帰ってきた女勇者
私たちパーティは無事イース攻略を果たして、ハマニマス王国に戻ってきた。
結構中ボスとかは倒したんだけど、魔王には歯が立たなくて、結局後から合流した別の大所帯パーティが倒しちゃったから、私たちは中位の扱いだった。
祝賀会とかは盛大だったし、きらびやかな会場だった。
そこでローレンがうまく政界とコネを作って役人に取り立てられてた一方で、人付き合いが不器用な私は、いつのまにか忘れ去られていた。
***
私は転職雑誌を眺めていた。
(どれも年齢制限に引っかかってとても応募ができない、か。)
私がルーツミの町に戻ってきた時、年齢は38だった。
もはや魔王がいない世界となったこの世で、剣と中級魔法しか使えない私のような中年女に、何の価値があるというのだろう。
再就職を考えるにも、少し休みたかった。
ギルド退役者が入れるボロアパートで、1人で誕生日ケーキを買って、その日から、勇者として生きていた間には絶対飲まなかったお酒に口をつけたっけ。
私は筋肉を鍛える方が大事だから深酒なんかしないし、勇者であろうと寝る間も惜しんで魔法書も読んでたから、魔法と中級魔法くらいは使えた。
でも、ただ一つしていなかったことがあるのを思い出した。
それは美容と婚活。
(結婚、か……)