【論考② 冒険者ギルドってお金をどうやって稼いでるの?】
こんにちは。冒険者ギルドについての論考をしていきたいと思います。今回はお金の話になります。
なろうの世界では私の創作物を含めてよく出てくる「冒険者ギルド」ですが、このギルドというものがどうやって組織を維持しているのかということになります。前の論考をお読みいただいた方はギルドをまともに運営するなら仕事が多岐にわたり、様々な人間とのかかわりが必要なるとお話をしました。それが正しいかは別としても組織というものを維持するには物資あるいはお金が必要になります。
職員さんを雇ったり、設備を維持したりというのは最低限とは思いますが組織を拡大するためにもお金は必要です。ギルドを作るなら土地を買わないといけませんし、建物を立てないといけないし、職員さんをさらに雇わないといけないし……お金、お金、お金って感じで必要ですよね。
さて、それではギルドというのはどうやってお金を稼いでいるのか考えていきましょう。
まずはクエストからの手数料を引いているというところでしょう。基本的に冒険者ギルドは依頼されたクエストをランクに分けて冒険者に斡旋しています(って感じで勝手に思っていますが、書籍化された作品にもその描写はあるのでそれを基準にします)
例えば「魔物退治をしてくれ」という誰かの依頼を、ギルドはじゃあ報酬はいくらで冒険者さんやってくれって感じでクエストをやってくれる冒険者を募集して仕事が完了したら報酬を彼らに渡すと思われます。
簡単にゴールド(G) という通貨を仮定して考えます。
①100Gで魔物退治してくれと依頼がギルドに入る。
②ギルドは手数料を差っ引いて『50Gで冒険者に魔物退治」を依頼する
③仕事を受けた冒険者が仕事を完了すると50Gを渡す。
④依頼料は100Gで冒険者への報酬は50Gよって、ギルドの儲けは50G
こんな感じでクエストを受注した時に間に入って斡旋料あるいは手数料をとっていると思われます。逆にこれをしてないならNPO法人なのか? とか思われてしまいますね。
半分はとりすぎだろといわれるかもしれませんがこれはあくまで仮定です。正直な話冒険者側に特にいくらで受けたか言わなければ経費と利益の関係とあとはギルドの責任者の感覚で半分以上とることもあると思います。
冒険者というのは根無し草のフリーターなわけで社会的基盤を持ちません。要するに死のうが生きようが基本的には中世社会においてはあまり意味がない。わぁ。ドライな言い方。
実際に私たちの国の中世社会はそうでした。室町時代とかが分かりやすいのですが、人々は何らかのコミュニティに参加していました。それは村とか街とかだったりします。前に描きましたが中世というのは法律の未整備な世界だけでなく、力の強いものが自分ルールを押し付けてくる世界でもあります。
座や株仲間などの職業組合の話もしましたが政治権力と戦うためには団結する必要性があります。そのため共同体は強い連帯意識があり、共同体の誰かが傷つけられたら全力で報復をします。
話がずれましたら冒険者は共同体には属さないのでギルドからすれば利用するだけ利用してぽいよ……ともできるわけですね。ただ、冒険者ギルドが冒険者の共同体と考えればそんなことはできないかもしれません。矛盾しているじゃないかと思われると思いますが作品というのはどちらをとるかで全然変わると思います。
悪徳なギルドに虐げられて搾取されている冒険者たちのために戦う主人公。
互助組織としてのギルドに助けられて人々と一緒に冒険する主人公。
条件を別するだけで結構いろんな話ができそうですね。それはそうとしてお金の儲けとしての手数料・斡旋料はギルドの窓口での基本的な売り上げになると思います。
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ほかにどのような収益があるのでしょうか? よくあるのが素材の売却になります。よくあるというのがそういう描写って結構あるよねという感覚でしかありません。
ドラゴンを倒した主人公がそのキバや角を売ったりしますね。それにギルドマスターとかが「おおおお」ってなるわけです。さて、商売をしている人からすればわかると思いますが、基本的に販路のない商品なんて基本的にごみ同然です。
例えばあなたは鉄くずを持ってきた人がいたとして「売ります」と言って買うでしょうか? ほとんどの人が買わないと思います。なぜなら役に立たないからです。
しかし、鉄くずは我々の世界でも戦略的に重要な物資として認識されていることもありました。過去に私たちの国はアメリカと戦争をしましたが、対日屑鉄禁輸措置というものをとられたことがあります。鉄くずを製鉄に使用するため重要な物資として禁輸を受けたんですね。
「利用法を確立された物資」はそれがどんな印象であれ重要なものになります。逆に未来的にどんなに価値があるといわれてもその時代に価値のないものはあります。すっごく卑近なものであればマグロとか昔は下魚といわれていました。あーんなにおいしいトロが捨てられていたんですね。
さて、主人公がドラゴンの角を持ってきました、さてなーんの役に立つのでしょうか? 飾りでしょうか?
それを買い取るギルドは必ずそれを「販売するルート」あるいは「利用法」を知っているはずです。倉庫に眠らせておくなんて商売としては良くありません。在庫です! 買い取ったらすぐに販売に流すルートをもっていると思われます。
例えば竜の角を削れば薬になるとか、魔力があってなんかの武器になるとか……エトセトラエトセトラ。これを誰かが買ってくれることをギルドは知っているわけです。
これすべての商品はそのはずです。スライムの死骸だろうとそこら辺の花だろうと薬草だろうと、販路が存在してどこかに売っているはずです。誰が買うのかというとやはり貴族とか商人に直接売るのか。商人は卸か小売りかでやっぱり話が変わってきますね。
ギルドが素材を買ってなんかすぐにどこかに売るということまで考えると世界は広がる気がします。いらないもの買うことはないと思いますからね。
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さて、クエストの手数料と素材販売というものを考えていましたが前の論考でも言いましたが、冒険者ギルドは冒険者の互助組織の可能性が高いので設備内に様々なサービスをしていると考えられます。
酒場や食堂のサービス
宿などの宿泊サービス
小物や生活用品の販売サービス
医療を行うサービス
武器や防具などの販売
まだいろいろと考えられそうですが、ギルドという性質を考えると冒険者から求められるものはどんどんやっているかもしれません。そしてそれらにも利益が発生するでしょう。冒険者だけにやってては赤字なので一般の民衆にも開放されているかもしれません。そうなると総合的な商売をしていると考えられます。
逆に自前で抱えずに他の業者に委託しているかもしれません。冒険者ギルドを運営するにあたって利益を追求することと冒険者を支援することを両立させるのであればこのように手広くやってその利益を得ているかもしれません。しかし総合的な商売をするということはそれに伴う人材と物資と施設を投資するということで赤字もあるということです。
しっかりと利益をとってお金を回さないとギルドは回りませんね。あ、いいところ冒険者が。クエストを終えてお金いっぱい持ってますね。全部巻き上げちゃいましょう! 報酬を与えてもそれをちゃーんと回収する仕組みを考えるなんて悪いギルドさんですね、なーんてことも考えられるかもしれません。
☆☆
ここから下は微妙な話です。このようなことを書いている小説は読んだことがありません。私の小説では裏設定でそんなことをしていますが、物語中には出していません。
古来より教会やお寺は人々の寄進を受けて裕福になりました。はあ? と言われるかもしれませんが、ちょっと聞いてください。
お金というのは倉庫に積んでいても意味がありません。いや貯金すればいいだろと言われるかもしれませんが組織維持にはお金がいるのです。そのままにしていると消えていくだけです。
そのため宗教組織というのは金貸しと土地投資(荘園とか有名ですよね) などを行いました。余ってんだから貸す。または農産物を収穫できる土地を購入して小作人を雇う土地経営をするわけですね。現代社会でも経営のプロと言われる人たちがいますが、小学校でも習う荘園もその土地を経営するプロを宗教組織が雇って運営していたりしました。
冒険者ギルドにはお金が入ってきます。貴族や商人や様々な人たちとのかかわりを持っています。商売に投資するということも一つですが、お金貸しや土地経営をすることも収益を得る大きな手段になります。
余ったお金を運用して収益を発生させて金融業の発達に貢献するという歴史的プロセスを行う……というのが私の小説にはあります。本編に関係なさすぎるので一切描写してません。また、土地を経営しているので収穫した農産物も販売しているという設定もあります。
お金の集まる仕組みを作ってタブついた資金を倉庫に入れるなんてことは基本的にあまり考えれません。個人の好みというよりは組織というのは拡大することを志向してしまうものですし。
ギルドのお金は「冒険のクエストの手数料」「素材の販売利益」「冒険者支援のための総合的な商売」そして余ったお金の「運用益」で賄われているんじゃないかと思っています。
ここに描いていることは全部もっていっちゃてOKです。許可はいりません(いらないと思うけど)
※普段こんなの書いてますよ
魔王やってましたけど勇者に負けて転生しました ~FFランク冒険者候補からの成り上がってやる~
https://ncode.syosetu.com/n7548gi/ #narou #narouN7548GI