第20話 第一王女 シュフレラ
~ウエストリア~
俺は、女王との謁見を終え、かねてから約束の第二王女に会いに行くため、王宮の廊下をライラック公爵と歩いていた。
誰も明言していないが、第二王女こそが俺の召喚士だろう。
やっと会えるのかと言う安堵感と、今まで何をしていたのかと言う苛立ちが俺の中で渦巻いている。
王族でしかも次期女王候補だから、おいそれと外出できないのは分かるが、余りにも無責任だと思う。
そこへ、シェフレラ第一王女が現れた。
「ちょっと良いか、シン殿」
ライラック公爵が、俺を庇うように前に出る。
「これは驚いた。いつも弱気のお前が、強くなったものだ」
「皮肉はお止め下さいお姉様、もう昔の私ではありません」
二人のやり取りに緊張感が走る。
けれど、長女であるシェフレラ王女には少し余裕がある。
「まぁ良い。簡単に忠告しておくぞ。
アイリス(第二王女)は禁忌を犯している。その罪はあがなわなければならない。
奴が女王になれば、その罪はこのウエストリア全体にかかってくるだろう。
故に、アイリスを女王にする訳にはいかない」
「それが、僕と何の関係があるのですか?」
俺にとって第二王女は、迷惑をかけられっ放しの相手だ。
禁忌も罪も、次期王位も俺には関係ないだろう?
いい加減結びつけて考えるのは止めて欲しい。
「ふむ・・・シン殿、貴方は必然的に私と結ばれると言うことだ」
(…、こんな言い方で、異性がほだされる訳ないだろう。)
「お姉様、お言葉ですがお姉様にはすでに婚約者いるではないですか!」
「そうだな。しかし、遠からず婚約は解消する」
「な! そんなことが簡単にできるはずは・・・」
「前提条件が変わったのだ。できるさ。それに、彼も私との結婚など望んではいない。
ふふん、よかったな。お前はそもそも彼に惚れていただろう。良い機会じゃないか?」
動揺する公爵と、口角を上げて半笑いする第一王女。
二人の舌戦は長女の勝だ。
しかし、俺には半笑いするシェフレラ王女の顔を好きになれそうもない。
そして、改めて少ない男性を取り合っている構図が認識できた。
ひょっとすると、俺が思っている以上に俺には価値があるのではないだろうか?・・・、止めておこう。不毛な話だ。
「シン殿。まぁ、一度私の執務室に来てくれ。そうすれば私と言う人間が分かるはずだ」
そう言うと、シェフレラ王女は去って行った。
う~ん、異性を誘うのに執務室?
男女逆転で考えると、職場に真っ先に誘うなんてあり得ないよな。
いつもこんな感じなのだろうか?彼女の婚約者が気の毒過ぎる。




