第1話 プロローグ
主人公・・・黒崎 真 18歳 大学生 身長172cm
体重57kg
趣味:楽器演奏 特技:拳法
イケメンだけど男友達とつるむことが多く、
女子から人気があったことを高校卒業後に聞かされ驚く
大学生になってからは、その無自覚がやや改善された
ゼ ラ・・・村長の娘 15歳 村長補助 身長174cm
体重 ㊙
ピンクのストレートヘアー 村一の美少女
ある理由から少しファザコン
ガーベラと付き合いがある。
ミ ア・・・村娘 12歳 身長150cm 体重 ㊙
薄いブルーのおかっぱ
身嗜みには無頓着なまだ子供 かなりの美少女
村 長・・・本名ジニア34歳 身長180cm 体重 ㊙
薄茶色のストレートヘアー
知的な美女風のナイスミディア
後悔か未練か夫との間にいわくあり。
リリー・・・村の腕力的な実力者 39歳 身長188cm
体重 80kg
男らしい性格
第1話
通学途中だった俺は、気が付くと広場に立っていた。
しばらく茫然とした後、辺りを見回したが、中々視覚情報を受け入れられないでいた。
・・・どうやら何処かの村の中心地にある広場らしい。
その村自体もあまり大きくは無く、アニメやRPゲームで見たような古風な村感じで、木造住宅がパラパラと点在しているだけだ。
”駅はどっちだろう”と漠然と思案するが、我ながら儚い思いだと感じている。
駅などあるはずがない…、この風景はあまりに現代日本の科学水準と乖離している。
「あんた、どこから来なさった?」
呆けていると、通りすがりらしい村人のおばさんが、少し震えながら声をかけて来た。
「えっと、多分、日本の東京からだと思います」
大柄だが人の良さそうなおばさんに声をかけられ少し安堵した。
「いやいや、あんた、急に現れたんだよ!
”ピカー”と光ったと思ったら、急に”バサー”と現れたんだ」
そのおばさんは、身振り手振りを交えて、さも俺が降って湧いたのだと話した。
「そ、そうなのですね・・・」
理解が全然追いつかないが、おばさんが嘘を付いているとは思えない。
つまり、おばさんの目の前に突然”俺”が出現したってことだ。
「それで、”ニホンノトーキョオ”って言うのは天界か魔界なのかい?」
と、真顔で言うおばさんに少々困惑した。
「・・・まぁ、東京は派手な都会って感じの街ですけど、天界では無いですね」
と首を傾げて答えると、なぜかおばさんは顔を赤らめた。
そうしている内に、わらわらと村人たちが集まり出した。
「あら、可愛い男だね~」
「見たこと無い変わった服だね~」
「お兄さんどこから来たの?」
おばさんたちは、口々に繰り返し繰り返し捲し立てている。
そして、あっと言う間に取り囲まれてしまった。
しかも、おばさんだらけなのに、それぞれが俺よりも背が高く圧が強い。
皆さん薄い布程度の軽装で、おそらく下着も着けていないのではないだろうか。
谷間やお胸が見え隠れしてて、少しエロい。
さらに言うと、おばちゃん臭で、、、む、蒸せる。
普段なら気にもならないが、状況が掴めないので眩暈がする。
くらくらしていると、がっしりしたおばさんが俺の手を掴んで、囲いから引っ張り出してくれた。
”ありがたい。助かった。”
女性ばかりなのに、なぜか身(貞操)の危険を感じていたのだ。
がっしりしたおばさんは、中々のイケメンで、「独り占めする気か!」と文句を言うおばさんたちに向かって、「迷い人として村長のところへ連れて行く、それなら文句無いだろ!」と一喝していた。
イケメン過ぎる・・・おばさんなのに。
△△
イケメンおばさんに手を引かれ歩いて行く。
「大丈夫かい? 悪かったね。若い男の子は珍しいんだよ」
「ありがとうございます。助かりました」
「っ・・・///」
お礼を言うと、なぜか照れているイケメンおばさんは、体格だけでなく性格も男っぽい感じがする。
「そう言えば、男の人を見かけませんでしたね」
「ああ、この村は特にな。男は50人もいないね。もともと少ない上に、若い男は町へ出て行ってしまうからね」
男が少ない…過疎地なのか? 出稼ぎと言う訳ではなさそうなニュアンスだ。
他にも色々と違和感がある。
おばさん達のがっしりした体格・淡い髪の色・荒い言葉遣い、明らかに日本ではないのに日本語が通じる。
二人で連れだって歩いていると、村人たちの視線がチクチクと痛い。
遠巻きに村人たちから見られているだ。
さすがに、こうもガン見されていると多少鈍感でも自覚してしまう。
もしかして、注目されるほど珍しい? カッコ良いとか?
悪い気はしないが、少々照れくさい。
それにしても男がいない・・・。
さて、村長の家に着くと、俺はイケメンおばさんから村長へ引き渡された。
村長は、ちょっと格好良い感じのナイスミディで、シャツにズボンをはいていて小ざっぱりしている。
だから、ちょっと安心した。外見って大切だよね。
イケメンおばさんは、リリーといって、その腕力から村ではちょっとした顔役らしい。
そのリリーから村長への説明では、俺は突然光と伴に現れた”迷い人”で、保護が必要なくらい ”か弱い” 存在らしい。
一応、俺は健康な男子大学生なんだけれど・・・。
リリーは、俺に「なにかあったら何でも頼ってくれ」と言い残して去って行った。
村長は、しげしげと俺を見て、”ふむ”と大きく頷いた。
△△△
~村長宅~
村長の家は、丸太を組み合わせたログハウスではあったが、この村では一番大きく部屋数も多いそうだ。
リビングに通されると、年頃の可愛らしい女の子が驚いてこちらを凝視した。
「紹介しよう。娘のゼラだ。」
村長は、事も無げにふるまったが、ゼラは紹介されると明らかに紅潮している。
こんな可愛い女の子にとっても男は貴重なのかな? 内心俺もドキドキしている。
ここは、男らしく自己紹介をしておこう。
「はじめまして、クロサキ・シンです。この村に迷い込んでしまったようなので、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」
「ああ、そうか。名前も聞いていなかったね。え~と、クロサキシ?・・・変わった名前だね」
「えっと、シンで良いですよ」
村長さんが名前を言い難そうにしていたので、文化的にも違う国なんだなと悟った。
しかし、言葉は通じるから不思議だ。
「シン? シン君ね。よろしく!」
ゼラは食い気味にそう言うと、まじまじと俺を見詰める。
なんだろう? 外見と違って肉食獣に見られているこの感じは・・・。
俺は、可愛い娘に見詰められているにもかかわらず、さらなる違和感を覚えた。
ゼラは、村長と同じようにシャツとズボンをはいており、リリーやおばさん達よりは上品だ。
ピンクのロングヘアーで身長は俺とほぼ同じくらい。
村長が落ち着いた赤い髪色なので、そういう髪色の家系なのかもしれない。
しかし、そんな髪色は自然界には存在しない。…少なくとも地球には存在しないはずだ。
「うん、この国の男子とは全然違う感じだね。髪も綺麗な黒だし」
「髪? 黒が珍しいのですか?」
そう言えば、黒髪の人はいなかったな・・・それどころか男も見なったけれど。
ゼラも同じ様に、俺を”外世界から来た人”と感じているのだろう。
「ふむ。この国に黒髪の者は生まれないのだ」
「そう・・・何ですね⤵」
だから、村人から痛い程見られていたのか。
「それに、その服装も見たことがないし、”迷い人”で間違いないだろう」
と村長さんは感慨深げに言った。
”迷い人”とは、村長さんの説明によると、元々は”迷子”の意味であったが、いつからか派生して、別の”国”あるいは別の”世界”から来た人を指す言葉になったそうだ。
そして、これ以上の事は村長さんでも分からないそうだ。
いつ・どこから来るのか、その目的・理由なども分からない。
ただ、”迷い人”は、いわゆる”変革”をもたらす者で、これまで現れた”迷い人”は例外無く、いくつかの変革を起こし、歴史を彩ってきたそうだ。
「今も迷い人っているのですか?」
「あゝ、いるとも。」
「会えますか? 何処に行けば会えますか? 是非会いたいです!」
やや食い気味に聞いてしまったが、会えればこの妙な現象の突破口になるかもしれない。
「まぁ、落ち着いて・・・、まず会えないよ。隣国の王配だからね。」
「王配?」
聞きなれない言葉だ・・・が、王様の配偶者のことだろう。
「そう、隣国ウエストリアの王女の夫だ。簡単に会える人ではないな」
「ウエストリア? 王女? ・・・すみません。そのような国は聞いたこともありません」
そう言いながら、俺はポケットからスマホを取り出し画面を確認した。
・・・アンテナは無く、GPSも作動していない。
そんな俺を見て、二人は顔を見合わせ驚いている。
「えっと、ここは何という国ですか?」
「ここはミッドランドだよ。それで、この村はサウスバーグ地方、オルレイン子爵領内のハテナ村」
ああ、確定した。
・・・確定してしまった。
ここは、俺の生きてきた世界ではない。
ウエストリア? ミッドランド? サウスバーグ?…物語調の単語の羅列が恨めしい。
愕然として血の気が引く。
膝から崩れそうな俺をゼラががっしりと支えてくれた。
ゼラの少し柔らかな胸が心地良く当たっている。
・・・なぜか、ゼラは嬉しそうだった。