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ep.2

 「あ、空燈~!! こっちこっち!! ちょ、あんた遅いよ! 何してたの?」

家から約500m離れた場所にある、大樹公園。その名の通り、公園のど真ん中にありえない太さと高さを持つ大樹がそびえたっている。その下にちょこんと見える人間、私の友達の紅羽(くれは)藍楽(あいら)だ。一緒に登下校するのはもちろん、休日たまに遊びに行くならいつも一緒にいるくらい仲のいい3人組だ。今私に向かって叫んでいたのは、藍楽の方だ。

「ごめん、寝坊。」

「まぁた寝坊じゃん、何回目よ! 今日私たちが先に言ってたら、あんた間違いなく指導食らってたって! ちゃんと感謝しなさいよ!! 待ってあげたんだから!」

感情的になりやすい一面のある藍楽は、今日もご立腹気味だ。

「まぁまぁ藍楽、落ち着いて。空燈は一人暮らしだから、準備に時間がかかるのもわかるでしょ?」

しっかり者なのにどこか抜けている、あだ名が「ゆるふわ」の紅羽も、藍楽を慣れた手つきで宥めようとしている。

「でも!! このままこれ以上後に来てたら、私たちまで遅刻よ!? 信じられないもうっ!」

「ごめんって。ほら、私が言うのも変だけど、遅刻するよ? ここはもう走るしかない!」

「えぇぇちょっとー!」

そういって私はスクールバッグを肩に掛けて、二人の手を引いた。

朝八時、地底は空気が涼しいから、より一層、駆け抜ける風の清々しさを肌に感じる。


「よかったぁぁ、遅刻しなくて……。」

始業のチャイムぎりぎりに登校できた。これで指導は免れた、と一安心のため息をつく。

私は3組で、紅羽と藍楽は1組だから、それぞれ別の教室へと入り、早速一限目の準備だ。

「一限目は……地学か。」

そして始業のチャイムが鳴った。静まり返った教室の外から、ただならぬ焦燥感を抱え走ってくる人物の気配を感じた。ドアをガラリと乱暴に開けたのは、地学科教師の原田だ。でも、私のクラスの担当は、原田じゃなくて三村だった気が……なぜここに原田が?

「みんな落ち着いて聞いて。」焦る原田が息を切らしながら伝える。

「三村先生が……消えたの。」

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