表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花の魔法少女  作者: 来夢
一章 殺せない存在
3/6

二話


体育館で入学式をした後、生徒たちは自分のクラスへと入っていく。


「1年——2組」

 廊下に貼り出されたクラス表を確認し、一年間お世話になる教室に入る。

「あ、蓮人と同じクラスだ」

 と、後ろから肩を叩かれたかと思うと——今朝会った玲華がそこにいた。

「同じクラスなのか?」

「うん、よろしく」

 そう言ってにこりとほほ笑んだ玲華。

 黒板に貼ってある座席表を確認すると、窓側から二列目の一番後ろの席だった。

 玲華は真ん中あたりの席だという事が確認できる。

 席につこうと思い、椅子を引こうとすると。

「……?」

 金色の髪の毛が、視界に入った。

 なんだろうと思い、左隣を見ると。

「……ぁ」

 本を読んでいた少女と、目が合ってしまった。

 金髪碧眼ロングの少女。この髪の色は染めているのか、地毛なのかは分からなかった。

「よ、よろしく……?」

「……っ」

 少し緊張しながら挨拶をすると、その少女はびっくりしたのか視線を本へと移した。

「……」

 さすがに初対面だから、そうなるのも無理はない。

 蓮人は少し肩をすくめて、一度席についた。

 辺りを見回すと、見慣れない生徒たちがほとんどであった。唯一見たことがあるのは玲華。

 同じ中学のやつらは、やや偏差値の高い高校に入学したらしい。

 対して蓮人はというと、「家から近いから」という身の蓋もないような理由でここを志望した。

 偏差値で言ったら少し低いくらいだが、だからと言って倍率が低いわけでもなかったので、少々苦労はした。

「ふぅ……」

 小さく息を吐き、これからの高校生活について軽く考えてみる。

 これからどんなことをしたいのか、どんな行事があるのかを考えるのが意外と楽しい。

「……ぁ……ぁの……」

「……ん?」

 そんな考え事にふけっていると、隣から小さな声が聞こえた。

「わ、私……リリー・グレイ、っていうの」

「あ、ああ……お、俺は、日暮蓮人」

「……ん……よ、よろしく」

 初めてと言っていいかもしれない。玲華以外の女子と喋ったのは。

 いや、記憶にないからかもしれないが、少なくとも記憶上では、これが初めてだった。

 その少女――リリー・グレイは口元を少し緩ませた。

「……はは……っ」

 それと同時に、こちらも少し笑みを見せた。

 それから数秒、沈黙が訪れる。

 リリーは本に視線を移すことなく、こちらの顔をジッと見つめてくる。

「……っ」

 何か話題を出さないと、と思いつつも一体何を話せばいいのか分からない。

 玲華とはまるで違う感じ。いつもならポンポン話題が出るはず、なのだが……。

 人が変わるとこうも話せなくなるんだなと思った瞬間であった。

 気まずくなり、蓮人は黒板の方へ顔を向けた。

 それと同時に——教室のドアが開く。そこからやや小柄な女性が現れ、教卓についた。

「はい、今日から一年間担任をします。斎藤詩音です。よろしくね」

 おぉー、という声と共にクラスのほとんどの人たちがパチパチと拍手を送る。

「教科は理科を担当します。それでは、まず配布物を配ります」

 そこから、日暮蓮人の高校生活は始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ