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【論考③ 『冒険者』ってだーれ?】 2回目

 お久しぶりです! 前回は王族とか貴族とかの上流階級がなんで『冒険者』なんてするのかという話をしていましたが、今回は言葉を悪くすれば下を見てみます。要するに我々のような一般庶民が冒険者を排出する社会階層なのであるならなんでそんなことをするのかという話ですね。


 どんな社会でも王族や貴族というものは一般的に考えてすさまじく少人数になります。我が国の平安時代(長すぎて平安時代のどこなんだよとは突っ込まないんで) でも貴族は数百人程度だったそうです。総人口は数百万人程度だったはずなのでそれだけ少なかったのですね。


 ほとんどが様々な職業を生業とする一般人になりますが、我々の世界の古代社会においては一般人というのは大きく分けて二種類があります。それは都市に住んでいるか、都市に住んでいないかです。都市に住んでいるかによってその地位がやまた政治権力から与えられる権利や義務も変わってきます。


 簡単に言えば江戸時代の江戸に住んでいた人たちとその他の農地に住んでいた人たちでは行政の管掌も別です。あるいは戦国時代以前の中国であれば集住して住んでない人たちは「野人」などと称されていたといいます


 なんとなく冒険は村から始まることが多い気がしますから一般人の一つである都市に住んでいない人たちを中心に話を始めましょう。このような人たちはおそらく農業・酪農あるいは漁業などの一次産業に従事していることが主だったもので、なろう世界のような未発達の社会においては国家にとって重要な国家財源として税を取られていたと考えられます。


 村という存在を想像しましょう。


 基本的に品種改良されてない農作物というのは収穫効率がかなり低いものになります。シュメール文明の花開いたティグリス・ユーフラテス川流域において小麦を植えると数十倍の種をつけた……というのはかなり特殊な話ですがさらに我々のようにアジアの「米」ではなく「麦」となれば話は別です。


 中世ヨーロッパの小麦の収穫倍率(ひとつの種を植えて何倍になるか) はだいたい数倍程度、つまり一つの種から数個の種子がとれる程度なわけです。必死に働いて一年働いてその程度です。だから酪農や畜産が必要になるのですね。ハイブリットで食糧生産しないと間に合わないわけです。


 また、麦というのは連作障害といい同じ土地で何度も植えると収穫効率が悪くなるうえに病気になります。そのため、三圃制といい休耕地(1年間何もしないよって土地) を作って土地を休ませてあげるんですね。だから土地を持っているからといって100%使えるわけでもないのです。


 いきなり何の話をしているんだというのはいつも言われてそうですが、要するに村から出すというのは普通に考えて口減らし。あるいは出稼ぎになるわけです。食料生産量が安定したのはハーバー・ボッシュ法とかが確立して、肥料が改良されて……いや、やめよう! 関係ないね!!


 血気盛んな若者を村の外に出してそこで稼いでもらうというのは合理的です。あるいは都市に行ってもらって村も食糧難が減って助かります。もちろん農業は重労働ですから若者が全員いなくなっても困ります。すごく難しい塩梅で『冒険者』として若者を送り出しているような気がしますね……あるいは戦国時代の足軽とかもこんな感じだったかもしれません。


 いやいやまてまて、若者全員に土地を耕させればいいだろという話があると思います。あるいは魔法で水とか土地とかをこう、なんかこう、うまくやればいいという話もあるでしょう。しかし古代社会においては収穫逓減の法則と言いまして土地が耕せる場所は限られているし、大勢の若者がいてもその大勢の若者を投入しただけの利益が得られないということがあります。


 ちなみに水だけを与えても土地は良くはなりません。肥料が必要です。そこは土魔法でこうなんとかなるだろと言われたらそうですが、そんな魔法が使えるような優秀な若者は『冒険者』なんぞにならせたら村の損害です。要するに冒険者になるのは夢見るあんまり役に立ってない子ということなるかもしれません。


 夢のない話をするなということでもありますが逆にそういう若者は英雄譚にあこがれて剣をとり、村を出ていき『冒険者』になるのかもしれません。そういう子は都市に出るわけですが、まず人が都市に出た後は寝床が必要で、毎日の食事が必要で、そもそもギルドが安定してこの子たちに仕事を与えてやらなければすぐに不穏分子化します。冒険者の中にならずものみたいなのがいる作品は多くありますが、彼らにもこのような事情があったり……なかったり。


 中途半端な教育水準で夢を見て都市に出てきて『冒険者』になります。という夢見る若者をギルドがどう扱うかによってその作品の世界観がかなり変わりそうな気がします。政治的な話をすれば「君の代わりは別にいっぱいる」と使い捨てすることもできますし、あるいはギルドが良心的制度設計をしてて訓練や支援をちゃんとしてたら(冒険者学校の話もしましたよね) その話もできそうです。


 転生というものがなろう世界ではやはり人気があり。どうしてももともとそれなりに知識や経験のあるような主人公、またはチートを持っている主人公が主ですが。現地の社会を想起すると村から出てきた若者を中世の整ってない環境の都市でランク付けして冒険者にならせるというのは普通に考えてすさまじい難易度の話な気がします。文字も知らない、貨幣経済ももしかしたら全然知らないという場合もあります。


 さて、もう一方の一般人である「都市に住んでいる人たち」についてですが、これは商人や職人または町人とでもいえばいいでしょうか、都市の中で様々な仕事をしている人たち。都市というのは人が多く住んでいますが基本的に食糧生産はしていません。そのため貨幣経済が比較的発達するわけですね。


 ところで余談ながら都市というのは様々な職業が生まれます。要するに人がやってほしいことを代わりにやってかつそこからお金をもらえれば仕事が成立するわけなので、近代のイギリスなどでは『骨拾い』とかの仕事もあったそうです。なんやそれはと思いますが、死んだ動物の骨とかを拾って加工業者に売ったりしていたようです。実際には売れるものはなんでも売ってたようですが……


 都市に住んでいるとすれば何らかの職があると思われますが、彼らが『冒険者』になるとすれば親の職業を継がない子供とでもいえばいいでしょうか。基本的に昔は親の職業による身分固定というのは東西で広くありましたが、なろう世界では貴族の子供なのになんでか冒険者になるという話もあるのであまり関係ないかもしれません。


 ただ、村からの排出もそうですが、街からの冒険者排出もやはりどちらかというと将来の不安定な若者が主なのかもしれません。あとは『孤児』で教会とかの預けられている子供というのも結構いろんな作品で見た気がします。あるいはそれは孤児という立場からすれば働きに出ると同時に口減らしにもなるということでもあり、社会に参画するための方策一つとして『冒険者』は魅力的なのかもしれません。


 『冒険者』を排出する階層というのは上下様々ですが、基本的に名誉欲や経済的理由があり、かつ社会的地盤を強く結びついてない子というが想定できそうな気がします。


 特にそういう子は魔法や剣を使って『魔王』や『魔物』を倒すなんていうことには本当に心地よい夢にも見える気がします。


 ここの話では転生した主人公とかは完全に別にしていますが、あとは聖剣を抜いたとかそういう勇者とか言われたことかも外していますが、小説を書く上で冒険者たちが「誰なのか」という話を描けるのであれば世界観に厚みを持たすことができる気がします。


 なんとなく小説に登場する彼らも刹那的に生きていると思えばモブにするのはもったいないかもしれません。


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