけた?頼むからそうならはっきり言ってくれ。


「でも、気持ちはちゃんと伝わってるし届くから安心して。それに拓斗の心一回掴んだら離しちゃだめよ。ああ見えて結構執念深いから」


「なんだ?執念深いって」


「ごめんごめん。愛が重い」


 それは変わってるのか?いい方向になってるのか?イメージ的にはそんなに変わらない気がするけど⁉︎


「ごめんって悪く言ってるつもりはないの」


 俺の視線が伝わったらしく母さんは弁解し始めた。

 それはわかってるけどさ。もうちょっと言い方なんか思いつかなかったのか。


「大丈夫です。手放すつもりなんて全くないので」


 それは頼もしいって言っていいのか?こっちの方が愛重そうじゃない?


「あんたも幸せものねー。こんなに」


 感慨深そうな顔を浮かべて母さんはこっちを見てくる。


「母さんはどうなんだ?」


「私?私ももちろん幸せよ。息子にプレゼントまで貰ってるからね」


 そう。ならよかったよ。

 俺からの贈り物ぐらいで幸せなんて言い過ぎな気もするけど、母さんが喜んでくれるなら今日はそれで十分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ