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【論考① 冒険者ギルドからつながる世界】

【論考① 冒険者ギルドからつながる世界】


 冒険者ギルドからつながる世界という話から始めたいと思います。特に作品は明示しませんがギルドの登場する作品で仕事に主だったものは以下のようなものだと思います。


① クエストの発注(冒険者に依頼をする。例としてモンスター退治など)

② クエストなどで冒険者の手に入れた素材の買い取り(主人公が貴重なものを手に入れてすごく高く売れたりしますよね)

③ 冒険者へのランク付け(これはS~Fみたいなアルファベットから、または~級のように独自のランクを設定している作品もありますね)

④ 酒場とか併設されている場合飲食店の経営(外注だったりするのでしょうか?)

⑤ 冒険者のお悩み相談


 簡単に列挙するとこのようなものでしょうか。主体としてクエストを管理しているという感じになりますね。さて、これがギルドということですがギルドって言葉はもともと中世の職業別組合になります。日本史で言えば『座』や『株仲間』が近いでしょうか?


 これ世界を考える時にちょっとだけ重要ですが、私たちの描く冒険をする世界って基本的に現代のように中央集権的の強力な政府があるというよりは各地に領主とか王族がいて封建的に……難しく言いましたが簡単にいえば自分の土地は自分で治めているって世界がほとんどだと思います。


 もちろん帝国のように全国を強力に統治する機構を想定してもいいですが、これは完全に個人的な感性ですが王国の緩やかな統治世界を想定することが多いかなって思います。


 そうすると法律というものがバラバラになるんですね。


 実際の日本の中世においても幕府・朝廷・寺社・各地の領主で法律というかルールがバラバラだったりします。自分の住んでいる地域の有力者に従うということが必要なのですね。


 法体系がばらばらで有力者による恣意的な法律運用がされたり、司法が未成熟であるため、個人的な問題を行政に訴えて解決することが困難になります。


 なんの話をしてんだ? と思われるかもしれませんが、ギルドというのはこれが重要です。


 なんでギルドが生まれるかというと同業者同士で守り合うためになります。基本的に他人が信用できないからこそ団結連合して同業者で権益を守り合うのですね。もちろん同業者だけではなく有力貴族や宗教勢力と結びついてでも権益を守ります。


 教科書的には新規参入する同業者を排除する仕組みとして紹介されることが多いですが、中世という信用できる政府が存在しない世界において共同体としてのギルドは大変重要なものでした。


 そんで


 冒険者ギルドなんだから冒険者の互助組織なんだろって話になるのですが、冒険者ギルドって誰が運営しているのかって話でさっきの彼らの仕事の本質が変わってきます。


 冒険者の一派が団結しギルドを作り、その組合として仕事をしているのであればどちらかというと会社組織に似ている気がします。社長がいるかはわかりませんが、ギルドを運営している冒険者たち、もしくは冒険者を引退した誰かがいるのかもしれません。


 そのうえでさっきの仕事の話に戻ります。


 ① クエストの発注(冒険者に依頼をする。例としてモンスター退治など)


 これ、モンスターの退治とか薬草取りとかよくありますが誰が依頼しているのかなって話になりますよね。中世世界では何かを依頼できるほどの資金力を持っている存在とは有力豪族、商人などの一部になると思われます。


 さっきからずっとギルドというのは互助組織と言っていますが、互助組織の役割の一つに価格を統制する(安売りさせない) というものがあります。これは不当な安売りで一部の業者が価格破壊をして業界全体の衰退を防ぐ意味があります。


 ということは


 安値でクエストの依頼を受けるギルドがいるのか? って話になりますよね。一部を安く受けるとそれからの仕事も全部安値で受けることになりますし、どんなに弱いモンスターが相手としても死ぬ可能性もあるクエストをわざわざ安値で受け入れてそれを冒険者に振るなんてことは……実際的に非効率的ではないでしょうか。


 仕事が簡単だから安値でなんていう単純な図式はなくて、簡単だとしても高く値を釣り上げておくことで冒険者の互助組織としての意味を保てるというわけですね。


 仕事の発注者 → ギルド → 冒険者 というぞ式が存在するためそれぞれの思惑を考えることができるはずです。


 小説論的にそれぞれ肉付けするなら、仕事の発注者は安く依頼をしたい、ギルドは高く受けたい、冒険者も高くかつ安全な依頼をしたい、とそれぞれの利害が存在します。


 このせめぎ合いを利用してストーリーに織り込めばいくらでもエピソードは量産できそうですね。例えばこんなのどうでしょう。


 「ギルドの職員が無意味に高く依頼を設定しているから小さな村とかのモンスター被害に困っている人々をギルドの意志に反して主人公が助ける」


「仕事の発注者である貴族や商人は安く依頼料を押えたいため、ゴブリンが出るといっていたのが実がオークが出るクエストを情報を隠して発注して冒険者に被害が出る。そこで主人公活躍」


「ギルドが仕事を受けたはいいが報酬と安全性が見合ってないので誰も仕事を受けてくれない。だから主人公がそれを受けて感謝される」


 それぞれの利害に視線を合わせて、話によってフォーカスをずらすことによってストーリー構成が可能と思います。そしてこの中で人と人の交わりを描けるのではないでしょうか? 依頼者とギルドと冒険者それぞれに思惑があってそれぞれに人がいるということを意識することで創作した世界に厚みを持たせることがきっとできると考えています。



 ② クエストなどで冒険者の手に入れた素材の買い取り(主人公が貴重なものを手に入れてすごく高く売れたりしますよね)


 さて、次の話ですがギルドが素材を買い取っていますが何のために買い取っているんでしょうね? ドラゴンの角みたいなのを買い取ってどうするのか、というか① を考えれば買うだけでは赤字になります。その場で冒険者にお金を払うわけですから。


 つまりギルドは素材の活用方法を何らかの「商流」としてもっているということになります。ギルドが買った素材は誰かに売るわけです。ドラゴンの角をギルドに飾るために買うわけではないでしょうw


 おそらく商工業者に卸すのでしょう。素材ということですから、何らかの加工品になるのだと思います。宝石などもありますが宝石の原石をそのまま貴族とかに渡すというのはない気がしますのでアクセサリー職人とかに売るのではないでしょうか。


 つまりギルドは無数の人間のつながりが存在することになります。


 中世というのは基本的に道路整備が未成熟で盗賊が出ます。私の作品には盗賊が出ていませんが……普通の作品には出ますよね(偏見)。古代ローマ帝国では街道を整備してその街道を定期的に軍隊が通るため治安維持が行われていましたが、さっき言いましたが統一的な帝国よりも緩やかな封建制のような世界観の多い創作世界ではそれはあまりマッチしません。


 ということは専門的運搬業者がいるのですね。日本史で言えば馬借(陸運業者)や問丸(船を持った運搬業者)なんかでしょうか? 中世は金を持っている人は限られています。そもそも貨幣鋳造技術が未発達の上、金融制度が未整備なので消費者が少ないのですね。これはさっきのギルドに依頼する人たちは豪族や商人という話からも同じです。平たく言うと工芸品を購入できる人たちは限られています。


 それではこんな流れでしょうか?


 冒険者の売った素材をギルドは受け取ります。


 ギルドは何らかの倉庫にそれを入れて置き、商人や職人と商談をするか、あるいはすでに商談が済んでいれば運搬業者に早速別の土地に持って行ってもらいます。


 つまりギルドの中には冒険者だけではなくて商人さんも職人さんも運搬業者さんも出入りするものですね。もしくはギルドが金を出して冒険者に運搬業務をさせるかもしれませんが、そもそもさっき言った馬借や問丸なんかがあるのはなんででしょう?


 馬とか馬車とか船とかは資産なんですよ! 手ぶらの冒険者にバッグ持たせてこれ持って行ってなんてしても大した量は運べませんので資産を持った業者に頼んでその護衛を冒険者にさせた方が総体としてでっかい仕事ができるんですよね。だって業者から護衛料もとれるかもしれませんし。


 現代でもトラック運転手さんが素晴らしい技術を持っていても会社に属していますよね。数千万のトレーラーを自分で買うのではなくそれを持っている社長さんや会社に属して利用するわけです。


 ここからストーリーが生まれるわけですね。素材を求めている商工業者を登場させてもいいですし、運搬業者との接点を描いて旅をしてもいいですし、護衛途中に様々な戦いを繰り広げてもいいでしょう。


 ギルドが素材を求めているならそこには必ず理由があるはずですから、その理由を描くと世界観がひろがりそうな気がします。あ! アイテムボックスがあると無双できます! 運搬業者は壊滅ですね。命を主人公が狙われるレベルですね!


 うーん長くなりそうなのでちょっと分割します! 思ったこととか教えていただけると嬉しいな。


 


普段こんなの書いてますよ


魔王やってましたけど勇者に負けて転生しました ~FFランク冒険者候補からの成り上がってやる~


https://ncode.syosetu.com/n7548gi/ #narou #narouN7548GI

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