認めて
「それで、彼奴の事はどうするつもりじゃ?」
一部始終を黙って見ていた志賀が、心奏の様子が落ち着いた頃に口を開いた。
心奏は少し考えるように俯いた後、胸元に手を当て何かを心に決めたような表情で顔を上げた。
「僕は父さんに認めて貰いたい…!僕が成長したこと、父さんの息子だってことを……」
心奏のその言葉に一週間分の想いが詰まっていることは、誰が聞いても明らかだった。
「だからこそ、僕が一番好きなもので勝負する。演劇で!」
心奏がそう宣言すると、プハッと羽音が笑って心奏の肩に肘をかけた。
「それでこそ心奏だな」
その反対隣では響彩が微笑みながら、羽音と同じように肩に手をかけた。
「もちろん、私達も協力する」
二人の言葉に心奏は嬉しそうに大きく頷いた。
「この時期にやるとなると、クリスマスかえ?」
志賀がスマホを取り出し、カレンダーを表示して予定を確認するようにスクロールする。
響彩も同じようにスマホを取り出してカレンダーを表示すると、心奏と羽音に表示した画面を見せた。
「そう、だね。でも、まずは演劇をさせてくれる劇場を探さないと……」
心奏が難しい顔をしてカレンダーを見つめていると、修治が問題ないと言うような表情をして口を開いた。
「それなら任せておけ。俺の知り合いに劇場を運営している奴がいるから頼んでおこう」
「ありがとう!伯父さん!」
修治の言葉に心奏は満面の笑みでお礼を言った。
「んじゃ、劇場はセンセイに任せて。心奏の書いた紙の中から、使えそうなシナリオを探そうぜ」
羽音がそう言いながら立ち上がると、ギュッと手を握り熱意に満ちた表情で天井を見つめた。
「クリスマスまであと二週間。間に合うかは分かんないけど、頑張りましょう」
響彩も羽音に続いて立ち上がり、羽音と共に、心奏に手を貸すように手を差し出す。
「うん!頑張ろう!」
心奏は二人の手を取りソファから立ち上がると、そのまま二人の手をギュッと握り、決心したような表情で頷いた。
「ならわしは、裏から皆を支えるかのう」
三人を見送った後、志賀はよいしょと膝に手を当てソファから立ち上がる。
身体を伸ばすようにして腰に手を当てる志賀を見て、修治は思わずツッコんだ。
「お前、本当に二十歳か?」
心奏が過ごしている部屋に入った三人は、とりあえず散らかっている紙や本、纏められた資料などを片付けることにした。
響彩は主にシナリオが書かれた紙を集めていた。
一枚の不可思議な文から始まっている紙を手に取ると、すでに集めていた腕の中の紙の束をパラパラと捲り、中途半端に書き終わっている紙の内容と手に持っている紙の内容を照らし合わせた。
問題なく文章が続いた二枚の紙が同じシナリオだと理解した響彩は手に持っていた続きの紙がその紙の後ろになるように束に入れた。
「こっち終わったぞ〜」
その他の資料や小道具らしきものを片付けていた羽音が、表明するように右手を上に上げた。
「僕も」
積み重ねられていた本を本棚に戻していた心奏も、本の背をなぞるようにして最後の一冊を本棚に戻した。
「私もさっきので終わり」
響彩は纏めたシナリオの紙の束を心奏に差し出した。
心奏は響彩から紙の束を受け取ると、一枚一枚内容を確認していく。
「あ、これ……」




